「この映画は、なぜ評価されるのか?」ショーシャンクの空に ノリック007さんの映画レビュー(感想・評価)
この映画は、なぜ評価されるのか?
原題は、「The Shawshank Redemption(ショーシャンクの償い)」です。
邦題は、「ショーシャンクの空に」です。
主人公は冤罪なので、ショーシャンク刑務所で償うことはありません。
主人公について語る有罪の囚人が、償いきれない罪を犯したことに気づき後悔することで、罪を許されるという映画で、原題の方が良いです。
物語は人間ドラマで、登場人物は刑務所の中の人々で、ほとんどの人が出会うことはない人だから、登場人物に感情移入するのも困難です。
主人公が行う、節税対策や資産運用や税務処理や脱税対策は、日本人には身近なものではありません。
刑務所からの脱獄映画としても、実話ではなく、普通の刑務所で、アクションシーンはなく、チームワークもなく、一人で脱獄を計画し、準備し、実行するので、地味です。
刑務所を、自らが所属している組織に変えて、鑑賞してみると、思い当たることが多いはずです。
友人、カップル、夫婦、親子で鑑賞するにも適していないです。
不倫をしない恵まれた夫や妻には、つまらない映画です。
恵まれた友人がいる人には、つまらない映画です。
良い組織で、良い上司、同僚や部下に恵まれている人には、つまらない映画です。
長い人生の中で、周囲の状況が変化し、良い状態が悪化し、逆境に出会い、人間性を失いかけたときに、一人でこの映画を鑑賞するべきと心に留めておく映画です。
不倫をされた夫や妻が鑑賞すれば、この映画から何かを得られるかもしれません。
悪い友人がいる人が鑑賞すれば、この映画から何かを得られるかもしれません。
ブラックな組織で、悪い上司、同僚や部下に囲まれている人が鑑賞すれば、この映画から何かを得られるかもしれません。
逆境に出会い、人間性を失いかけた人が、一人で鑑賞すれば、逆境を克服し、人間性を取り戻すために、何かのヒントが得られるかもしれません。
逆境に出会い、人間性を失いかけた人が、人間性を取り戻すため、逆境を乗り越えるために「必死に生きるか」、人間性を押しつぶし、逆境の中で「必死に死ぬか」ということです。
ナレーションは、主人公の状態を、この映画を鑑賞している一人ひとりに、語りかける効果があります。
小説で例えるなら、夏目漱石の「坊ちゃん」、J・D・サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」に似ています。
夏目漱石の「坊ちゃん」、J・D・サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」が好きな人は、この映画も気に入るはずです。
俳優の演技は上手いですし、作り話なので、伏線の張り方、伏線の回収の仕方は、お見事です。
伏線を見出し、回収できるかで、この映画への評価が変わります。
この映画の中にある名言を見出せるかで、この映画への評価が変わります。
この映画を製作するにあたって、2,500万ドルの予算を確保しましたが、興行収入は1,600万ドルに留まり、赤字です。
映画評論家の評価は高く、アカデミー賞にノミネートされ、再公開され、世界収入を合わせて、5,600万ドルになりました。
高い評価に比べると、低い興行収入です。
興行収入が低いということは、少ない人しか鑑賞していないということです。
この映画を鑑賞した少ない人から、高い評価を得ているという映画です。
主人公は、刑務所の中での生活に順応して生きるという「プランA」と刑務所から脱走するという「プランB」を準備していたので過酷な刑務所生活を過ごすことが出来て、状況が変われば刑務所から脱獄することにも成功します。
自分も、ブラック企業の中で順応して生きるという「プランA」と早期退職するという「プランB」を準備していたので、パワハラを受け、指名解雇されても、退職し、生活することが出来ています。