「活劇とはこういうことだ」ザ・ロック kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
活劇とはこういうことだ
午前十時の映画祭にて。
無駄なシーンがなく、サスペンス活劇の手本的な作品。
カット編集が絶妙で、今観ても迫力充分。時折見せる仰角アングルの使い方が印象的。
たが、なんと言ってもニコラス・ケイジ、ショーン・コネリー、エド・ハリスの3人の魅力がこの映画を支えている。
ニコラス・ケイジをカッコいいと思ったことはないが、親近感があって憎めない男が泥臭くもスーパーな活躍を見せるのがいい。
エド・ハリスの無骨だが哀愁すら感じる佇まいは、悲壮感漂う軍人の役が本当に似合っている。
御大ショーン・コネリーがとてつもなくカッコいい。貫禄とか渋いとかを超越した、大人の男とはこうだという色気に溢れている。
冒頭、毒ガスが仕掛けられた不審物を検査するFBIのラボの場面で、ニコラス・ケイジの相方は箱から出てきたぬいぐるみで遊んで大事になる。
また、ショーン・コネリーに同行してホテルのスウィートルームに詰めたFBI捜査官たちが監視そっちのけでルームサービスに貪りつく。
こういう仕事中の不真面目さが、エリートが緊張感を高めるはずのシーンで描かれることが割りとあるのがアメリカ。
これがアメリカ人気質なのだろう。
一番好きなのは、ショーン・コネリーが娘と会うシーン。
娘役のクレア・フォーラーニのどことなく哀しげな表情が魅力的で、短い台詞のやり取りで二人の関係性が伝わってくる。
そして、ニコラス・ケイジがニクい気遣いを見せ、ショーン・コネリーが礼を言う。
アクション映画にあって、アクション抜きで男の粋を見せる名場面だと思う。
映画祭の復活こけら落としに、昨年他界したショーン・コネリーをフィーチャーした企画として本作と『アンタッチャブル』を選んだ主催者に感謝。
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