劇場公開日 1963年6月15日

「水墨画を模倣したアンリ・ドカエの美しい映像で描かれた、青年と少女の無垢な愛の物語」シベールの日曜日 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5水墨画を模倣したアンリ・ドカエの美しい映像で描かれた、青年と少女の無垢な愛の物語

2020年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館、TV地上波

16歳の時ノーカットのテレビ放送を観て大感激したフランス映画。2年後フィルムセンターで上映があり、いつものように余裕を持って到着すると既に長蛇の列だった。学生時代の短い間ではあるが、フィルムセンターで立見で鑑賞した唯一の経験をする。当時の学生入場料は140円なので立見への不満は無く、そんなことより、この作品がこれほどまでに愛されていることに感動してしまった。

映画については、なんて美しく悲しいストーリーなのだろう。青年と少女の許されない愛の悲劇に涙するしかない、自分の無力さ。映画を観て自分の優しさを顧みることの意味と、優しさだけでは社会は良くならない虚しさや、限界がある現実に苛まれる苦しさが、この映画を忘れなくさせている。

映画好きでまだ観ていない知人らに、この映画の物語を何度も語ったことがある。そして、最後のシベールの台詞を言うときは、決まって涙を堪え切れずに言葉に詰まってしまう。そんな映画です。

Gustav