7月4日に生まれてのレビュー・感想・評価
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おっさんになって見直すとちょっと残念なトム映画
トム・クルーズは、オレの尻が青いときは、髪形やしぐさを真似てみたり、オレがおっさんになって尻が黒くなっても、休みの日だとか、家族が外出した時とかなんだかポカンとした時、ひとり繰り返し鑑賞する映画スターとして、彼の出演作にはお世話になっている。
出演作全部をフォローするつもりはないが、デ・ニーロなんかよりかはいつだって憧れをもって臨める存在である。以前「コラテラル」のレビュー時に、彼の「作品」ベストと「トム」ベストのそれぞれ5位まで挙げたが、時によってやはりコロコロ変わるものだ。
5位・インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア
4位・デイズ・オブ・サンダー
3位・M:I-2
2位・コラテラル
1位・ナイト&デイ
が「トム」ベスト。彼の転機、ともいえる彼の出演作。順番はどうでもいい。
5位・コラテラル
4位・アイズワイドシャット
3位・マイノリティ・リポート
2位・オール・ユー・ニード・イズ・キル
1位・宇宙戦争
これが今のオレの彼の「トム作品」ベスト。「宇宙戦争」はオレの無人島1位でもある。
(「宇宙戦争」は「トム」ベストに入れてもいいほど、演技も素晴らしい。)
そして3位に「マイノリティ・リポート」が入ったからというわけではないが、すっころげたのが本作。
「7月4日に生まれて」
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公開1990年といえば、オレが最もきれいな目で映画を見ていたころ。そして「トップガン」、「ハスラー2」、「レインマン」といった作品群を経て、オリバー・ストーンとクルーズのキャリアアップのニーズが合致したかのように生まれた本作。
公開当時、受験に向けて、確か最後の楽しみとして本作を観たため、思い入れは他のトム作品よりも大きい。
「サルバドル」、「プラトーン」、「ウォール街」(その前は、「ミッドナイト・エクスプレス」、「スカーフェイス」、「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」の脚本家(どれも超好物))のストーンのもと、チャーリー・シーンではなく、クルーズが起用。
見納めとして、当時のベトナム戦争ものが大好きで、クルーズも憧れの存在故、オレとしては最高だったわけである。(余談だが、そのため、この直後のベトナム戦争ものの快作(怪作)の「ジェイコブズ・ラダー」を30年見逃すことになる。)
ノリに乗った二人による作品であることは周知のことで、実際興行も大成功。
そうして今に至り、DVDや配信で何度も鑑賞している本作。しかし、歳を追うごとに、オレの中の評価は下がってきている。
確かにクルーズ自身の最重要作品の一つになるだろうが、問題は作品自体にある。思い入れ補正取っ払うと、ちょいちょいと物申したいことがある。
1)ぶつ切りすぎる編集
上映時間145分は決して短くはないが、盛沢山のエピソード、場面場面で泣かせようとするシーンばかりを切り取って貼ったかのようで、ダイジェスト感が強い。
主人公の心情に変化の流れが感じられず、叫び回ったあげく、いつの間にかつきものが取れたような顔になって終わる。クルーズの熱演もこれでは台無し。
