「ショーシャンクの解放」ショーシャンクの空に かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ショーシャンクの解放
主演は元空軍整備員のモーガン・フリーマンと、映画トップガンでグースの亡き後にマーヴェリックのレーダー要員に就いたマーリン役のティム・ロビンス。
この映画でも学のないレッドと、銀行員という輝かしき経歴を持つアンディという落差のある配役となってます。
殺人の罪でショーシャンク刑務所に投獄されたアンディ・デュフレーン。
知的で静謐さをかもし、誰とも交わらない彼だったが、ある日同刑務所に収監されている「配達屋」のレッドに、採石用のロックハンマーの購入を依頼する。
アンディは徐々に打ち解け、持ち前の法律と税金の知識で刑務官たちの信頼まで獲得し、ついには所長から帳簿を任される。
陰鬱なばかりだったショーシャンク刑務所が、アンディの地道な活動で囚人たちの更生施設として活気に満ちた場所と変わってゆく。
そんな中、才気煥発な若者トミーが収監された。
皆の人気者の彼に、アンディも何くれと世話をするが、ある時談話中にアンディの犯した罪状の内約を聞くと、トミーが別の刑務所で同室だった最低野郎が、アンディになすりつけた自分の犯罪を楽しそうに話したと言うのだ。
アンディは、その男の言葉が本当なら、自分の無罪を証明できると所長に訴えるのだが……。
原作はスティーヴン・キングの中編集「恐怖の四季」の一編。
「刑務所の中のリタ・ヘイワース」(当映画原作)
「ゴールデン・ボーイ」(同名映画原作)
「ザ・ボディ」(映画「スタンド・バイ・ミー」原作)
と、四編中の三編が映画化され、二編が今なお世界中で愛されている珠玉の一冊です。
さすが数多くのヒットを飛ばし、世界中の作家の尊敬を集めるキング。
物語は冒頭こそ緩やかに始まりますが、レッドを語り手にドラマが始まると、退屈する暇もなく次々と展開。
屋上で皆休んでビールを飲むシーン、独房から戻ったアンディの部屋にリタ・ヘイワースのポスターが貼られていたシーン、看守を閉じこめてフィガロの結婚を流すシーン、そして映画の顔となった雨の中での歓喜のシーン。
一度見れば心から離れない、印象的なシーンが、ストーリーの中で幾つも描かれます。
映画の原題は「ショーシャンクの解放(または贖罪)」。
内容の分かりにくさから、公開当時はまったく集客がなかったとの事。
その後ビデオソフトとして売り出すと、レンタルビデオ店でリピーターが続出し、売上がぐんと伸びたという、有名な逸話も。
キングらしい知的でドラマティックで、そして囚人たちの温かな友情が描かれた本作。
ひとり静かにでも、家族や友達とでも、恋人でも、週末の鑑賞時間をまちがいなく豊かにしてくれる名作です。