シンプルメンのレビュー・感想・評価
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アナログ感あふれる劇場で90年代インディーズを観る
大阪の第七藝術劇場で《ロング・アイランド・トリロジー》デジタルレストア版上映のひとつとして観た。この映画を最初に観たのはおそらく90年代の名画座で『トラスト・ミー』と同時上映だったように思うのだが、当時の薄暗い名画座で観たフィルム上映の間隔がまたたくまに蘇ってきた。90年代初頭に35㎜フィルムで撮られたこの映画。ただしかなり低予算のインディーズ作品であり、その決してなめらかとは言えないザラザラとした手触りがデジタルレストア版でもはっきりと残っており、そんな感覚が古ぼけた第七藝術劇場の雰囲気によって増幅されて、本当にタイムスリップしたのではないかと不安にすらなった。最新設備の劇場もいいが、こういうアナログ感あふれる映画体験がまだできるのかと改めて驚いた『シンプルメン』&第七藝術劇場の取り合わせ。作品は、こんなにセリフ多かったっけと思ったりもしたが、やはりなんとも言えない清々しさと切なさがあって最高でした。
There’s nothing but trouble and desire
口ばかりで自己中心的な兄貴と頭でっかちで行動が伴わないファザコン弟のロードムービー。人の役に立ちそうもない2人に関心が保てず意識が遠のく。前の男を見送り、嘘をはね除ける女。生き様の違い。
4人が出会う前のシーンでのギターに合わせた詩の朗読のような台詞回し、そしてKool thingに踊るエリナレーベンソンと音との組み合わせは楽しいところ。
垢抜けている映画
ハル・ハートリーは数年前に「はなしかわって(Meanwhile)」を観て以来で、ロングアイランド・トリロジーは初めてなんだけれど、何だろうこの不思議な面白さ。台詞が分かりやすいようでいて洒脱。音楽のうまさ。割と唐突なダンスシーンとか。映画の妙味を全部使い切った感じがあって、静かに興奮するというか。
物語もありふれたところにいるようで逸脱しているのが面白さ。
お洒落...というのでもなくて。垢抜けた美しさというか、動き、台詞がとても良かったです。
ハートリー要素の詰め合わせ
笑えるんだけれど愛が溢れて和ませられる。
やはり、唐突に始まるダンスシーンは圧巻で適当に踊っているのに格好良く映るのはソニック・ユースの"Kool Thing"の効果が絶大で最高!!
エリナ・レーヴェンソンのクールな佇まいにマーティン・ドノヴァンのやさぐれた感じが堪らない。
お馴染みのキャスト陣が入り乱れて、物語の方向性が「ヘンリー・フール」に近いモノもあり初期作品から後期までの要素が多分に入ったある意味で集大成的な本作でもあるような?
違うか!?
違和感を愉しむ
クセというか、こだわりというかを殆ど感じさせない前半。青を基調とした綺麗な色使いが好きでした。ヒロイン紛いの子も仕草立ち居振る舞いが素敵でしたが、そんなミスリードも敢えてやっているようで、興味深かった。惑わしが多い。思わせ振りな奴が多い。違和感が多い。どれも極力主張を抑えるかのようにクサいセリフを読んでいます。
「何て静けさだ!」このセリフから。静けさ、、何でしょう。観客目線からの心情を汲みしたかのようなスイッチの切り替えにも思えます。一貫した一方的で直線的な演出に、突然入るダンスシーン。歌詞での描写はわかるものの、ぎこちない動き、噛み合わない会話、脈絡のない跳躍には驚きます。振り付けも妙だし、本音吐露吐露だし。全く噛み合わない討論では、それぞれが的確な意見を言っているが会話は成り立たない。時々、思い出したかのように、「観客は?」といった質問が投げかけられる。「観客は観客のままだ。」 これが私たちへのメッセージか。大衆映画を消費する我々観客への意見具申なのか。なんともインディーズらしくまっすぐな速球を投げかける。
コミュニケーションの難しさもひとつのテーマになっているかもですね。裏切られ振られる兄貴、内気な弟、兄貴に銃を渡され誤認逮捕されるバイクの兄ちゃん、聖母マリアのペンダントを取り合う尼さんと警官、イタリア娘を落とそうとフランス語を学ぶガソスタのあんちゃん、ニヒリストな警官、元夫等これまでの人間関係で不信な女、兄弟の親父で活動家のじいさんにお熱な若い女(おまけにルーマニア人)、家庭を顧みず過激な活動に専念する親父。
劇中違和感だらけなんですね。制作側と観客側の齟齬。
でも違和感の出所とその出口は「だって楽しいから」に集約されてしまう。皆んな適当なんだもの。
そんな難しいコミュニケーションにも明るく向き合おうという姿勢が垣間見れたかもしれません。
セリフが良くてメモった
メモったセリフ
法律とは”契約だ”
富と奪い合う仕組みだ
金持ちと貧乏人がね
”違法でもバレなければOK”
素晴らしい!
”でも捕まったら償いを”
それが”契約”だ
道徳に関係ない
強盗にイデオロギーは不要だ
恋と冒険はトラブルの元凶だ
欲望がトラブルを招き
トラブルの中で欲望はしぼむ
ー矛盾だな
ー皮肉だ
皮肉な悲劇だな
愛情や優しさなど神話に過ぎない
拷問部屋で作られたんだ
地獄のね
他人は他人だ
他人の歪んだ欲求や
夢は理解できない
恋なんて頭に釘を打つのと同じ
情熱と欲望の地獄に
自分をおとしめる
笑える動きのダンスはとても楽しかった。
可愛い女の子とダンスの魔法
ニューヨークインディペンデントと言われる映画のジャンルって好きそうでちょっと苦手かも。。。と思いつつやっぱり好きなのかなぁ
物語の推進力が弱くって倦怠感があってでも、登場人物は個性的
不思議なバランス
ヨーロッパ映画ほどの緻密な芸術性とゆうのは感じないけど人間的魅力に溢れてて
観たあとに愛おしさを感じます
この映画の兄弟。強盗をしたりやんちゃで女にモテる兄と真面目で内気な弟なんだけど、私は確実に弟の方がイケメンてゆうかグッときます
兄なんでモテるのか…
あとダンスシーンは可愛かった
弟のぎこちない動きもジワジワくる
完璧なダンスシーン。可愛い女の子、いいダンスシーンそれだけで映画が魅力的になる魔法
そしてハル・ハートリー監督は美女発掘の才能があるに違いない!私の女の子の好みにドストライク!!!!!てゆうのを確信しました
そしてまたレビューが書けない
ロングアイランド・トリロジーの3作目。
2014年に初めて観た時も鑑賞日と星4つだけ付けてレビューを書いておらず、内容は全然覚えてないけど「何だかとても好き」という印象だけがあったこの作品。
2020年4月にDVD-BOXを購入し、見たことのなかった前2作と合わせて、2回目の鑑賞、そして納得、この気持をどう文章にしてよいのかわからない。
3作ともざっくりあらすじを言うとなると、妙に未熟な人間たちが、不思議な縁で出会って、ちょっとドタバタして、ああなんかこのままいっちゃてもいいかな、みたいな。
細かいことは抜き。結局色々問題は解決してないけど、でもなんか最終的に説明のつかない幸福感残る、何度でも観られる、というか何度か観たほうがより味わえる、不思議な作品たち。
DVDを買って正解。何回か観たら、もっとまともなレビューが書けるかな…。
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