「そんなんじゃだめだトニー。」サタデー・ナイト・フィーバー Hirokoさんの映画レビュー(感想・評価)
そんなんじゃだめだトニー。
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ジャケット写真とタイトル、曲が有名な今作。
観て驚いた。ただ遊びほうけるふざけた映画じゃない。
いつからだろうか、人が「自分は狭い世界に生きている」と気づくのは。
年上の友達ができた時?流行りの雑誌を手に入れた時?
主人公トニーの場合、それはダンスホールでステファニーに出会った時だった。
トニーはイタリア系の敬虔なクリスチャンの家に生まれた。
友達も、職場もイタリア系。あまり裕福ではないらしく、育ちは良くない。
土曜の夜ダンスに繰り出す時が、彼が唯一自分を解放できる瞬間だ。
ステファニーとの出会いをきっかけに、主人公は自分の生き方に疑問を抱き始める。
一旦こういう思考になると、日常がまるで違って見えるもので。
自立した女性(弱い部分もあったけど)のステファニー。
親の期待を裏切り、自分に正直に生きることを決めた兄。
自分の存在価値を承認してほしくてヤケになる女の子。
ペンキ屋に安い給料で10年以上働く同僚。これが自分の将来?果たしてこれでいいのか?
地元のダンスホールで王様のように振る舞い、いい気になっている自分や、内輪でつるむ周囲がバカらしく思えてきた。
そんな時に、親友に起きた出来事よりトニーは擬似的に死を経験、やっと目が覚める。
似た境遇の人間が固まる、狭い世界を抜け出す覚悟を決めたトニー。
まだ不安のほうが強いみたいだが、少し清々しい顔つきだ。
そう考えるとホールの新顔・ステファニーは、主人公にとっての福音だったのかもしれない。
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