「美しい狂気を飼い慣らす」ZOO(1985) 田沼(+−×÷)さんの映画レビュー(感想・評価)
美しい狂気を飼い慣らす
ピーター・グリーナウェイ監督作品。
アヴァンクレジットまでのシーンで傑作だと確信しました。鳥肌が立ってしまった…
高校時代に会田誠の画集を開いてしまった時と同じ感覚。
絵画的な構図によるシンメトリーは腐敗によって朽ちていく…
それは空間でありつつ、双子の様相でもあるし、片足を失ったアルバでもある。
人間も含め動物が蠢く様子をクローズ・アップでみると気持ち悪いし、逆に死んで朽ちていくのは美しい。鰐も白鳥も犬もシマウマも双子も朽ちさせるのだからショックだ。けれど死は生命に等しく到来するし、腐敗していくのは美しい。生命のもつ対称性を崩すドキュメントは倫理に反するが、その美しさを知ってしまった。それはとても危険だ。
私たちが健全に生きるために。それには「美しい狂気」を飼い慣らすしかないのだと思う。
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