「ホモソーシャルとホモセクシュアルを重ねたファスビンダー」自由の暴力 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
ホモソーシャルとホモセクシュアルを重ねたファスビンダー
女を介在させずダイレクトに描かれた二つの男の世界。一つは搾取する側の差別的で排他的で狡い男達がこれでもかと「活躍」する世界。もう一つは社会の底辺で体温の温かみのある優しい世界。フランツは後者の世界の人間なのに、男漁りをする中で前者の男世界に入ってしまった。宝くじで大金をあてた「いいカモ」のフランツは、新しく出会った男達のホモソーシャル社会を自分が知っている温かいホモセクシュアル社会と同一視し海千山千の男達の罠にはまってしまった。裕福でセンスと教養がありビジネスでつるみ互いに利益を享受するためにカモをしゃぶりつくす奴らの罠に。そして捨て置かれた。
ホモソーシャル社会の嫌らしさを描写したこの映画、今も十分説得力がある。女は働く手段も自由もなく搾取され悪態をつくか、ホモソーシャル社会にするりと入って男達を刺激せず順応して飾りでいるかのどちらかの選択しかないこともよくわかる。ペニスの大きさを競い男を誘惑し、躾も教養も知識も美意識もないフランツは、一方で純真で悪びれない素直で可愛い少女だった。絶望したフランツは最後の最後まで奪われ続けた。あまりに哀しい。
おまけ
熊本滞在最終日に"Denkikan"にて再鑑賞。また来るからね!(2024.10.20.)
最近はシネコンばっかりですが、昔は沢山のハコで少しずつ掛けてましたよね、それも映画街みたいに。銀座や池袋みたいにシネコンシネコン時々ミニシアター、新宿みたいにハコ同士の距離が離れてるのもちょっと違いますね。
共感&コメントありがとうございます。
リリーマルレーンとは熱さが違うと思います。
Denkikan一度行った事が有ります、市川由衣の映画だったか?カウンターみたいのまだ有りますか。