劇場公開日 1954年6月4日

「ジンネマン監督の正義感と焦燥感」山河遥かなり Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ジンネマン監督の正義感と焦燥感

2020年5月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ナチスの迫害を受け戦争孤児となった少年とアメリカ兵の物語で、大戦後のドイツの混迷を証明する映画。ジンネマン監督が祖国ドイツの悲惨な姿を記録映画のように描いたリアリズム。大人たちの善意の行動が理解されず、怯え慄く子供たちの実態が痛々しい。ジンネマン監督の表現者としての正義感と焦燥感が交差して感じられる、実質的な処女作にあたるもの。堅実で生真面目な映画監督でした。また、モンゴメリー・クリフトの初々しい演技が記録されています。アメリカの男優では数少ない、繊細で翳のある個性派俳優でした。
同時にアメリカ映画のヒューマニズムをプロパガンダする硬さがあるのも事実で、映画としての評価は好みに左右されそうです。

Gustav