「【”貴方が祖国に尽くすのです!”とケネディ大統領は言ったのに。”志願してベトナム戦争に臨んだ青年が下半身不随になり祖国に戻ると反戦運動が吹き荒れる中、失意の彼が自身を取り戻す過程を描いた作品。】」7月4日に生まれて NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”貴方が祖国に尽くすのです!”とケネディ大統領は言ったのに。”志願してベトナム戦争に臨んだ青年が下半身不随になり祖国に戻ると反戦運動が吹き荒れる中、失意の彼が自身を取り戻す過程を描いた作品。】
ー 今作では、若きトム・クルーズは殆ど車椅子の上で演技をしている。アクションシーンはほぼない。だが、今作のトム・クルーズの演技は素晴らしいと私は思うのである。
それは、祖国のために戦地に赴き、辛い経験をしながら祖国に戻ると、賞賛よりも非難に晒され心を壊されて行く様と、再生する様を上半身と表情のみで演じているからである。ー
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・序盤のロン・コヴィック(トム・クルーズ)は、強きアメリカを誇りに思い、ニューヨークヤンキースを愛し、野球に夢中になっている極普通の少年である。
だが、彼は生まれがアメリカ合衆国の建国記念日である事が原因ではないが、自ら志願してベトナム戦争に従軍するのである。
・だが、多くのベトナム戦争を描いた映画のように冒頭のベトナム戦争の悲惨さは、矢張りキツイ。銃が暴発した事が切っ掛けで、ベトコンが潜んでいると思ったボロ小屋に銃弾を撃ち込み様子を見に行くと、そこには血だらけのベトナムの民と、泣いている赤子がいるだけで、ロン達は絶句する。
・更に、ベトコンの攻撃を受ける中、ロンは逆光の中新兵のウィリアム・ウィルソンを撃ち殺してしまい、自らも下半身不随になってしまうのである。
■故郷、アメリカに帰ったロンは最初は家族に温かく迎えられるが、反戦運動に加担している民衆から罵声を浴び、徐々に精神を病んで行き、家庭に居場所がなくなりメキシコへと旅立つのである。
そこには、彼と同じベトナム戦争により車椅子生活を送るチャーリー(ウィレム・デフォー)と激しい口論になる中で、自身が殺したウィリアム・ウィルソンの両親に会いに行くのである。
このシーンは、非常に心に残る。涙を流しながら詫びるロンに対し、代々軍人家系の両親は彼を許さないと言いながら、神は赦すだろうと言うのである。
<そして、著作を記したロンは民主党大会に招聘され、演説の場に向かうのである。彼の表情は晴れ晴れとした表情で、満ちているのである。
今作は、オリバー・ストーン監督が「プラトーン」とは異なる描き方で、ベトナム戦争を描いた反戦映画なのである。>