劇場公開日 1952年10月9日

「重い。が、普遍的なテーマ。」生きる(1952) どすこいたろうさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0重い。が、普遍的なテーマ。

2024年6月15日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

「生きる」とは。人が何を以てして「生」とするか。時代によって考え方は違えども、人は考えざるを得ないのです。

そんな普遍的なテーマを描いた黒澤映画。役所勤めの余命短い哀れな中年男性が、試行錯誤と自分とは正反対な女性との出会いにより人生に意味を見出すお話。ストーリー構成が素晴らしく、後半の通夜の場面はモヤモヤしつつも見入ってしまいました。

主人公渡辺が見出した「生」とは。キリストを絡めたセリフがあったり、なんだかトルストイっぽいなぁ、と思って観ていたんですが、原作トルストイだそうで。とはいえ、その「イワン・イリッチの死」は読んだ事ないのですが…。トルストイは他の著書で「人間の生命は幸福への志向であり、その志向するものは人間に与えられているのである。」「もし人が、他の個人も生きていることを知らず、自分もやがて死ぬ身であることも知らずに生存しているとしたら、その人は、自分が生きていることさえ知らないのである。」なんて言ってますが、あー!もう!難しい!(笑)そんな難しい話を黒澤明がこの「生きる」にまとめてくれてます!

主演は志村喬。黒澤映画に欠かせない存在ですが、本作での演技は少しクセが強く、それがまた渡辺の性格や人生そのものを表現していて非常に引き込まれます。「ゴンドラの唄」を歌うシーンが2度ありますが、その対比が素晴らしい!あー思い出しただけで泣けてくる…。

この重いテーマを一本の映画に落とし込んだ黒澤明は凄い。それを演技で表現した志村喬も凄い。「生きる」を観たことは私の人生に少なからず、影響を与えるのは間違いない。

吹雪まんじゅう
Mさんのコメント
2024年6月15日

感動した映画、高校生の頃見て今も好きな映画などありますが、それで人生が変わったかというと・・・。
ずっと(といいつつ、暇暇の時ですが)考えているところです。
「トレインスポッティング」は見たことないので、コメントを読んで、なんか楽しみになってきました。

M
Mさんのコメント
2024年6月15日

人生に影響を与える映画って凄いですよね。
「イワン・リッチの死」読んだことありますよ。映画「生きる」の方が数段おもしろかったような記憶があります。
原作といえるのかどうかもよくわからなかった気がします。
短い本なので、まとまった時間が少しあれば読めますよ。
このレビューを読んで、自分の人生にとって影響を与えた映画って何かなあ、と考えました。

M