「目を背けない描写」シンドラーのリスト Tommyさんの映画レビュー(感想・評価)
目を背けない描写
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ナチスドイツによるユダヤ人の組織的大量虐殺を描く作品。戦場のピアニストのように、人が虐殺される場面がカメラを背けずに映し出されるため見るのは非常に辛い。日本に住む私たちが普通に生活を送っていれば、ニュースでは未だに戦争が起きていることを知っていても、実際どれほど悲惨で残酷な事態かは想像できない。そのためこのように目を背けない描写は私たちに問題提起するようにも感じる。実際に起きている事態はこんなにも悲惨なのだ。
確かにシンドラーは実際にはこの作品で描かれるような人物ではなかったかもしれない。しかし、この作品が後に伝えるべきこととして、この描き方は正しかったと思う。
オスカーへ指輪が贈られるシーンの「金があれば…」というセリフに、ビジネスなどの財政的な側面が戦争に大きな影響を与え、それによって犠牲になる人命が存在する現実を暗に感じた。そして、「努力すればもう1人救えたのに、しなかった」という言葉には、私たちの現在の実情とも絡み合い、胸が痛んだ。今この世界に生きる私たちが見逃している現実について考えさせてくれる。
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