シマロン(1960)のレビュー・感想・評価
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アメリカンドリーム
“ランドラッシュ”については『遥かなる大地へ』でも終盤にその様子が描かれている。尚、1930年にも同原作で映画化されている。
良家の娘でお嬢様育ちのセイブラ(シェル)は親の反対を押し切り、弁護士の夫ヤンシー・クラヴァット(フォード)とともに土地獲得競争に参加するために旅立つ。ランド・ランの前日、あちこちで知り合いに会うヤンシーに驚くばかりのセイブラ。その中にはヤンシーのかつての恋人ディクシー(アン・バクスター)もいた。育ての親でもあったサム(ロバート・キース)と話をする夫妻。荒くれ者という意味のある“シマロン”というニックネームも聞いた。それにしても、ギャンブラー、ガンマン、弁護士と職を変え、新天地で農家になろうと言うヤンシー。サムはまた新聞を発行してほしいと願っていたが、ヤンシーにとっては、やはりアメリカンドリームなんだろうな。
ランドラン開始!ヤンシーは元恋人に出し抜かれて望みの土地を獲得できなかった。サムは落馬して死んでしまい、彼の遺志を継いでオクラホマ・ウィグアム紙を発行することに。インディアンを迫害する輩を撃ち殺したり、かつての知人であったならず者が強盗をはたらいたとき活躍したりと何かと町の中心人物となっていたが、ヤンシーの転職歴を見てもかなり気まぐれ。過去最大規模のランド・ランが行われると連絡が入ると、家族を残して一人旅立つ。そして5年も帰って来なかった。おいおい。その間セイブラは新聞社を守り続けていたが、ヤンシーはキューバで義勇騎兵隊に加わっていて、戦争の英雄として凱旋帰国。
やがてトム(アーサー・オコンネル)が石油を採掘して石油成金になった。トムはランド・ランの前日に知り合い、馬車を貸してやった子だくさんの男だ。しかし、インディアンの土地を買占め、彼らに金が渡らないことを知ると、ヤンシーは記事で糾弾。やきもきされるばかりのセイブラ。周りは皆金持ちになっていくのに、自分たちは切り詰めた生活。そんなある日、ヤンシーに知事任命の話が舞い込んでくるが、それが利権を守りたい思惑のトムによる懐柔策であることを知ると速攻で断ったヤンシー。がっかりしたセイブラは金策に走り、新聞社を拡張する。それから10年、ヤンシーはまたもや失踪する・・・
1914年になると大企業となったウィグアム社の創立記念パーティ。トムのはからいで大学に彼女の彫像を作るというのだ。主人公はヤンシーじゃなく、夫と苦楽を共にし自らフロンティア精神で企業家となったセイブラだったのだ。息子がインディアン女性と結婚して、彼女の前に現れるサプライズより、こっちの方が驚きだった。後半になると歴史を追ってるだけでつまらなかったのに・・・女性西部開拓史だったわけですね。
そして、第一次世界大戦勃発、義勇兵として参加するというヤンシーの手紙とともに、戦死の通知が並べられてるところも痛々しい。
【2012年ケーブルテレビにて】
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