自由の暴力のレビュー・感想・評価
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「しゃべる生首・フォックス」こと見世物小屋芸人のフランツ・ビーバー...
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「しゃべる生首・フォックス」こと見世物小屋芸人のフランツ・ビーバーコップ(ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー)。
同性愛者の彼の楽しみはロト。
見世物小屋が警察の手入れを受け、仕事も失ったフランツだったが、ロトが大当たり。
一夜にして大金持ちになった。
ブルジョワの中年男性から誘われたホームパーティで、ハンサムな青年オイゲンと知り合い、恋仲となるが、オイゲンの実家の製本会社は契約先の倒産で不当りを出す寸前。
フランツはオイゲンに相当額の出資を申し出、2年後には共同経営者になることを夢見るが・・・
といった物語で、基本は、身の丈に合わない金を手にした青年が、何もかも失ってしまうという典型的な物語。
ファスビンダーが初めて同性愛の世界を描き、本人が主演しているからフィルモグラフィー上、重要作品であることはたしかなのだが、面白い作品であるかどうかは別。
ファスビンダー演じるフランツが、あまりにも思慮不足に見えてしまうのが、いちばんの原因なのだが、彼が恋するオイゲンもあくどい人物以外の何者にも見えないので、興が乗らない。
冒頭の見世物小屋の手入れのシーンも外から撮っただけで、「あれれ、しゃべる生首の設定がまるで活かされていないなぁ」とも思った次第。
客の本心をしゃべるという設定は、画面で描いて、そんなチンケな芸ではオイゲンの本心は見抜けない・・・みたいなのを画でみせてほしかったです。
ラストの、死してもなおすべてを奪われる・・・というのには、相当な恐ろしさを感じましたが。
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