「反戦色強い」シェナンドー河 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
反戦色強い
チャーリー・アンダーソン(スチュワート)は16年前に最愛の妻を失っていたが、6人の息子、1人の娘、そして長男の嫁とともに農場経営によって平和に暮らしていた。戦争反対というより、戦争に興味が無いアンダーソン一家。バージニア州は南部連邦側に属していたが、南軍からの誘いだけではなく、北軍からも馬の徴用にやってきていた。しかし、チャーリーはそんな徴用を全て拒否し続けていたのだった。そんな折、南軍兵士になろうとするサム(マクルーア)がチャーリーの娘ジェニー(フォーサイス)に求婚。めでたく夫婦となったが、あっという間に参戦。16歳になる末息子ボーイ(フィリップ・アルフォード)が南軍兵士の帽子を拾って、それをずっと被っていたために北軍兵士たちに連行されてしまったのだ。
関与したくなかったのに、戦争に関わってしまったアンダーソン一家。長男ジェームズと嫁のアン(キャサリン・ロス)を残し、4人の息子と新婚妻のジェニーがボーイを捜索、救出に出かけた。兵士じゃないからと、上官たちは友好的に対応してくれたが、輸送列車の兵士たちはそうもいかない。ライフル銃で脅かし、強引に捕虜となった南軍兵士たちを解放してしまった。するとそこにはサムの姿も・・・
留守にしていた家では、野盗どもに襲われ、赤ん坊は無事だったが、ジェームズもアンも殺されてしまった。そして、ボーイを見つけられずに帰宅する残りの家族は、南軍の残党にジェイコブ(グレン・コーベット)を殺されてしまう。戦争に直接関わっていなくても、何かしらの因果で不幸に見舞われる家族。この上、ボーイも殺されていたら・・・
ラストシーンでは教会に相変わらず遅刻するアンダーソン一家の前に傷ついたボーイが現れ、最後まで悲しさを背負わないところが上手いストーリー。しかし、もっと印象に残るのは主人公チャーリーのしっかりとした反戦メッセージ。「戦争は葬儀屋の一人勝ちだ。政治家たちは戦争の栄光を語り、老人は戦争の必要性を説き、兵士たちはただ家に帰ることを望む」と墓前で亡き妻に語るシーンだ。痛烈な皮肉としては、序盤で徴兵にやってきた南軍兵士たちが直後にあっさり殺されるところだろうか。南北戦争を題材にした映画で、これほどまで反戦色の強い映画は他にない!
ただし、変なエピソードが若干ある。捕虜を解放した直後に列車を燃やすシーンだったり、人を殺すことにある程度寛容だったりと・・・その辺りがマイナスポイント。ただ、ジェイコブを撃った敗残兵がボーイと同じ16歳だったこともあり、お前が父親になってから子どもを殺される気持ちを知れ!と、少年を赦すところは意味深だ。
【2013年視聴】