国のために戦ったのに、国は応えてはくれなかった、というジョン・ランボーと同じ主張にはなるのだが、こっちは泣き言にしか見えない、のが悲しい。戦地に赴くのは自分の意志(だけではないが)なのに、「泣き言をいう若者」の波乱の人生、とあえて言えなくもないが、同情しにくいのはひとえに編集のまずさが原因。オスカー編集賞受賞なんて、どうでもいい話。
2)感傷的なウィリアムズの劇伴
ずっとこればっか鳴っているため、ダイジェスト感、泣かせ感に拍車がかかる。これもオスカーノミネート。そのこと自体はこれまたどうでもいい話。
3)退屈な画
原作者の自伝および脚本であるためか、クルーズ出ずっぱりな構成は、そうならざるを得ないかもしれないが、結果クルーズ出てればそれで良し、という画。特に戦地での画が貧相。これは編集含め、予算も影響しているかもしれないが。
ラストはエキストラを増やしての再撮影らしいが、カメラは相変わらずクルーズを離れないのでその効果は薄い。
本作はクルーズとストーンのタッグという、当時としては、もうこれで映画なんて見なくていい、と思わせてくれる作品として登場し、同じ空気を感じた人が懐かしんだり、クルーズのいろんな顔をずっと画面で見ていたいという人には勧められる。(後者でいうと、「ナイト&デイ」や「オール・ユー・」の方がイイけどね)。
もう少しいうと、ストーンのベトナム戦争3部作としての位置づけでは「プラトーン」、「天と地」の間として、テーマはキチンと定位置にはあるので、その2作品もあわせて観ると、ストーンの力み具合いなども感じられて、より楽しめる。
という意味では、その当時が最も楽しく鑑賞できる映画だったということ。
追記
最後にスゴイ好きなところ。
デフォーとクルーズの唾吐き合いの「車いす」喧嘩が最高。言い争っている内容含め、子供の喧嘩。
これだけは、映画史に残る名シーンとしてオレに刻まれている。
自分の正義と勇気
トム・クルーズは派手なアクションがなくても、しっかりできる役者の証明をした。身体的な苦しみと良心の呵責に苦悩する姿は痛ましい。精神的に追い詰められ荒れる時代を経て、ラストは希望へ。
バリアフリーで今なら完備されている施設も当時は厳しかったな。それにしたってあの病院だよな。野戦病院は仕方ないとしても、名誉の負傷に対する敬意も感じられない感じ。泥沼ベトナム戦の負の光景を隠したい事情だったのか? なぜ切り捨てのように扱われた? 自分の知る限りのアメリカと違う、らしくない印象。
ディスイズアメリカ
想像とは違った内容。
主人公を通じてベトナム戦争前後のアメリカの現状を描いている。
子供の頃のパレードの軍人のかっこよさ
家庭での価値観、躾
学生生活
主人公はそこから戦争を選んだが、そうじゃない同級生もいる。
帰ってきてからは価値観が合わず転落。
ラストは救いがあるのはハリウッドらしいが、実際はそうでもない人が多いよね。
そこもある意味アメリカらしい。
真の世界平和とは
戦争をのぞむものはいない。そう信じたい。
なぜなら人が大勢死ぬから。
ここで思想の左、右の言及は控える
本作を通していえるのは、戦争は悲惨だということ。
ただただ、悲惨だということ。
戦場にいった本人もその家族も。辛い。
この世から戦争が無くなる日を祈るばかり。
しかし、
平和、平和、平和と闇くもに訴えていれば良いものではない。覇権主義にそんな綺麗事は通じない。
侵略される前に、すべきことがあるだろう。
自分の住む家のご近所の治安が悪かったとしよう。
その地域に強盗やさまざまな凶悪犯罪が多発していたとしよう。
そこで、24h、家の鍵をかけずに、窓全開でいられるようか。
これを国単位でリアルに考えるべき。
真の平和とは何か。
右から来たものを左へ受け流すの歌
7月4日といえばこの作品
10代の頃以来久々に2度目の鑑賞
