「【”一つの命を救う者が世界を救える。”人間の愚かさと、ホロコーストの恐ろしさと哀しさをリアリズム溢れるトーンで描いた作品。今作は”本当の力(パワー)とは何であるか”を示した反戦映画でもある。】」シンドラーのリスト NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”一つの命を救う者が世界を救える。”人間の愚かさと、ホロコーストの恐ろしさと哀しさをリアリズム溢れるトーンで描いた作品。今作は”本当の力(パワー)とは何であるか”を示した反戦映画でもある。】
ー 久しぶりに鑑賞したが、矢張り心が重くなる作品である。モノクロで映し出されるドイツのSS達によるゲットーに閉じこめられたユダヤ人の虐殺のシーンや、遺体を燃やすシーンなど暗鬱たる気分になる。-
■ドイツ人実業家、オスカー・シンドラー(リーアム・ニーソン)はポーランドで工場の経営を始め、ユダヤ人の労働力で事業を拡大させていく。
しかし、やがてナチスによるユダヤ人迫害が熾烈になって行く中で、その現実を目の当たりにした彼は、密かにユダヤ人の救済を決心する。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・後半まで、観ていてキツイ作品である。それは、描かれるモノクロのユダヤ人虐殺シーンがリアルに感じるからである。
・シンドラーも前半は、野心ある実業家として、ユダヤ人を安い賃金で働かせ、利益を得ている男として描かれる。
・レイフ・ファインズ演じるクラクフ収容所所長のアーモン・ゲート少尉も、戦争の中で徐々に精神を病んでいく。
ー 酒を過剰摂取しているが故に、痩せこけたユダヤ人たちとは対照的に、彼の下腹部は醜く膨らんでいく。-
・ドイツの戦況が悪化する中、クラクフ収容所の閉鎖が決まりアウシュビッツに送られて行く人々。そんな中、シンドラーは”自分の工場を存続させるため”という名目で、多くのユダヤ人を故郷のチェコの工場に連れて行く。
ー シンドラーが、人間性を取り戻していく様を、リーアム・ニーソンが見事に演じている。-
■白眉のシーン
1.イザック・シュターン(ベン・キングズレー)に、チェコの工場に連れて行くユダヤ人の名前をタイプライターで書かせるシーン。
ー ドイツ兵に、次々に殺されたユダヤ人たち。だが、当たり前だが、ユダヤ人一人一人にはキチンとした名前がある人間である事を雄弁に語るシーンである。-
2.ドイツの敗戦が決定した際に、シンドラーがドイツ兵に周囲を囲まれながら、工場で働いていたユダヤ人たちに語りかけるシーン。
一方、ドイツ兵が一人、又一人姿を消していくシーン。
3.ラストのカラーで描かれた、且つてシンドラーに助けられた人々が、その子供達と共にシンドラーの墓に石を置いて行くシーン。
ー 私はこのシーンまでは、只管にキツイ想いで観て来たが、矢張りこのシーンは沁みるのである。-
<今作は”本当の力(パワー)とは何であるか”を示した反戦映画である。
中盤まで、非常にキツイシーンが続くが、現況下観ておきたい作品の一つであることには間違いないであろう。
それにしても、(極一部であるが)人間とは過去の過ちから学ばない生き物である、と思った作品でもある。>
■ヴィクトール・E・フランクルの「夜と霧」を読み返した翌日に、数十年振りに鑑賞。
こんにちは!コメントありがとうございます
まだこの映画を引きずっています…
感想の中でも1番共感させてもらいました
その中でもタイプライターのシーン
一家の主とその家族、ではなく、全員の名前を把握していたこと、子供から大人まで全員を人として認識して尊重していたのだと感じ、彼にとって彼らは家族同等なのだとグッときました
1000人以上の名前を覚えるなんて自分には無理です…
もっと映画を観たいです
ありがとうございました!