サブウェイ・パニックのレビュー・感想・評価
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司令室の方がパニックでした
地下鉄のサスペンス映画は何本か観ているが本作はその先駆け的なハイジャックもの。
時代のせいか身代金が100万弗では少ない気もするし、肝心の逃走方法も平凡に思える。
せっかく、非番の警官が人質に交じっていたならもう少し見せ場があってもと思ったがダイハードは本作より後の1979年の出版、1988年の映画化だから仕方ないか。
それにしても警察はドジばかり、NY市長もあまりに酷かった、司令室も喚いてばかりで冷静さが伺えない、犯人たちの方がクールに思えてしまう演出でした。
結局、交通局のガーバー警部補(ウォルター・マッソー)が現場にまで乗り込んで孤軍奮闘、おまけに事後捜査まで買って出ていましたね、くしゃみが伏線というのも面白いがもう少しクールな知恵比べの要素が欲しかった。
異文化コミュニケーション
折しも鉄道公安局警部補ガーバー(マッソー)は東京からきた地下鉄会社の役員たちを案内中。英語と日本語の異文化コミュニケーションで軽いギャグをかますが通じてないような、のほほんとした雰囲気と、緊迫した地下鉄の様子が交互に描かれている。先にリメイク版を映画館で観たため上手く批評できない。
犯人はそれぞれ、リーダー格のブルー(ショウ)、よくくしゃみをする元運転士のグリーン(バルサム)、マフィアをくびになった短気な男グレイ、そしてブラウン。みな口髭を生やし、帽子をかぶった老紳士といった雰囲気で、逃亡の際に素顔を見せるわけだが、みごとな変装。途中まではブルーしかわからなかったぞ。
1時間という短い期限での現金受け渡しもちょっとしたスリル。輸送中のパトカーが横転した時にはドキリとする。そして成功した直後、18人を乗せた1両の地下鉄は運転士なしで暴走するのだ。
乗客の中に私服警官が偶然一人乗っていたことが重要かと思ってたけど、彼が活躍するのは100万ドル受け渡し後の少しだけ。それでも一人を撃ち殺したからお手柄なのか。仲間割れでグレイが死に、首謀者のブルーは線路で感電自殺。これがちょっと心理描写の物足りなさを感じるが、他はかなり満足。最後は残った一人グリーン。鉄道を解雇になった運転士を一人ひとりチェックしていき、ガーバーの訪問を受けるが、くしゃみひとつでバレてしまう。最後のガーバーの顔が何とも言えない渋さ!
繰り返すくしゃみ
総合:85点
ストーリー: 90
キャスト: 85
演出: 85
ビジュアル: 65
音楽: 60
地味であるが玄人好みの犯罪物映画の秀作。映画の時間と変わらないくらいの短い時間の犯罪を、一本の映画にしっかりと詰め込んだ。
地下鉄を乗っ取り身代金を請求する犯罪者と、それに立ち向かうブルドッグのような刑事。ロバート・ショウ演じる犯罪グループのリーダーのブルーは、冷徹に事件を計算し感情に流されることなく物事を進めていく。その犯罪者としての有能ぶりに舌をまく。敵ながら本当にたいしたやつであり、その存在感は高い。またウォルター・マッソー演じる警部補ガーバーは感情を出しながらも一直線に事件解決に取り組んでいく。
目的遂行のために人質を殺すこともためらわず、主導権を警察側に与えることがないブルーがいる。その一方で犯人の行動を分析しながら対応をしていくガーバー。この二人の息詰まる交渉と裏の取り合いが、途切れさせることなく緊迫感を煽る。
それにしても交渉の途中で常に聞こえてきたくしゃみと、それに対して「お大事に(Bless youと言っていたのだと勘違いしていたが、何故かドイツ語のGsundheit)」と言っていたのがこんな意味を最後に持つとは!これにもやられました。いい終わり方でした。
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