監督と脚本は『プラトーン』『ウォール街 『JFK 』『天と地 』『ナチュラル・ボーン・キラーズ 』のオリバー・ストーン
脚本は他に原作者のロン・コービック
コービックの自伝を映画化した作品
愛国心に燃える若者が海兵隊に志願しベトナム戦争の前線で闘い重傷を負い2度と歩けない体になってしまった
帰国後野戦病院で粗末に扱われ怒りを露わにする主人公
車椅子姿になって実家に帰ってきた主人公は紆余曲折のすえやがて反戦活動家に変貌する
『トップガン』で一躍ブレイクしたハリウッドのイケメン代表格トムクルーズが若い頃に挑んだ社会派意欲作
アカデミー賞の前哨戦的位置付けらしいゴールデングローブ賞では見事主演男優賞を獲得
監督賞も脚本賞も作品賞も『7月4日に生まれて』だった
しかしアカデミー賞は監督賞と編集賞のみ
主演男優賞も脚本賞も作品賞もノミネートはされたものの惜しい結果となった
作品賞は『ドライビング Miss デイジー』
監督賞と作品賞が別なのはアカデミー賞の長い歴史においてわりと珍しいことのようだ
審査員の賛否が激しく分かれたのだろう
意見はまるで違っても大物審査員のメンツも大事にしたい
これこそ話し合いによる平和的解決であり妥協の産物だ
そのせいか映画comの評価は意外にもわりと低い
残念である
雨宮処凛をはじめ右翼から左翼に転向する者は日本でもよく見られるがロンは実際に兵士として身をもって地獄を体験しただけあって薄っぺらい甘ったれた連中とはまるで違う
保守なのかリベラルなのか
反米なのか親米なのか
思想によってこの作品の評価は分かれるかもしれない
自分はパヨクが嫌いだが戦争はもっと嫌いだ
戦場になれば映画鑑賞どころじゃない
仕事で海外に行くなんてまっぴら
もちろん自衛隊そのものには敬意を示すけどね
海兵隊の募集にやってきた軍曹役として『メジャーリーグ』でキャッチャーを演じたトム・ベレンチャーがちょっとだけ出演していた
軍曹の演説に陶酔する主人公の表情が印象的
主人公が自宅でキレまくり「ファックユー」とか「ペニス」などと叫ぶシーンは見どころ
メキシコ娼婦の全裸あり
きしくも母の予言は当たり大勢の群衆の前で演説する男になった主人公
車椅子の皆さんで会場に集まり戦争に反対し政府に抗議するあのシーンは感動した
愛国心ってなんなのか考えさせられる作品
「自由に反戦を叫べる権利も戦っている若者のお陰だ」という台詞も印象的
難しいことはよくわからないがただ言えることは自分で自分のことを愛国者だと自己紹介する奴に碌な奴はいないってことくらいかな
僕は戦争の話よりサミー・デイビスJr.の方が好きだな
人間らしい扱いをしてくれ!!
トム・クルーズが好青年のイメージで見ていた
自分を違う真逆の一面もあったことを
思い知ることが出来たストーリーでした。
ベトナム戦争で仲間を間違えて撃ってしまい
息を引き取る姿をただ、見ているしかなかったロンの悲しい瞳からは、悔しい気持ちが伝わってきました。
汝撃つことなかれ。
女性や赤ちゃんまでが血が通わなくなっていくシーン。
銃弾が胸に当たり枯れた大地に倒れ込む場面。
病院で懸命にリハビリをするロンの姿。
身体が不自由になり、苛立ちや怒りの感情をぶつけるロンの人間らしい姿を見ることができました。
自宅に帰ってきて家族、父親、母親、きょうだいに笑顔を見せたロンを応援したい気持ちで
見ていました。
一生車椅子生活になり、反戦運動などの
苦難や壁に打ち当たる人間像を見ることができた作品でした。
大義名分と現場の事実は異なる
戦争を終わらせたい。国と国のメンツのために、民間人何巻き添えになる戦争。
何度も聞かされ、誰もが思う不変のことなのに、今現在も戦争は起きている。愚かな人間につける薬はないものか…
トムクルーズが若い!
