5時から7時までのクレオのレビュー・感想・評価
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ヌーヴェルバーグそのもの
唐突なアンナカリーナに魅せられた
あと最後の公園であった彼、
あの人の言葉ってアニエスヴァルダが
聞いた言葉なのか、思ってることなのか
どってなんだろう
なかなかなこと言ってましたよ
女は物だとか一人でやった方が良いとか
【実存的危機に面した一人の女性クレオが、5時から7時の間に会った友人や見知らぬ人々と出会い、語らう中で仄かなる希望を得て行く姿を描いた作品。】
■シャンソン歌手のクレオは、自らのがんの疑いに怯えていた。
診断結果を待つ間、彼女は占い師に自らの運命を占って貰ったり、パリの街中をあてどなく彷徨う。
今は5時。7時には医師と会う約束をしている。
クレオは友人や見知らぬ人々と出会い、死について考えをめぐらせる・・。
◆感想
・アニエス・ヴァルダ監督作品は、「ラ・ポワント・クールト」そしてそれ以降のドキュメンタリー作品「落穂拾い」「アニエスの浜辺」そして、遺作になってしまった「顔たち、ところどころ」を鑑賞して来たが、どの作品も彼女なりのテーマ性を明確に表現している点が優れていると思う。
・今作も、”心配し過ぎじゃないか‥”と思う程の冒頭のシーンから始まり、様々な人と触れ合いながら、検査結果が出る5時から7時までの2時間の彼女の表情の変遷を映し出している。
<そして、彼女はアルジェリアから一時休暇で戻った兵士と会い、彼の想いを聞くうちに、徐々に表情が和らいでいく。
時折テロップが流れる”○○~○○のクレオ”の出し方も効果的であり、一人の女性が死への恐れから脱却していく2時間の心模様の変遷が、見事に描かれた作品である。>
恋の叫びは凄いいい曲!
僕も同じようなめにあったので、主人公の境遇に共感を覚えた。傑作。シャンソンの挿入歌は有名なのかなぁ?
ボブってミッシェルルグラン!スゲー!
こう言った傑作がまだまだ、あるんだろうなぁ。61年の映画だなんて!また、アルジェリアってフランス国民に取って相当な負担だったんだね。ベッドにかけられたカツラは彼女の未来なのかなぁ?
古さを感じない女性の描写
1961年製作とは思えない。女性主人公も彼女を取り巻く女性の登場人物も皆、イキイキしている。車の運転シーンは二回とも女性。裏道をガンガン攻めるチャーミングな女性のタクシードライバーとヌードモデルで生活費を稼ぐ女友達。身の回りの世話を母親のようにサポートしてくれるマネージャー。一方、男性は、仕事に忙しい恋人と偶然の散歩先で出会った、話が合うが明日戦地に赴く男性の二人。
ほんの二時間の間に、不安と焦燥感に苛まれていた心が立ち直る過程が鮮やかに描かれていて、見事だった。
ミシェル・ルグランに注目
フランス音楽界の巨星ミシェル・ルグランの没後1年/生誕88年特別企画にてデジタルリマスター版を劇場鑑賞。
5時から7時までの時間と共に進行する物語の発想が素晴らしい。そして何といっても、この作品の注目は作曲家ボブに扮したミシェル・ルグランの貴重な出演シーン。
2020-89
パリ堪能
パリの街が大好きなので、それだけでこの映画は楽しめます。
癌を宣告されるかもしれないと、メソメソしていたクレオが。
恋人にも友人にもこの不安な気持ちを解ってもらえず、1人公園に出かけた先で軍人に出会い、クレオは病に立ち向かう決意をする。
各々との会話もフランス風詩的で楽しめるし、パリ、フランスを存分に堪能できる一作です。
フランスヌーヴェルバーグ第一線の面々の、カメオ出演もお見逃し無く!
ルグランの演奏に合わせて歌うカットが鮮烈。背筋が凍る程素晴らしい。...
ルグランの演奏に合わせて歌うカットが鮮烈。背筋が凍る程素晴らしい。街と市井の人々の選択も才能の塊としか思えない。天才の仕事。
久しぶりに眠い映画だが印象はいつまでも残る
クレオという新人女性歌手の午後5時から7時までの間にあちこちうろうろしたり歌ったり買い物したりしたりという日常を描く。ただ、彼女は癌ではないか?と疑いを抱いており、冒頭はカラーでタロットカード占いをするシーンから始まる。後はモノクロ。このタイトルバックのセンスがとてもよく(例えばカードを裏にしてその模様をバックに文字を写したりとか)グッと期待させてくれたのだが、そのあとはどうにもいけない。
身体の不調を抱えるクレオは病院で検査を受けた。結果がわかる7時までの間、死の不安を抱えるクレオはパリの街を流離う。(5時から7時というのはここからきている)カード占いの結果はよくなくてうんざりし、街頭の大道芸人たちの、腕に針さしたり帰る飲み込んで吐き出すといったニンゲンポンプといったちょっと気持ち悪いのを見ては「いやーん」と逃げ出したり、街角の店に飾ってあるアフリカの黒い置物を見て「きもーい」とおもったり、カフェで自分の唄をかけてみて「誰も聞いてない」とプンスカしたり、自宅に帰れば、恋人がちょっとだけ尋ねてきたり、専属の作曲家作詞家と打ち合わせしたりといったこまごまとした内容は、確かに構図やら切り取り方お洒落系小道具(部屋の中にブランコあるし…)といった映像センスがよいので見ていて不快におもうことも退屈になることもないし、まあいいんだけど、正直「だからどうした」感はぬぐえない。何度も睡眠の奈落へ落ちそうになる。なお専属の作曲家を演じているのはミッシェル・ルグランで、彼が変な唄を朗々と歌い上げるシーンで目が覚めた。ちなみに音楽も彼が担当していて、映画の中で劇中歌あるいはB.G.Mは立ち上がっている感じがする。さすが。
途中、クレオが歌うシーンを入れてミュージカル風にしたり、彼女が友達の映画館へ遊びにいって映画をのぞくところで、劇中劇のようにあちゃらかなスプラスティック無声映画(主演ゴダール)をあえて写してみたりという実験的なこともやっている。だがそれがどちらかというと風味付けに軽く、というよりも不条理気味にどっしりと挿入してしまっているのでどういう意味があるのか30秒ぐらい真剣に考えてしまった。(まあ多分ゴダールがでてくれるっていうから、とかそれぐらいの理由だろうな)クレオは公園を散歩しているときに自分のファンである休暇中の兵士と出会い、やさしい彼に心のもやを解きほぐされ、共に病院へ行き、医者から確かな返事をもらい、ようやく安心する。このときのほっとした彼女の表情がよい。7時がきたからジ・エンド。
そこここで登場する、アフリカの黒い置物やら得体の知れない大道芸人やらがおそらく死の象徴(クレオの不安の象徴)なんだろうなとはおもうがちょっと安易じゃないかしらん。ストーリーが淡々といえば聞こえが良いが、他愛もない内容であり、なおかつ展開がもっさりしていて粘つく味が良いというわけでもなくパリの風景も特筆すべき「よさ」が底光りするほどでもなかった。サスペンスらしいサスペンスにせず、肩透かし気味にはずすのがヌーヴェル・ヴァーグなのかもしれないけど、これじゃ典型的な「俺みたぜ」映画。期待が大きすぎたのかそれとも映画がアレなのか。それにしてもこの映画にでてきたシーンはいつまでも記憶に残る。不思議と印象深い映画なのだった。
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