「カラクリ」告発の行方 Chisaさんの映画レビュー(感想・評価)
カラクリ
【ストーリー】
事件後すぐに犯人を特定した検事だったが、サラの前科や挑発的な言動により、ごうかんでの逮捕起訴は困難と判断する。犯人たちを確実に投獄するため、弁護士と取引をし、ごうかん罪ではなく傷害罪で起訴する。ニュースでは被害者のサラを守るためと報道。しかしそれにより、犯人たちは数年で刑務所から出て来られることになってしまい、何より、唯一の味方だと信じていた検事が何も相談もなしに取引という卑怯な手段を取ったことと、自分が世間から弱者扱いされたことにサラは憤慨する。
傷付いたサラに心打たれた検事は、既に片付いてしまったケースはどうすることもできないから、現場で犯人たちを囃し立てた他の男たちを共謀罪で訴え、その中で、実際に起こったのは傷害事件ではなくごうかんだったと証明しようと思い立つ。そのためには、事件の全てを目撃した証人を見つける必要があった。
事件現場に居合わせて、近くの公衆電話から通報した青年ケンは、犯人が自分の親友であったがために警察の追及を恐れ雲隠れしていた。検事はケンを見つけるため奔走するのだけど、現場にあったゲーム機に彼へとつながる記録が残されていた。その記録は事件当日に残されたもので、「KEN」という名前だった。それを見てピンときた検事は、既に逮捕された犯人が通う学校の卒業アルバムから、ケン(本名Kenneth)を探し当てる。
【感想】
古い映画だけれど、構成に捻りがあってなかなか見ごたえのある映画だった。
ジョディ・フォスター扮する主人公のサラは、被害者なのに、おそらく肩を持ってもらいにくいキャラクター。男性に対して挑発的な服装、エキセントリックな言動、味方であるはずの検事に対しても強気な態度。だから観客はラストのラストまで、まぁ、ある程度仕方ないのかもね、っていう気持ちを持ってしまう。
でもラスト、勇気ある証言者のおかげで事件の全貌が明らかになると、さすがに仕方なくないわ、やっぱ、って正気に戻る。仕方なくないんだよね。どんな人間であっても仕方なくはない。たとえ女性から「挑発」したのであっても、嫌がる相手に対して無理矢理に行為に及んでしまったらそれは犯罪。そんな当然の真実なのに、サラのキャラクターが強すぎてそれをボヤけさせてしまう。そんなカラクリのある映画だった。
一方で、センセーショナルな事件を扱いながらも、あくまでヒューマンドラマであり、犯人を捜す推理モノではないからか、捜査の流れは雑だった。特に、ゲーム機に残された名前からケンを探し当てる流れ。これはさすがに無理があるような気がした。ゲームをする人は沢山いるだろうし、たまたま事件と同じ日に高得点を出した人が最重要人物でした!ビンゴ!ってのはちょっとね。でもこの映画のメインはそこじゃないから、別にいっかって思った。
しかしジョディ・フォスターって若いときこんな感じだったのね。奔放で繊細で危うい感じ。美しすぎる。やばし。私の中でジョディ・フォスターは「パニック・ルーム(2002)」と「フライト・プラン(2006)」の人だった。違ったね。全然こっちだね。更新しておきましょう。