「やっと観れた1980年のミッシングピース」ジャグラー ニューヨーク25時 ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
やっと観れた1980年のミッシングピース
やったら面白かった。なるほど。1980年というとドン・シーゲルは『アルカトラズからの脱出』を経て『テレフォン』、ペキンパーは『コンボイ』、アルドリッチは『カリフォルニアドールズ』というみんな遺作をやってる頃で、ウォルター・ヒルが『ザ・ドライバー』撮って『ウォリアーズ』撮って『48時間』に向かうアクション映画の監督たちの入れ替え時期でもあったんだ。
この頃の車はやたら映画栄えする。銃撃戦が楽しい。そして無茶な撮影&無茶なシチュエーションが非常に面白い。電車や路上はゲリラなのかみんな振り返るのがいい。出だしはほぼ相米慎二の『ションベンライダー』(1983年脚本レナードシュレイダーなので影響を受けているのかもしれない)。ただ誘拐した子供が間違いと気づいても犯人が変態なので「そんなはずはない」で進んでしまい、警察も「元警官の娘か」で、むしろ「元警官」も変態扱いなのが衝撃的に面白い。そしてその変態に過去に因縁のある元パートナーの警官もイカれていて、都合全員イカれていて、ひたすら子供を取り戻すマシーンと化して不幸な元警官が走りまくる。
そして何を思ったのかこの犯人が誘拐した娘と恋仲であるという妄想に陥るサイコパスぶりで、天井に上がっていく階段を一歩一歩足をかけることが銃で撃たれるのより痛いと言う変態ぶりでとてもよかった。結果、みんな(途中で出てくる可愛い女性もそれを追っかけてくるヤンキー集団も)見事なくらいに何も考えていない勝手な連中ばかりの大運動会のようで美しかった。
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