ジェニーの肖像

劇場公開日:

解説

「レベッカ」のデイヴィッド・O・セルズニック製作になる1947年度作品で、ロバート・ネイザン(「気まぐれ天使」)の同名の小説からレオナルド・バーコヴィッチ(気まぐれ天使)が潤色、「仔鹿物語」のポール・オスボーンがピーター・バーニースと協同で脚色し、「欲望の砂漠」のウィリアム・ディーターレが監督した。撮影は「悪魔の金」のジョセフ・オーガスト、音楽は「西部の男」のディミトリ・ティオムキンで、ドビュッシイの曲を使用している。「ガス燈」のジョセフ・コットン、「聖処女」のジェニファー・ジョーンズをめぐって、「ミネソタの娘」のエセル・バリモア「奥様は魔女」のセシル・ケラウェイ、往年のスター、リリアン・ギッシュが出演する。なお本作品は幻想的雰囲気を強調するため、さまざまな特殊技巧を使用しているので評判となっている。

1947年製作/アメリカ
原題または英題:Portrait of Jennie
配給:東宝洋画部
劇場公開日:1951年7月3日

ストーリー

1938年の冬、貧しい画家のイーベン・アダムス(ジョセフ・コットン)はセントラル・パークでジェニーと名乗る可愛い少女(ジェニファー・ジョーンズ)と出合った。彼の描いた少女のスケッチは画商のマシューズ(セシル・ケラウェイ)やスピニー嬢(エセル・バリモア)の気に入り、彼もようやく芽が出かけた。公園のスケート・リンクで再びジェニーに出合ったアダムスは、彼女が暫くの間ににわかに美しく成長したのにうたれ、早速その肖像画を描く事を約した。約束の日彼女は来ず、彼女の両親がいるという劇場を訪ねたアダムスは、その劇場が既に数年前に潰れて当時からジェニーは尼僧院に入れられていることを発見した。数ケ月後、消息不明だったジェニーは、成熟した女性になって突然アダムスの画室に現れた。彼は直ちに肖像画制作にかかるが、未完成のまま彼女は姿を消してしまった。しかしモデル不在のまま完成したその画は非常な評判となり、アダムスは一躍画壇の寵児となった。ジェニーを求めて尼僧院を訪れたアダムスは、彼女が1920年ニュー・イングランドを襲った津波で溺死したことを聞いた。彼はすぐさま現場の岬へかけつけねボートを漕ぎ出したが、とたん、彼のボートも猛烈な暴風で叩き潰された。命からがら崖にはい上った彼はジェニーのボートが近づいて来るのを見、夢中で救い上げたが、襲いかかった波は二人を呑んでしまった。アダムスが気がついた時、周囲の人々は誰ひとりとしてジェニーを知らなかった。彼女は、ただアダムスの心の中だけに永久に生きている女性なのであった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第21回 アカデミー賞(1949年)

受賞

特殊効果賞  

ノミネート

撮影賞(白黒) ジョセフ・オーガスト
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映画レビュー

4.0肖像画にジェニーへの愛が凝縮されている

2024年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 公園でのジェニーとの邂逅が生むときめき。ジェニーを愛する気持ちが、売れない画家イーベンの絵に魅力を備え、売れる画家へとなっていく成長譚が良い。そして次にジェニーと会う約束をする度に、もう二度と会えなくなってしまうのではないかと思わせる展開が切ない。そんな切ないストーリーを、劇中に挿入される音楽が盛り上げていて良かった。

 ジェニーとの出会いを誰も信じてくれないと言うイーベンに対して、「あなたが信じていればそれでいい」と声をかける画商の女性の言葉は、達観した大人の優しさに溢れていたのが良かった。

 メトロポリタン美術館で飾られるジェニーの肖像画は、彼女に対するイーベンの愛が、絵画という形で凝縮されていて泣けた。

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根岸 圭一

5.0サスペンス?ホラー?ファンタジー?、「君の名は」などヒットアニメの元祖的要素に衝撃

2023年6月18日
iPhoneアプリから投稿

小学生の時にTVで見た記憶があって、何故かやけに印象深く残り続けた作品であり、その前後に古書店でたまたまパンフレットを見つけて買って持っている。

しかし、内容の記憶があやふやになっていたので、最近になって数十年ぶりに再鑑賞した。(なんか恐怖映画までいかないが、サスペンス的なイメージがあった。)

サスペンスかと思いきやホラーみたいな展開になったと思いきや、最後はSF、orファンタジーだったオチ?

主人公二人の現在と過去の時間が交錯する展開、近年ヒットしている日本のアニメ映画の元祖的展開に驚きを覚えます。
この時代のこんな発想を既に映画化していたなんて!?

ハリウッドの大物プロデューサー、デヴィッド・O・セルズニック氏である辺り、ただものな作品では無いと納得も。
なにしろ「キング・コング」、「スタア誕生」、「風と共に去りぬ」、「レベッカ 」「第三の男 」、「武器よさらば 」など、映画史に残る作品だらけですから、ありきたりな作品に終わるはずも無いですね。

兎に角、制作された年度から考えると、可成り凄い作品です。
このような、あらゆる要素で掴み難い展開、先取り感が凄すぎる。

これらの要素が遺伝子のように、後の作品へと流れていった(クリエーターへに大いに影響を与えた)事は間違い無いでしょう。

モノクロ作品ですが、「肖像」部分のみカラーというのもある意味、すごいと…..

間違えなく、「名作」と思います。
言い方を変えると「恐るべき作品」とも…..

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アンディ・ロビンソン