劇場公開日 1980年5月24日

「低予算の映画職人が集まった名作」サンゲリア Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0低予算の映画職人が集まった名作

2022年7月15日
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78年の「ゾンビ」のスマッシュヒットを受けて急遽製作された悪名高き亜流続編。ズバリ原題は「ZOMBIE 2」。邦題は「ゾンビ」の配給元との兼ね合いもあり、赤い鮮血をイメージした洋酒、サングリアをもじった「サンゲリア」となった。当時は死霊の〜とか、〜リアっぽいタイトルの王道作品から亜流作品まで多くの作品が登場していた。

ルチオ・フルチは意外にも本作がホラー初挑戦となるわけだが、それまでの芽の出ない時期を払拭するかのようにグロに底力を見せる。結果的に興行的には成功し、マカロニ・ホラーの帝王としてその名を轟かせる事になる。残虐シーンに置いては、ゾンビが死肉を食らうシーンは本家を越えるえげつなさがある。その他にも美女の眼球串刺しシーンや、ホラーファンでは「名シーン」の呼び声の高いサメとゾンビの格闘シーンまで描かれている。このシーンは製作のウーゴ・トゥッチがフルチに許可なく勝手に追加撮影したというのも有名な逸話だ。腐乱したゾンビのインパクトも大で、必要に応じてゾンビの顔にフルチがポケットに忍ばせたミミズをトッピングするという猟奇趣味を炸裂させる。そして本家と並ぶ70〜80年代を代表するゾンビ・ムービーとなったのである。

物語的には至ってシンプルであり、例えこれが現在製作された作品だったら、幾多ある作品に埋もれてしまうだろうが、ルチオ・フルチというネームバリューと、当時の逸話を知っていると、どこかゾンビにも愛嬌を感じ、思い入れの深い作品になるわけである。この年代のホラーには何か不思議な力があるのかも知れない。

Mina