「タイトルなし(ネタバレ)」コヤニスカッティ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
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1983年製作。フランシス・フォード・コッポラ提供、ゴッドフリー・レジオ製作・監督。
『メガロポリス』を観ての連想で鑑賞。
フィリップ・グラスの音楽が響く中、タイトルが示される。
意味は「バランスを逸した世界」。
米国の自然、大地、雲、海、それぞれが生きているように、うねり、流れる。
いつしか画面は文明社会へと切り替わる。
無機質な都市、せかせかした人々。
摩天楼の向こうに満月が昇る。
荒廃したビルは爆破解体される・・・
ナレーションはなく、全編に流れる圧巻のフィリップ・グラスの音楽が交響詩のように物語・文脈・意味を映像とともに紡ぎ出す。
のちに頻繁に製作された環境ビデオの先駆けだが、80年代当時は画期的な映画だった(はず)。
北米の荒々しい自然と崩壊しつつある文明社会を対比させたアート映画。
コッポラによる『メガロポリス』が構想40年。
『地獄の黙示録』製作時から『メガロポリス』の構想はあったそうだが、本作を「提供」した(つまり、公開より先に観た)ことも、『メガロポリス』に影響を及ぼしているだろうと感じられます。
ただし、本作の監督ゴッドフリー・レジオは科学文明否定派で、コッポラは科学文明期待派という方向性は真逆ではあるが、現代の都市文明は崩壊しそうだと感じていたことでしょう。
爆破解体されるビルの画は『メガロポリス』でも再現されており、微速度撮影による本作の夜間都市の映像も『メガロポリス』に似通っている。
なお、ビデオ発売では原語に近い『コヤニスカッツィ』表記となっています。
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