ベトナムを理解させたい熱意
アメリカ人でないとベトナム戦争やベトナム後遺症のことはなかなか理解できません。
かなりベトナム系の作品を観てきましたが、初めて感覚的に理解できたような気がします。
何が何でも理解させたいというストーン選手の熱情がつたわるような攻撃的な演出に、クルーズ選手の命がけ的熱演に圧倒されます。
演技派トム・クルーズ
スーパーアクションや二枚目のイメージのトム・クルーズですが、この映画では完全に演技派俳優です。苦悩や葛藤、心情の変化など見事に表現されていました。
なにがあろうと戦争は絶対に反対です。
観ていてずっと胸が苦しくなる映画でしたが、ラストシーンで少しだけ救われた気持ちにはなったけれど。
オリバー・ストーンのアカデミー監督賞が意外に感じる鑑賞に…
「レインマン」でのトム・クルーズの演技が
気になっていたところ、
彼の主演作品としてNHKで放映されたので
改めて鑑賞。
しかし、彼の演技以前に、
オリバー・ストーン監督の演出が気になる
鑑賞となってしまった。
国を想う若者が、
積極的にベトナム戦争に臨むものの、
戦友を誤射して失い、
下半身の自由を失い、
彼女への想いも失い、
同じ境遇の面々との付き合いのを切っ掛けに
反戦リーダーとして立ち上がる。
戦場の悲惨さと
帰還後の傷病者の厳しい現実描写こそは
ストーン監督の真骨頂だったが、
全般的に「プラトーン」や「JFK」の
メリハリ性は失われ、
緊迫感の失われた演出に感じた。
また、主人公が誤って撃った兵士の家族への
告白は残念だった。
思い出すのは、エルンスト・ルビッチ監督の
名作「私の殺した男」の結末だ。
殺した相手が敵味方の違いはあるが、
この「私の…」では戦争で息子を殺した真実を
告げずに、己への戒めとして相手の家族に
寄り添う決断を主人公はする。
しかし、この作品の結末では、
今さら真実を遺族に知らせてどうなる、
家族を苦しめた傷口を更に広げるだけでは
ないか、と感じてしまった。
また、オリバー・ストーンらしいラストの
反戦・反共和党むき出しの演出は、
余りにもストレート過ぎて、
逆に映画作品としての
反戦テーマ性を薄めてしまったように思う。
更に言えば、
米国社会の分断を煽るだけかのようにさえ
感じる。だから、
彼のアカデミー監督賞の受賞は
意外に感じられると同時に、
日本側評価のキネマ旬報の第76位の結果には
納得だった。
さて、トム・クルーズだが、彼らしからぬ
二枚目イメージを払拭したかの風体での
演技でチャレンジしたようだが、
それは、例えば
「バージニア・ウルフなんかこわくない」での
エリザベス・テーラーが、
彼女らしい優雅さを捨てた、
がさつな役どころで
評価を受けたのを残念に感じたように、
この作品の彼も、
もはやトム・クルーズ感がなく
残念に思う。
天下の二枚目のトム・クルーズらしい
役どころの演技で、
彼は評価されるべきと考えるのだが。
やはり傑作。20代であの演技は凄い!トムにもオスカーを!
久しぶりに鑑賞。
オリバーストーンの強い反戦への想いが、トムの力強い、渾身の演技からも強烈に伝わってくる作品。
プラトーンも凄かったが、実際にベトナム帰還兵だったというオリバーストーン監督の、とにかく伝えたいという想いが、プラトーンとはまた別の視点で、実話を元に描かれている。
この作品を初めて観た時のショックの大きさは忘れない。一人の普通の少年が、7月4日という日に生まれたこともあり、愛国心を特に強く持つようになり、憧れて志願し、ベトナムの最前線で、全く想像もしていなかった現実を突きつけられ、帰還後に更に想像もしていなかった苦しみと向き合うことになる。また同じように苦しんでいる帰還兵が山ほどいるということ。ドキュメンタリーやニュースでは伝わらない、心の奥底の苦しみ、悲しみまでが、俳優の演技を通して伝わってくる。戦争は勝ち負けに関係なく、大きな悲劇しか生まないということ。
主演のトムの演技は本当に素晴らしく、あの美しいトムからは想像が出来ない、ベトナム帰還兵のロンにしか見えなくなっていた。トムはこの役作りで約1年、車椅子で生活をしていたという。ストイックなまでの役作りはもう20代のこの頃から始まっていたんだなと。
ロンの母が「あなたが大勢の人の前で演説している夢をみた」これが結果的にロンにプレッシャーをかけることにもなったのだが、最後にあのようなカタチで、ロンの生きる道が開けたことだけが救いになった。
本当に素晴らしい、語り継がれなくてはならない、世界中の人に観て欲しい作品です。
愛国心か反戦か?
