さよなら港
劇場公開日:1957年6月25日
解説
藤島桓夫のヒット・メロディ「さよなら港」を映画化した歌謡メロドラマ。「ふたり大名」の中田竜雄の脚本により「若獅子大名・二部作」の伊賀山正光が監督、「多情仏心」の藤井静が撮影した。主演は、「警視庁物語 白昼魔」の堀雄二、「多情仏心」の大川恵子。藤島桓夫も出演、歌っている。
1957年製作/53分/日本
劇場公開日:1957年6月25日
ストーリー
北陸の小さな港。船乗りの健介は桟橋でバー“紅ばら”の夏子という女に妙なことを頼まれた。それは、新入りの彼女が同僚の鼻をあかそうと居もしないのに金持の恋人がいるとバーの冗談話の末に云ってしまい、ひっ込みがつかないから今宵一夜かりそめの恋人になってくれということであった。気易く引受けた健介は“紅ばら”で夏子と頬を寄せ合い、古参女給を驚かせた。が、居合せた与太者たちは健介の態度に快からず路上で彼を襲った。多勢に無勢、健介は倒され、夏子の助けで診療所に入った。夏子には春江という姉がいたが、彼女は、かつて信じ切っていた密猟船の船員が警察にあげられたため、その男の借金を楯に犬崎という男に脅されて身も心もすりへらし、今は病苦の身を妹夏子の許に託していた。しかも病勢は悪化、転地療養が必要になった。夏子は借金に奔走するが、港のボス犬崎は、夏子の体を狙って大枚の金を出す。そして彼は早くも夏子に魔手を延ばすが、それを遮ったのは健介である。しかも会ってみて犬崎が、かつて自分の親分だったと知った。その夜、健介はまた夏子から春江の話を聞き見舞金を持って二人の家を訪ねるが、何という因果か、春江こそ、かつての恋人であった。健介を見た春江も、これが自分を惨めにした男と知り見舞金をも突返した。しかし、ここで健介は総てが犬崎の企みであったと初めて覚った。雷雨の中で健介は犬崎一味と激闘を始めた。時に近づくパトロールカーのサイレン。犬崎らはたちまち警官に補った。翌朝、夏子と春江が見送る港から健介の船が出て行った。