「寡黙で思いやりがあるアメリカンヒーロー」シェーン kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
寡黙で思いやりがあるアメリカンヒーロー
子供の頃、西部劇のヒーロー俳優たちの早撃ちランキングみたいなものをテレビで観た記憶がある。
アラン・ラッドは確か5〜6位だった。
シェーンが1位じゃないんだ、と思った記憶がある。
で、誰が1位だったかは、覚えていない。
俳優たちの早撃ちシーンを計測して、コンマ何秒だ、と説明されていた。
当時子供たちから人気があったのは、ジュリアーノ・ジェンマで、上位にはいたが、彼は早撃ちよりも曲撃ちだと解説されていた気がする。
どなたか、ご記憶のある方は、教えていただきたい。
本作は、正統派の助っ人もので、アメリカ人の開拓精神と良心がこもっている。
シェーンがジョーイ少年に銃の撃ち方を教え始めたとき、母親が「銃がなくなればいい。それも含めて」と、シェーンの1丁を指して言う。
シェーンは「銃は道具だ」と言うが、当時は今ほど銃による悲惨な事件は報道されていなかったと思うけれど、銃社会であるアメリカにおいて、ガンファイトヒーローを描く映画の中に作り手の良心は確りと現れている。
ラスト、シェーンが少年に「人を殺した者はそれを一生背負い続ける」と言って去っていく場面にも繋がっている。
「ストリート・オブ・ファイヤー」を公開した頃ウォルター・ヒルは「ヒーローは去っていくもの」と言ったが、意味もなく去るのではなく、銃を捨てようとして捨てられなかった宿命を背負ってシェーンは農業者一家から去っていくのだ。
今回の鑑賞で思ったことだが、多分シェーンはあのまま馬の上で孤独に死んでいくんだろう。
それをジョーイ少年が知ることはないのだ。
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