トムクルーズ扮するロンコーヴィックは、海兵隊に入隊する事を決めた。しかし、下半身マヒとなってベトナムから帰って来た。リハビリに精を出すがロンは時に荒れた。退院して車椅子の生活に入っても反戦の論調はロンを苦しめた。愛国心か反戦か? 戦争が間違っていたと言われた時の国を信じて戦って来た帰還兵の気持ちは? ダメージを負った肉体の代償は? 人を殺した失格者なのか? 悲惨な海兵隊員の末路。戦争は全てを否定する悪そのものなんだろうね。
7月4日に観てみる。 割と見た目カッコ悪いトム・クルーズの映画。 ...
7月4日に観てみる。
割と見た目カッコ悪いトム・クルーズの映画。
ウィレム・デフォー、トム・ベレンジャーのプラトーンbyオリバー・ストーンの続編みたいなの? そこから生まれたのね。
Tin soldiers and Nixon coming, We're finally on our own. This summer I hear the drumming, Four dead in Ohio. CSN&Y をおもいだした。
愛国心を持ち、ベトナムへ出征。下半身不随になり、心に傷を持ち祖国へ...
愛国心を持ち、ベトナムへ出征。下半身不随になり、心に傷を持ち祖国へ戻ってきても、反戦が高まる状況を受け入れることができない。
祖国の為に戦ったはずなのに受け入れてさえもらえない、何の為に戦ったのか、人間としての尊厳、若くしてその苦しみに立ち向かうのは辛かったと思う。
生き生きとした青年から堕落してく過程を演じたトム・クルーズの演技もよかった。
反戦映画として考えさせられる映画でした。
ようやく作品として観れた
今回見直してようやく作品として観れた感じ。
若干長尺だが濃い。テンションが緩むこともない。そこはトムクルーズの憑かれたような演技によるところが大きい。いいな、と思えるシーンも多数あった。そういう見方はガキの当時ではきないわな。。(地上波でたぶん2回は観てる)
列挙すると大変だがぱっと浮かぶのでひとつあげると、タクシーに置き去りにされデフォーとケンカするシーン、かな。深夜にペニスって叫ぶシーンも好きだけど笑
内容の解釈については簡単には語りづらい。愛国心と反戦という両極が主だが絞りきれないほどあちこちにテーマを含んでいる。
自由と民主主義の国とは何か いまなすべきことは何か? 日本人とて無関係ではありません 今現在の私達の問題なのです
感動しました
オリバー・ストーン監督はアメリカを心から愛しています
そして信頼をしています
ラストシーンは正にそれを具現化したシーンです
心が震えました
表面的な底の浅い単なる反戦映画などでは断じてありません
戦争に良い戦争も、悪い戦争もないのです
すべて糞ったれです
絶対にしてはならないことです
戦争とはより野蛮さを発揮した方が勝つものです
野蛮さを争うなんてナンセンス!
