「*実際の歴史を知る事の面白さが魅力*」ゴッドファーザーPARTII 紋さんの映画レビュー(感想・評価)
*実際の歴史を知る事の面白さが魅力*
こんな最高の作品があるだろうか。
最早文学。
この度はクライムファミリーコルレオーネの歴史と現代へようこそと言う感じ。
Part2は続きと思って観るよりも、実在したモブスターの知識を得てから鑑賞する事で一気に面白味を増す。
マイケルの洗練された姿は、まさに苦悩の塊そのもの。品位と重たい存在感が備わっており、むしろここまで圧倒するキャラクターは映画らしいといえばそうだ。
さらにマイケルの父親の若かりし頃をデニーロが演じているが、何と言う格好良さだろうか!
Part2の面白味は、「マイケルがいかに強いか」と言う点にあるのではと思う。
まず、明らか過ぎるマイヤー・ランスキーをモデルにしたハイマン・ロス。ランスキーが言ったとされる台詞までロスに言わせる始末だ。実際に国を転々とするも受け入れてもらえぬランスキーだが、そんなところまで忠実にロスは演じている。実際のランスキーは、殺されてはいない。そのはずである。マイケルは?容赦なく殺すのだから、最早その世界では無敵のような強さだ。ランスキーは、その世界でもナンバーワンとも言われたルチアーノの右腕のような人物だった。映画などでは時々、英語の会話の方(字幕でなく台詞)で、名前を耳にする事もある。「マイアミの大物」といえばこの人だった。
そしてロスは、マイケルに対し、昔自分の友人を消されたと言う話をする。ランスキーの仲間だったベンジャミン・シーゲルについて言っている。
なんて「明らか」な人物だろうか?
笑ってしまう。
この辺りは映画ランスキーやモブスターズなどなどで観られるだろう。
実在の人物を知った途端、別の面白さを引き出すのがPart2だ。
マイケルは、当時のクライムファミリーの歴史の流れとも一致した行動をとる。
バグジーがきっかけとも言えるラスベガスには続々とファミリーが進出したし、コルレオーネファミリーも行く。
ここでは出てこないが、キューバ革命の前に、CIAがモブスターらにカストロ暗殺を依頼したと言う話も有名だ。
さらに、なんとか委員会を思い出させるシーン。マイケルも呼び出されて尋問される。ああいうのが実在した時代、内部の揉め事から、コーザノストラの実情をベラベラと発言した構成員もいた。
Part2は、そう言う歴史を追って実際の出来事を思い出させる内容にもなっている。
なるほど、コルレオーネファミリーは、いかに強いか。それが嫌というほど感じる。同時にマイケルの冷酷さも完璧過ぎていて、理解不能な人物だ。だけどそれが良い。マイケルは、徹底して排除する点で冷たいが、物凄いストレスも感じているのだから。こういうキャラクターは本当にいい。マイケルは決してブレる事がない。
実在のシチリアのコルレオーネファミリーはその他同業者もだが、メディアや本に触れる限り本気で洒落にならんも
のだ。(もちろんマイケルの話とは無関係)クライムムービーは、本当に映画だからこそ魅力だ。
ラストの想い出の一場面が良い。
再びそこでPart1に返ってしまう。