「ホラー形式をとった風刺?」食人族 moroさんの映画レビュー(感想・評価)
ホラー形式をとった風刺?
ホラーエンターテイメントというよりも、とても風刺のきいた作品と感じました。
食人族4Kリマスター無修正完全版で劇場で鑑賞しました。
カルト的ホラー映画としてタイトルとあらすじは知っていたので、グロさを楽しむホラーエンターテイメントだろうと思っていましたが、鑑賞後の印象は大きく変わりました。
人肉を食す奇妙な風習をもつ未開民族よりも、作品の主体である文明人への不快感・嫌悪感が際立ちます。
異文化への敬意もなく利己心だけで未開の地へ押し入り、暴虐の限りを尽くします。
作品のオチ・テーマもそこがポイントなのでねらい通りなのでしょう。
「グロさ」を楽しむ作品だと思っていたのですが、現代の映像技術からすると微笑ましくもあるホラー描写です。
動物の解体は実物らしいのですが、おおよそ食事のための解体なのでグロいというより神秘的でもあります。
食料として解体したカメの頭をおもちゃにして遊ぶ文明人の姿のほうがよっぽど不快でした。
鑑賞後、公開当時の背景や監督インタビューの解説記事を読みました。
モキュメンタリーとして現実味を演出するめに、公開後しばらく役者の露出を控える取り決めをしていたとか。
作中に「やらせドキュメント映像」といわれていたものが、実は現実のニュース映像であったとか。
凄惨なニュース映像の放映は問題視されないのに、フィクションのホラー映画は規制される矛盾への監督の見解とか。
製作においても宣伝広告においてもとても画期的な手法をとられていたことがわかり、公開当時を体験できていたらさぞ面白かったろうなと感じられます。
コメントする