死刑台のエレベーター(1958)のレビュー・感想・評価
全35件中、1~20件目を表示
登場人物がスマート
ジュリアンが社長室に侵入する際、鉤縄を使用していてやけに手際がいいなと思ったら、やはり元軍人だった。ここで登場する社長といい、後に出てくるドイツ人観光客といい、銃を突きつけられても動じず平静を保つ。そしてエレベーターに閉じ込められたジュリアンは、パニックを起こさず冷静に事態を認識する。やはり大戦経験者も多いこの時代は、肝の据わった人物が多いのだろうか。そんな登場人物のスマートさがこの映画の魅力の一つだと感じた。
ジュリアンは、途中エレベーターから脱出しようとして押しつぶされそうになっていてヒヤヒヤとした。ここで目も当てられないような死に方をして『死刑台のエレベーター』というタイトルに結びつくのかなと思いきや、回避できていたので関係無かった。
今作は、2つの事件と不倫が交錯して犯行が発覚するという緊張感のある展開で、楽しめる映画だった。
急がば回れ‼️
会社の上司を殺したモーリス・ロネが証拠を現場に残したことに気づき、取りに戻るが運悪くエレベーターが止まり閉じ込められてしまう・・・‼️冒頭、電話で「ジュテーム、ジュテーム」と声を流し込んでくるジャンヌ・モローの顔のドアップと声がなまめかしく、初見の際「これは凄い映画だ」と痛感させられました‼️映像もモノクロの鋭い陰影美が今見ても大変美しく、ヒジョーに新鮮‼️そしてそしてマイルス・デイヴィスの速攻演奏によるジャズ音楽が、主人公の置かれた立場のやるせなさを象徴していてズバぬけた効果をあげています‼️物語はモーリス・ロネの車が不良青年に悪用されて思いがけない方向に転じます‼️そしてラスト、現像液の中に犯罪の証拠写真が浮かび上がってくるシーンはホント衝撃的‼️素晴らしいです‼️打ちのめされます‼️ルイ・マル監督はこの作品がデビュー作だなんて、ホント天才ですよね‼️
マイルス・デイビスの曲
そっちへいっちゃうの?
おいおいそんな転がり方をしてしまうの?
って感じで展開も面白い。
そして作中に流れる
マイルスデイビスのトランペット!
しびれます。
トランペットの音色がこんなにもクールで心象を表すなんて。
ラストのジャンヌ・モローの独り言にもぐぐっときます。彼女は若く美しく、お金もある。そしてそのことを自分でもよくわかっている。
最後にはたった一つの恋のためにそのすべてを失うことになるのですが後悔はしてないのでしょう。愚かしいまでに一晩中彼を探した女。
平素の時なら彼女自身そんな女性を笑ったのでしょうが。
恋は女を狂わせる…。
混沌の中に屹立する愛
完全犯罪を遂行し、悠然とビルから立ち去るジュリアン。花屋の前に停めたコンバーティブルに乗り込み、ふと上を見上げる。殺害相手の部屋からダランと垂れた一本の縄。ルネ・マグリットの絵画のようにシュールで間の抜けたその光景は、ジュリアンの決定的失敗を示すとともに、これから始まる滑稽な負の無限連鎖を予感させる。
急いでビルに戻るジュリアンだが、警備員の勘違いにより不運にも彼はエレベーターの中に閉じ込められてしまう。ジュリアンの頭をよぎるさまざまな懸念。完全犯罪の失敗、カフェで待たせたフロランスとの駆け落ち計画。一方、花屋の前に停めていたコンバーティブルは鍵を挿しっぱなし。若いカップルに盗難されてしまう。カップルは男のコンバーティブルでパリの街をぶっ飛ばす。それを待ち合わせ場所のカフェから偶然見かけてしまったフロランス。彼女の双眸が捉えたのは、コンバーティブルと助手席に座った若い女。そして彼女は自分が裏切られたと早合点する。
些細なボタンのかけ違いによって物語はあらぬ方向へと駆け出していく。マイルス・デイヴィスの即興音楽がそれをさらに急かす。にもかかわらず主人公であるはずのジュリアンは一畳そこらの狭い箱の中でひたすら狼狽している。彼は堪えきれずにあれこれ脱出方法を模索するが、そのどれもが失敗に終わる。動と静の皮肉なまでのハイコントラストに思わず笑ってしまう。
