「記憶の中で燦然と輝く傑作映画」ゴッドファーザーPARTII Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
記憶の中で燦然と輝く傑作映画
フランシス・フォード・コッポラ監督による1974年製作のアメリカ映画。
原題:The Godfather: Part II、配給:パラマウント映画=CIC。
おくばせながらPart IIIを見て、Part IIのことを思い出しレビューを記述。Part Iと違って、映画館で見てとても感動したのを覚えている。随分と昔、高校生の頃で何に感動したのだろうか?
激情型で敵に殺された長兄と違って、常に冷静・冷徹に判断を下す三男マイケル、アルパチーノが格好良かった。意志の弱さからか結果的に組織に害を与える次兄ジョン・カザール殺害指令を、冷酷に出すマイケル。同時に敵対する人間も排除するが、妻ダイアン・キートンにはその冷酷さのためか、愛想を尽かされ去られてしまう。家族が皆健在だった昔を想い出す、孤独なマイケル。
対照的に描かれる若き頃の父ロバート・デ・ニーロの姿が、ノスタルジックなシチリアやニューヨークの映像も伴い、何とも魅力的であった。穏やかながらドスが有る話し方も相まって、虜になってしまったのを覚えている。そして、哀調を帯びながら美しいニーノ・ロータの音楽。一介のイタリア系移民からニューヨークのドンにのし上がっていく姿、家族や仲間をとても大切にする姿勢に、現在との対比もあり、大きく心を動かされた。
当時はヤクザ映画の延長線上という感じで見ていた気もするが、今思うと特殊だがある部分では代表的とも思える米国人ファミリー(他国から遅れてやってきた移民ファミリー)の昔と現在を見事に描ききった大河ドラマということか。そしてファミリーの今昔という点では、多くの日本人も同じか。田舎で裕福な大家族の一員として穏やかに生きた父母、対照的に競争社会の都会で何とか小さな家族を作る自分たちの様に。
この映画をステップにハリウッドの中心メンバーとなっていく、アル・パチーノ、ロバート・デ・ニーロ、コッポラ監督の代表作という意味でも感慨を覚える。この映画を契機に、映画の面白さにのめり込んでいった。スクリーン誌だけで飽き足らず、キネ旬、更にシナリオまで定期購読していくことになる。自分の記憶の中で、今も燦然と輝く傑作映画である。
製作フランシス・フォード・コッポラ、原作マリオ・プーゾ、脚本フランシス・フォード・コッポラ 、マリオ・プーゾ。
撮影ゴードン・ウィリス、美術ディーン・タボウラリス、衣装セオドア・バン・ランクル、編集ピーター・ツィンナー、バリー・マルキン、リチャード・マークス、音楽ニーノ・ロータ、カーマイン・コッポラ。
出演 アル・パチーノ、ロバート・デュバル、ダイアン・キートン、ロバート・デ・ニーロ、タリア・シャイア、ジョン・カザール、マリアンナ・ヒル、マイケル・ヴィンセント・ガッツォー、G・D・スプラドリン、リチャード・ブライト、ハリー・ディーン・スタントン、
ダニー・アイエロ、ジェームズ・カーン。