「雪原下の不条理西部劇」殺しが静かにやって来る h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)
雪原下の不条理西部劇
Sergio Corbucci監督のDjangoもニヒリズムで満たされた衝撃的な作品だが、この作品は観賞後さらに輪をかけて虚無感を感じさせられる。
Ennio Morriconeの物哀しいメロディが作品全体を覆っている。
勧善懲悪の本場米国のウエスタンとは異なり、ヨーロッパ映画の土壌が作品の奥深さを形成していく。ラストシーンは今観ても衝撃的だ。
クロサワ映画に影響を受けたマカロニウエスタンは、本家ウエスタンを換骨奪胎して新たなフィルム・ノアールをつくり、さらに「必殺仕置人」のような日本の時代劇にあらたな影響をあたえていく過程がおもしろい。
Djangoのときはマシンガン、今回の主人公の武器は自動拳銃。使用する武器もユニーク。
ラストの決闘に向かう降雪のシーンは日本の仁侠映画を連想させる。
父母の暗殺者に自身もノドを切られ言葉を発せられない主人公(サイレンス)の無言の演技も強烈だが、敵役ロコを演じるK・キンスキーの怪演も強烈。
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