物語はやがて制御不能の域に達し、すべての登場人物がめいめいに迷走を始める。本作ほど警察組織を素朴に応援したくなってしまう映画もない。公権力というデウス・エクス・マキナ以外に、この暴走列車を制止する術はないからだ。翌朝、ようやくエレベーターから脱出したジュリアンだったが、時すでに遅し。新聞は既に彼の容疑(しかも彼とは無関係な殺人事件)を大々的に報じており、ジュリアンは立ち寄った行きつけのカフェで現行犯逮捕される。マジで最後の最後まで何もできなかったのが面白い。
一方、自力でジュリアンへの誤解を解いたフロランスは、ジュリアンにかけられた嫌疑を晴らすべく最後の最後まで奔走する。結局、彼女の決死の行動はシェリエ刑事の立ち回りによって阻止されるのだが、これから先ジュリアンに会うことはできないのだと悟ったフロランスの、愁いを帯びた表情は美しい。何もかもがメチャクチャに混線してしまった中で、愛だけが不変だったのだ。本作が純愛映画の傑作と謳われる理由がようやく理解できた。
小粒だが完成度は低くないミステリー
何とか降りられたことで免れたのですから、ジュリアンがのっていたのは、やはり死刑台へと繋がっていたエレベーターだったようです。
ストーリーとしては、そう複雑な一本ではないのですが、そのジュリアンが軍隊時代に使っていた(?)超小型カメラの伏線も、最後にはちゃんと回収されるなど、今となっては小粒であることは否めないものの、ミステリーとしての完成度も決して低くはないと思います。
楽しめる一本だったと思います。評論子は。
男は女を、女は男を愛していた/単純な物語だから何よりも強い。
恋人との計画のため会社に忍び込んだ男は
目的を済ませた後エレベーターに閉じ込められる。
男の恋人はその会社の社長夫人。
一方、閉じ込められた男の車を盗み街を走る若い男女。
社長夫人は戻らない男を探しにパリの街を彷徨う。
エレベーターの男
その恋人の社長夫人
男の車を盗んだ若者
この3つが重なっていく。
モノクロの街に流れるJazz
マイルス・デイビスの渇き切った音。
男の恋人はつぶやく
「愛している」
※
初めて観た。面白い。
ジュリアン、ツメが甘い。計画立てた割には、ロープの回収忘れたり、車の中にピストル、書類、コート置いたまま盗まれちゃうし。ハプニングとはいえ、エレベーターに閉じ込められちゃうし。ところであのロープ、誰が外したんだろう。
社長の奥様の行動も謎。ジュリアンが若い女と車で走っていくのを観ているのに、何故街を彷徨い探し続ける?そして、昔は朝方まで飲んでいると,警察に捕まるの?
あのまま、ドイツ人の夫婦殺害の罪を来た方が良かったのか、社長殺しのが良かったのか。どちらにしても罪は罪。
監督はこの映画を撮ったのが25歳。若いのにすごいなあ。ジャンヌ・モロー、名前は聞いたことあったけど、初めて観た。とても綺麗で(白黒だから?)魅力的。
吉瀬美智子の日本版、観たことあるのを思い出した。本家のがやはり面白い。
夫殺しのストーリーなのに、世紀の悲恋に思えてくる不思議!
ラストが秀逸!!
じいッと写真をみつめるジャンヌ・モロー。
恋人ジュリアンとの愛の記憶が写真には焼き付いている。
(これは現実の愛より、数倍も数10倍も美しいもの)
(うつろいやすい愛が、固形物になり、時間が止められている)
(フロランスもジュリアンも、なんの汚れない恋人たち)
『死刑台のエレベーター』はルイ・マル監督が25歳で1957年にこの映画を
撮りました。出世作です。
『世にも奇妙な物語』(1967年)の中の1話。
『プリティ・ベイビー』(1978年)
『ダメージ』(1992年)を観ています。どの作品もルイ・マルらしい・・・
そういう共通点はありません。
『死刑台のエレベーター』
題名の衝撃性。マイルス・デイビスの音楽(トランペットのソロ)
そしてジャンヌ・モローの美しさ。
私はジャンヌ・モローを美人だと思ってなかったです。
小柄、痩せっぽち。唇の端を歪める癖。しゃがれた低い声。
リアル・タイムで知った時は、お婆さんだったせいもあるけれど、
カトリーヌ・ドヌーブやオードリー・ヘップバーンを美人だと
思ってました。
はじめて観た映画は、
『ニキータ』の教育係りの女。
それから、
『愛人/ラマン』の声の語り(マルゴリット・デュラスの声の役でした)
しかし、はじめて見た時から、頭抜けた才能でした。
この映画のモローは美しい。
恋人ジュリアン(モーリス・ロネ)もとても美形。
