「ファシズム」ジュリア kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
ファシズム
アメリカ女流劇作家のリリアン・ヘルマンの回顧録。時代はファシズムが横行している第二次世界大戦前夜だ。リリーとジュリアは2人とも裕福な家庭で育てられていたが、ジュリアはウィーンへ渡ってから労働者の運動に参加するようになった。なかなか会えない。久しぶりに再会したのはジュリアがデモの弾圧によって重傷を負ったとき。しばらくは執筆活動に専念していたが、リリーの戯曲が評価され、またもやヨーロッパへ。
ヨハンという男に声をかけられジュリアの金を活動家に渡してほしいと危険な任務を頼まれてしまう。ここから列車で移動するリリーが凄い。金の受け渡し方法は一切伝えられず、まるで伝言ゲームのように運搬は進む。同じコンパートメントで同席だった女性も仲間だったし、きょろきょろしながら恐怖と不安におののく姿。しかし任務を果たさないとジュリアに会えない。そんな切なさが伝わってくる。
ジュリアが義足だったことにも驚いてしまうが、彼女の凛々しさはリリーを励ましてくれるような。ジェーン・フォンダの心をそのまま共有できるかのような錯覚に陥るのです。戦争の描写はないけど、彼女たちがユダヤ人だったこともあって恐怖感も増す。ジュリアの死が伝えられ、ロンドンへ渡っても彼女の存在ごと抹殺されたミステリアスな状況。託されたリリーと名付けられた娘も見当たらないし、大切な思い出すら葬り去られた感覚に・・・
夫にも先立たれ、残りの人生を孤独なまま過ごさなければならないリリアン・ヘルマンを想像すると、じわじわと悲しみが伝わってくる・・・そんな映画だ。
talismanさん、コメントありがとうございます!
ヴァネッサに関しては、高齢になってから知ったもので、それほど好きになったわけじゃないのですが・・・やっぱり名優ですよね。
バネッサ・レッドグレーブに初めて出会い彼女に惚れた映画です。女二人の友情、想い、それぞれの生き方など、学生時代に親友と見に行ったので、今でも大事で身に沁みる映画です。