シャロウ・グレイブのレビュー・感想・評価
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ダニー・ボイルの映画キャリアはここから始まった
ダニー・ボイルの映画監督としてのキャリアは、スコットランドの最大都市グラスゴーを舞台にしたこのスタイリッシュな心理サスペンスで幕を開けた。冒頭、道路を疾走する映像からして既に画期的で、これが90年代初頭に撮られたとは思えない大胆さ。やがて3人の男女による新たなルームメイト探しは、「男の死体と残された現金」をめぐる攻防戦へと発展し、裏組織や警察なども巻き込みながら、それぞれが疑心暗鬼の螺旋階段へと陥っていく。
タイトルは「浅い墓穴」といった意味。本作では森の奥に掘られた穴や共同フラットの屋根裏などにまで視点を広げ、そのカメラワークは縦横無尽、かつ一向に留まるところを知らない。ボイル監督をはじめ、後に『トレインスポッティング』でその才気を爆発させるスタッフたちの「なにか爪痕を残したい」とする執念がビリビリと伝わって来る。ラストの顛末も含めて、ある意味『トレスポ』のプロトタイプとも言うべき創造性が充満した作品だ。
リメイクしても面白いのでは?
自殺?ヤク中?医者ならすぐ判断しろよ・・・
そんなことより、ベッドの下にあった大金に目がくらんだ3人。警察に連絡する前にネコババすることしか頭になかったアレックス(マクレガー)はどんどん持ち物検査しちゃったのだ。最初から金があるとわかってたのか?(笑) そして、ヒューゴの死体をバラバラに切断して山林に埋めるという作業を難なくやってまうのだ。
仲が良い3人といっても男女の関係はつきもの。後半になるとわかってくるけど、それは大した問題じゃない。どちらかというとハイソサエティな職業のはずだが、ハチャメチャ度といった点では共通だった。アレックスとジュリエット(フォックス)が無駄遣いするもんだから、デヴィッドは金を隠した屋根裏部屋に固執する・・・ヒッキーかよ。
時折挿入されてた映像はヒューゴを追う悪人と、彼の行き先を吐かされる男。徐々に彼らが迫ってくるのだ。フォークダンスを楽しんでる場合じゃない!そして部屋に乱入してきた2人。アレックスとジュリエットは縛られビニール袋を被せられる・・・ピンチ。そして屋根裏に登る悪人だったが、デヴィッドは難なく二人を殺してしまったのだ。慣れたもんで、2人の死体を同じ山に埋めてきちゃった。
死体は発見され、警察も彼らのシェアルームを訪れる。簡単には捕まらない展開だが、デヴィッドはアレックスを刺し、ジュリエットがデヴィッドを殺す。そして彼女一人で高飛びしようとするのだが、スーツケースを開けると金は新聞紙にすり替わってた・・・
斜に構えたイギリスらしいもの
"ウィッカーマン"
デビュー作らしからぬ
ケリーフォックスといえば初主演のエンジェルアットマイテーブルで既に大女優だった。この映画を見ると若い頃のアグレッシブな魅力がよくわかる。射るような碧眼をしている。威嚇してるわけじゃないのに威嚇できるキャットアイだと思った。また対人恐怖症のエンジェル~から鉄火女へ変幻してしまえるキャパシティの広さに改めて感心した。強欲に高笑いする一方で、やさしい母親の表情もできる。
鷹揚で朗らかでどことなくむっちりで、かつ、さらりと脱いじゃっているのもいい。男性というものは、あんがいセクシーな演出の為されているところで裸が出てきたって昂奮はおぼえない。ただし、予期もせず、ひけらかしもなく、もったいぶりもせず、さらりと映る裸にはグッとくる。これは日本映画にはぜったいにない演出でもある。
ダニーボイルといえばトレインスポッティングや28日/週後が有名だが、このデビュー作を見るとヒッチコッキアンなスタート地点がよくわかる。シーンの変わり目に構図をキメる感じ、なにかを秘匿している表情をとらえるカメラ、他者の行動を俯瞰するくだり等シャブロルよりずっとヒッチコックを思わせた。また、おそらく女性にとってはこの映画のユアンマクレガーはおよそ22か23なゆえに端正さには無類の輝きがある。とりわけケツ顎って言い方がよくわかるぷっくり感だった。
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