待ち合わせ場所に現れないジュリアンを探してパリの夜道を歩き回り、
突然込み上げる感情に涙がツツーっとひとしずく流れます。
恋する女の激情が、涙の一滴にこもります。
社長夫人のフロランスとジュリアンは社長を殺して、2人は幸せになるはずでした。
計画は完璧でした。
密室殺人にみせるトリック。
社長室の部屋の鍵をナイフでうまく閉めて逃げるジュリアン。
しかし、侵入に使ったロープを回収するのを忘れて、
引き返したエレベーターに閉じ込められる羽目になります。
ここから映画は意外な展開をみせます。
止めておいたスポーツカーに花屋の娘とその恋人のチンピラが、
乗り込んで勝手に高速を乗り回して、挙句にドイツのメルセデスベンツに乗る金持ちと
カーチェイスをした挙句に、同じモーテルにチェックインして、パーティを
楽しむことに。
チンピラの若者は、ジュリアンの車、コート、小型最新式カメラ、そして拳銃・・・
拳銃まで自分の所有物にします。
そして名前(ジュリアンの姓のタベルニエまで、名乗ってしまう)
ルイ・マル監督。
伏線の回収も実にお見事。
モーテルでドイツ人の若妻が、
「フイルムが3枚残ってるわ!」と、若者と夫のツーショットを撮ります。
この写真が、動かぬ証拠写真になるのです。
小ネタも隅々に伏線が張られます。
ジュリアンのスポーツカーが若い娘を乗せて走り去るのを、フロランスは目撃。
(運転席は見えないのです)
最後の証拠写真の提示も、見事です。
鳴り響くマイルス・デイビスの虚無的なメロディ。
ひとつの拳銃は2組の恋人たちの破滅を演出します。
ハードボイルドなノワールの傑作。
今観ても、色褪せることなく、ドキドキしました。
元軍人の男が不倫相手の夫である社長を銃殺したが、社内のエレベーター...
元軍人の男が不倫相手の夫である社長を銃殺したが、社内のエレベーターに閉じ込められてしまう。
密室殺人に成功したまでは見事だったが、ロープを残したまま会社を出ようとしたのはお粗末過ぎた。
ドイツ人殺しは死刑だが、夫殺しは懲役10年程度というのは時代背景を感じた。
警察はよくあの男が犯人だと分かったものだ。
密室だったし、自殺で片づけそうなものだが。
一歩間違えば、完全犯罪!
間抜けな男が招いたおかしな犯罪。
所謂、こんな目に合わなくて良かった。私は幸せ。で良いと思う。一歩間違えば、完全犯罪!
一番悪い奴が死んだのに、間抜けな犯罪者のちょっとしたミスで、フランスの虐げられた青年が殺人まで犯してしまったって言う構図。
マイルスデービスのトランペットもミュートを付けて軽く鳴らすので、火の吹く様な演奏ではなく、なんとなく怠惰的。まぁ、一つの味だとは思うが。
しかし、モーリス・ロネってリノ・バンチュラにとっ捕まり、アラン・ドロンに殺される。良い男なのに可哀想。そうだ、次は 冒険者たち でも見よう。
【”勘違いと、見込み違いと、人違い・・。”ストーリー展開の見事さと、過酷だが見事なラストにも唸らされる。マイルス・デイヴィスの乾いたトランペットの音色も印象的な作品。】
ー 今作のラストシーンは、忘れ難い。ー
<Caution ! 以下、内容に触れています。>
・全編に流れる、マイルス・デイヴィスのトランペットの音色が、作品の趣を高めている。
・フロランス・カララ夫人(ジャンヌ・モロー)の愛人ジュリアン(モーリス・ロネ)に憧れる花屋の娘ヴェロニクの恋人のルイが、ジュリアンのコンバーチブルカーを盗み、幌を下ろして走る車の中のルイの姿を見る、フロランス。
・彼女の心の葛藤の描き方も、絶妙である。
”おかしい・・。彼は私の夫を殺している筈なのに・・、何故若い娘と・・。”
それでも、フロランスは自らの夫を殺めたジュリアンがエレベーターに閉じこめられていた間、必死に彼を探し続ける・・。
<ラスト、見事に恋人を罪から救ったと思った女フロランスの目の前で、現像液の中で浮かび上がった、”二人の姿”
シェリエ刑事が彼女に告げる、冷たき言葉。
そして、フロランスのモノローグ
”彼が、10年刑務所に入っている間に、私は老いる・・。”
破綻なき、ストーリー展開にも痺れる作品である。
犯行計画はアレなんで、ストーリーはなんだかなぁなんだけど、キャラと...
