「説教くさくない」自由の暴力 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
説教くさくない
当たり前のことですが、長い間ホモソーシャルな縦社会であったからこそ、人間は資本主義に適合できたのかと思いました。いやいや、資本主義どころか封建主義もそうですよね。そしてアメリカ大統領選でも、マッチョな社会を望むのは人種問わず男性に多いみたいです。
本作はフランツの痛みを性的マイノリティで表現していましたが、これは女性も共感できると思いますし、貧しい人々にも共通していることだと思います。つまり、本作のテーマは資本主義です。この資本主義の中で性的マイノリティはお金を稼ぐことも掴むことも困難ですが、お金を持つ性的マイノリティはHAPPYみたいな。
フランツの搾取された痛みを痛みとしてではなく、至極当たり前に普通のことの様に描いているのが残酷さを増していました。それにお行儀がよくなくて説教くさくなくて観客を突き放すところも、ファスビンダーらしく容赦しないなって。
コメントする