私達は文明国の文明人だったはずです
しかしだからこそ野蛮さに弱いのです
野蛮な相手は戦争で失われる人命など顧みもしないのですから
しかし戦争に負けるとは相手の野蛮さに打ち負かされ、野蛮な暴力に自分の身体も精神も屈伏させられることです
それだけでなく、妻も子供も、肉親も、子孫までも同じ目に合わせてしまうことなのです
アメリカには、本作のように戦争反対を大声で上げる自由があるのです
確かに劇中で触れられたケントオハイオ州立大事件のように権力側に理不尽に弾圧もされ殺される学生もでます
それでもアメリカは軌道を修正していく自由があるのです
このような原作を出版し、その映画を撮影できる自由があるのです
国家の過ちを糺して自省し修正できる民主的な文明国なのです
本作のラストシーンはそれを高らかに歌い上げているのです
だから故郷に帰った、やっと帰ったという台詞があるのです
だからステージの天井には巨大な星条旗のストライプが見えるのです
つまりオリバー・ストーン監督のメッセージはこうです
アメリカを信じている
過ちはしても必ず正しい道に戻る
批判に対して自省し軌道修正する度量を持つ国であると
自分はアメリカを愛しているからこそ批判するのだと
そしてそれだけではなく、さらにもうひとつのことを訴えています
それは劇中のケネディ大統領の就任演説のテレビ中継のシーンを挿入して、その有名な一節をもって代弁させています
我々はいかなる代価をも払い
重荷を背負い
すべての友を助け
すべての敵と闘い
自由の存続と繁栄を守ります
国からの奉仕を期待するのではなく
あなたが祖国に尽くすのです
これこそが本作の真のテーマです
戦争反対!戦争は糞だ!
そう言える自由がある国
自由な社会、民主主義の国
それを守る為になら、それでもなおいかなる代価をも払い、重荷を背負い、国に尽くす
それだけの価値があるのだと
民主主義 対 専制主義
つい先日アメリカ新大統領の口からこの言葉がでました
このような構図が私の生きる21世紀の今現在に進行中なのです
戦争反対や政府への批判をすれば、たちどころに投獄され命すら危ない国との闘い
21世紀のテクノロジーを使い個人の行動や思想信条、言論をすべて追跡して一切の批判も抗議も出来ない社会との闘い
香港は飲み込まれてしまいました
野蛮さとの闘い
戦争がもし起きてしまえば、ベトナム戦争以上の野蛮な戦場が超大規模に起きるのは明らかです
それに恐れをなして軍門に降り
自由を捨て専制主義を受け入れるのか
それとも民主主義の自由を守る為に、敢えて野蛮さの中に身を投じる勇気をもつのか?
その覚悟を持て
自由の存続と繁栄を守れ
そのためにあなたが国に尽くせ
ケネディの演説を思い出せと
監督のそのようなメッセージが公開後30年の時を超えて伝わって来るのです
本作の公開は1989年12月
その半年後にあの天安門事件が起きていたのです
中国に天安門事件の映画はありますか?
中国人が自らその事件を批判し、反省する映画を製作できるのでしょうか?
私達も天安門事件が無かったことのようにして、見なかったように振る舞い、経済的な損得を優先させてきた罪があります
主人公のロンが戦友を誤射して殺してしまったことを戦友の両親に打ち明ける勇気が無かったように
ベトナムの村人を誤って殺戮したことを隠していたように
そのツケがいま回ってきたのです
7月4日に生まれてとは、アメリカとは何かを問うているのです
自由と民主主義の国とは何か
いまなすべきことは何か?
日本人はどちらを選ぶのか?
それを問うているのです
無関係ではありません
今現在の日本人の私達の問題なのです
「アカデミー賞ください!」
劇場公開時鑑賞。同時期に同じくベトナム戦争ネタの『カジュアリティーズ』が公開されており、どちらを観ようか迷った上での選択だったが…。悪い映画ではないのだが、後から考えるとどうしても「稼げるスターですけどまだ若輩者ですので有名監督の作品で実力派俳優と共演して勉強しつつこんな汚れ役もやっちゃいますよ。だから…」的なこの頃のトム・クルーズの自己プロデュース戦略が露骨すぎてイヤ。『レインマン』とか『ア・ヒュー・グッドメン』とか。『ミッション・インポッシブル』でレベルアップするまではそんな印象。
全22件中、1~20件目を表示