サルバドル 遥かなる日々のレビュー・感想・評価
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映画史上に残るやけくそ演技
ウォールストリートが散々のようだが、まだ観れてない。
オリバー・ストーンはオレの10代後半の青春だった。
脚本担当のミッドナイト・エクスプレスは、恋人のおっぱいをガラス越しにまさぐり自慰をするシーン、ポール・スミスに掘られそうになる息詰まるシーン。なんて頭がおかしいのか、と中学生ながら感心してしまった。
同じく脚本担当のスカーフェイスでは、品の無いクソ野郎を主人公にし、パチーノを実在のクソどものヒーローに仕立て上げた。
(まったく余談だが、ジョルジオ・モロダーのシンセが意外とグっとくる。)
それらをVHSで観てたころ、プラトーンのオスカー受賞を知った。
プラトーンはつまらないとまではいかないが、どこか映画として無難すぎだったように記憶する。戦争の真実とかなんとか言う割には、ドラマが中途半端にあって、「なんかジェントル」な印象。
ところがこの「サルバドル」はとんでもなかった。
内戦の話なのだが、アメリカの左翼勢力の抑制のための軍事介入批判の映画なので、若干左翼を甘く描いている部分はあるにはあるが、そういう見方をすると、この映画の面白さを堪能できない。
ジェームズ・ウッズ演じる主人公。
エルサルバドルに向かうのも、死の隣り合わせと分かっていても、その場の生活ができればとか、昔の恋人に会いたいから、という程度。
銃を突きつけられても、とる行動は整理できているが、一方で死を客観視というか、それでも死ぬときは死ぬというあきらめもある。
また危険な場所や行動を熟知している一方、言わなくていいことをヒロイックな気分で発言したりして自らを危険にさらす。
この映画のさまざまな事件は実は結構この主人公が招いてしまっている。
またそうした悲劇を目の当たりにし、真実を伝えるジャーナリズムに目覚めた成長物語かというと、それもまた違うような気がする。
「死にたきゃないが、死ぬのはしょうがない。」
この考えが後ろ向きでなく、前向きになった、というのがしっくりくるような気がする。
やや後半、人が良すぎるのは原作者が絡んでいるからだろうが、この支離滅裂のようで、でもどこか分からないでもないこの男をウッズはやけくそ気味に演じる。そのやけくそぶりが上記の行動に説得力をもたせており、またその周囲の異常性を際立たせている。
政府軍に囲まれ、ナイフをかざすシーンなんか、逆に笑えるぐらいすばらしい。
悪友のベルーシ、真実に近づきすぎたサベージ、ともにウッズに引けを取らない。
3人ともオレの中では、この映画がベスト演技。
戦争の悲惨さとかは「映画」なので、オレはあんまり言いたくない。
そういう見方をするのであれば、ほんの一瞬映画雑誌のアイドルだったシンシア・ギブの衝撃的なシーン(というか、ばあ様のほうが衝撃的)もあるが、案外トラウマになるので要注意。
この映画は役者と当時のメキシコでこれを撮りあげたストーンのむちゃくちゃなエネルギーを堪能する映画。前半冗長の意見もあるようだが、どうして結構面白い。
蛇足
監督インタビューとか、メッセージ映像などは、どんな映画もオレは耳を貸さない。映画なのだから、あとでグダグダいうのは、映画に自信が無いか、もっとDVD売れてほしいとか、ファンサービスの表れでしかないから。
ただこのDVDの特典は見ごたえあり。
ストーン、ウッズ、原作者のボイル。みんなで文句を言い合っている。それも宣伝だろうが、結構笑える。
重い
オリバー・ストーン監督全盛期のこの頃、高校生だった自分は近所の映画館でプラトーンと2本立てで見た。(プラトーンはすでに単体で見ていたので2回目)
誘って一緒に行った友達はちょっとブスッとしてた記憶。JKにはストーン映画は向かなかったか、しかも2本も(笑)
ジャーナリストのリチャード・ボイルが金を稼ぐため、エル・サルバドルに友人を連れて入国。アメリカで妻子に逃げられた彼には、サルバドルに恋人マリアがいて知った土地ではあるが、政府軍と反政府ゲリラの内戦が続き常に治安の悪い地域だった。
酒、ドラッグ、女…そして常に金欠で知人にいつも金を無心する。
ある意味やりたい放題のボイル。
ジャーナリスト仲間のジョンとも再会し活動するが、緊張状態のサルバドルで混乱に巻き込まれる。
市民の遺体が転がっている映像、ボランティア女性とシスター達がレイプされ殺害されるところは強烈だし酷いしで目をしかめた。後者はインパクトが強く、よく覚えていた。
いやー入国するところから最後まで緊張が続いて怖い。
ボランティア役のシンシア・ギブは、かわいくて この頃日本で人気があったと思うが、それほど有名にならなかったな。。
だらしなくいい加減だが、ジャーナリストとしての誇りは持ち得ているボイル。
ジェームズ・ウッズの演技は、この役がよくあっていたと思う。
題材として当然だが、重い映画だった。
ジャーナリズム<戦争の悲惨さ
どこまで実話で、何処から脚色なのか
前半はやや冗長気味でいつになったら彼が本気を出すのか、
そしてその日から彼は人が変わったかのように戦地で撮り続け、いずれ破滅か、或いはハッピーなラストを想像させる。
結局そのような都合の良いことは起こらない。
ただ悲惨さが残るなんとも言えないラスト。
ストーリーは追わないこと
アメリカ人には馴染みの事件なので、知ってる前提で撮られてます。
普通の日本人は知らないので、次々出てくる人物がどっち側で何を目的にしているのかはサッパリわかりません。ただし、ストーン選手お得意のメッセージ性の強い作品なので、ルポ風の演出による不条理、悲惨、救いの無さを体感すればよいでしょう。
オリバーストーンらしい作品
火垂るの墓のような物事が悲しい方向に進んでいく映画だなと感じた
でもこれは実話・・・
独裁政府がアメリカから援助を受けるために反政府ゲリラの仕業に見せかけボランティア団体や活動家の牧師を殺害、アメリカ側も怪しいと思いながら結局援助をしてしまう。
オリバーストーンがプラトーンや7/4に生まれてに込めた反米のメッセージが込められた作品なんだなと思った
戦地体験のあるオリバー監督ならではの内戦告発映画
テンポの良い動きと迫力のある画面に引きつけられた。ベトナム戦争を体験した社会派オリバーストーン監督ならではの戦争の残酷さと本質的ペテン性をまざまざと見せつけてくれた映画だった。戦争の一番の被害者はいつも弱者であると思った。主役のフリーのカメラマンと相棒の二人の男の掛け合いが巧く描かれていた。蛇足ながら、低予算映画にもかかわらず、現地の戦争シーンでも宣伝になるからと言って現地軍を思う存分動員できたのはオリバー監督等の力量であろう。
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