犯行計画はアレなんで、ストーリーはなんだかなぁなんだけど、キャラと音楽の良さ、スタイリッシュさがあって総評としては非常に良い。ジャンヌモローは今までニキータ以降のお年を召してからの作品しか観たことがなく、若い頃の作品を観たのは今回が初めて。魅力的、他のも観たい。
人間らしい失敗
大人の愛を貫くがための殺人計画…。
冷徹かつロマンチックなムードで話はスタートするものの、実行してみると「え〜運悪すぎでしょ。何でこうなっちゃうの?」という予想外の展開に。現実にあり得なくはないだけに、なかなか楽しめた。
予想外といっても、そもそも原因はジュリアンが縄を片付け忘れたことだから、救いようがない。縄のお片付けは、この計画においては何があっても絶対しぐじってはいけない最大のポイントだったのに!
これをしくじるようでは、彼には、もともとこの犯罪はムリだったヾノ・∀・`)
一見シリアスなムードながら、不完全な人間たち(=人間らしい人たち)がしでかす失敗を、皮肉って、と同時に可愛く、愛情をもって描いているような、そんな印象の小洒落た映画だった。
愛は盲目
お国柄なのか時代が違うからなのか、登場人物誰一人として共感出来ませんでした。
特に若いカップルの短絡的な行動は全くもって理解出来ませんが、愛は盲目なのか、愛する人のやることなすこと全て従いますついて行きます、というこれはやっぱりフランス人特有の愛の深さなのでしょうか。これが若気の至りで片付けられないのは、大人の不倫カップルの行動もこの若いカップルと大差ないから。まあ一緒になりたいから夫殺してくれって頼むくらいだから、理性なんてなくなるんでしょう、愛は盲目が故に。
フランス映画、モノクロ、マイルスデイビス、と言ったお洒落ワードを並べてこの映画好きなら通みたいな風潮もありますが、まあ雰囲気を楽しむ映画なのかな。
「もう、観なくていい」。 今じゃ、考えられん日常。今でもありうる間抜けさ。
ポスターだかで有名な、エレベーターから手を出しているシーンだけを見て、「あぁ、エレベーターん中で死んでいく映画なんかなぁ」と思っていたが、全く違う。
なんか、携帯電話が普通の今の時代では考えられない。すれ違いのすれ違いの連続。
この映画、有名なのかもしれないが、一番台無しにしてるのが、ひっかけたロープを放置したままにしたこと。
どんな殺人計画であれ、そんなん、忘れるなんてありえへんやん。それに登ってたら、周りから丸見えやろうし。なんて間抜けな計画。
挙句には、エレベーターに閉じ込められて四苦八苦。あほらし。
一方は、間抜けな若いカップル。車盗むわ、当てるわ、行き当たりばったりで人殺すわ。
自殺には失敗するわ。
これ、「死刑台のエレベーター」ってより、「オーディナリーピープル」にちなんで、「間抜けな人々」ってタイトルの方が、ホンマ、ぴったりやと思うわ。
当時、この映画ヒットしたのかなぁ? こんな内容で観客は満足してたのかなぁ~。
少なくとも俺は、もう観なくていいや。
上手い!恋する「女」の一念を表すのにこれだけの御膳立てをするとは!
①やっと観ましたが、やはり世評に違わぬ傑作!淀川長治先生も言ってましたが、ルイ・マルはやはり早熟な天才ですね。
②ジャンヌ・モローのアップで始まり、ジャンヌ・モローのアップで終わる。打算も悪徳も越えて「恋」だけに生きる女を演じさせたらやはり右に出るものがないのも納得。全編殆ど笑わなくて(幸せそうに笑っているのはラストの写真の中でだけ)ムスッとしているのに、恋する女の情念はひしひしと伝わってくる。流石というか、見事です。
③モーリス・ロネもジャンヌ・モローが一途に愛する男にふさわしい色気を醸し出していて、こんなに男前だったのかと思うくらい。④やはり「恋」の映画を撮らせるとフランスは大人の国ですね。
⑤あまり人の批評に難癖をつけたくはないですが、低得点を付けた人たちは映画のことをわかっていませんね。映画は感じるもの。内容は二の次。それとも本当に狂うほど人を好きになったことがないのかな?
⑥担当刑事役、よく似てるなと思ったら、やっぱりリノ・バンチュラでした。ルイ役の俳優、『禁じられた遊び』のミッシェルだったとは!ジャン・クロード・ブリアリも端役で出てましたね。
⑧最近のダラダラと長い映画に比べ、この内容で92分とは!
こういう時代のこういう感じ、好きだなー。 サスペンスとして観てはい...
こういう時代のこういう感じ、好きだなー。
サスペンスとして観てはいけないんだなと、ここのレビューを見て改めて思った。
音楽と、主演女優の妖艶さがたまらなかった。
あとドイツ人のほうを殺した青年が単細胞というか、後先考えなさがものすごい(笑)。でもめちゃくちゃカッコいいから複雑な気持ちになるのも含めて、惹き込まれる良い作品。
全35件中、1~20件目を表示