「残りの力で」生きる(1952) りかさんの映画レビュー(感想・評価)
残りの力で
昔は告知しなかったのか。
患者の一人から聞いた顛末が自分の症状と合い、ビクビクしつつ受診したら
あの男の言った通りに話が進む。
医者もなんと言うか、患者のことを
考えてないようにとれる。考えていないのだ。
今と昔と患者にとってどちらがいいのだろう。
病名と進行状況、患者本人によるのか。
とにかく渡辺さんは自身の病名並びに余命も
確信した。
戦後数年経った日本、喧騒著しい。
自宅の2階には光男夫婦が同居している。
昔だからといって親を敬う雰囲気は皆無。
自分たち二人の生活の為に
父親渡辺さんの持ち金を算段する
あけすけな光男夫婦の会話、
ここに自分の居場所は無い。
二階から呼ばれて内心うれしく思い階段を
上がりかけたら、戸締まり頼むと、だけ。
床の間の小さな仏壇を開けて亡き妻の顔を
拝み亡くなった当時を思い出す。
兄が再婚を勧めるもまだ幼かった光男を
一人で育てて来た。
野球の試合、盲腸の手術、出征、など
思い出が浮かんで懐かしむ。
顔が見たくなりまた階段を上がりかけたら
電気が消され、しかたなく下りて来る。
布団を敷いて目覚ましをかけて寝る用意をして
いたら堪らなくなり、布団の中でむせび泣く。
あんなに可愛がったのに、
なついて来ていたのに、と。
職場の人間が、5日間無断欠勤の様子を心配して訪ねて来る。応対した家政婦は、毎日出勤して行っている旨話す。
驚く光男夫婦、伯父たちにも相談。
飲み屋で知り合った睡眠薬を欲しがる男と
一緒に無茶して一思いに死んでやれと
酒を飲みに来た。
今まで自分の金で酒を飲んだことがないって。
宴会や奢りばかり?
自身では呑みに行ったことがない、
それだけ節約して来たのか。
苦悩に満ちた様子で喉から絞り出すように
話す様には哀愁が漂う。
払拭するかのように、頭を切り替える。
何十年もかかって貯めた5万円を
下ろして所持している。
どう使おうか、わからない。
新しい帽子やパチンコ、、バー、ダンスホール
煌びやかな世界など遊興費に使ってみたが、
何をしても満足できない自分。
ピアノ奏者が客にリクエストを募ると、
「いのち短し、して。」と声を振り絞り叫ぶ。
「『ゴンドラの唄』ですか?」と確認。
渡辺さんは、独唱するのである。
大きな目はウルウルしている。
♪命短し〜♪
♪明日という日のないものを〜♪
♪今日はふたたび来ぬものを〜♪
ギクッ❣️
ストリップでの渡辺さんの新鮮な驚き、可愛い❤️
ダンスホール超満員❗️ぎゅうぎゅう詰め。
ホールを出て歩く渡辺さんの表情、
暗く暗く陰鬱な、連れの男も一歩引く表情。
家近くで女性部下に出くわす。
ただ忙しくて退屈な市役所の仕事を辞めて
職場をかわるので退職届を受理してもらいに
来た、と。家まで来る?
渡辺さんが帰って来た、若い女性と一緒に⁉️
女性部下からあだ名を告げられ、
穏やかな渡辺さんだから顔には出さなかったが
人のあだ名はおもしろく笑えるが‥‥。
色々廻りストッキングをプレゼントした。
付き合ってもらったお礼のつもりか。
パチンコ、スケート、映画。
鍋の席で、
ミイラのように働いて来たのに、
息子はその意を介してくれないとグチる
渡辺さん。
女性から、
「実は息子さんが一番好きなくせに。」
と指摘され躊躇しながら顔が一瞬ほころぶ。
渡辺さんは普通のいい父親だった。
やはり、光男に身体のことを相談しようか。
家で光男の心ない言葉に唖然とする渡辺さん。
5万円使わせられた、とか、
財産分与とか、あんた呼ばわりとか、
妻が可哀想、とか。(どこが?)
渡辺さんの驚愕した表情❗️
きっと一人で育てて来た光男と
今目の前で話す男とは
別人であると思ったに違いない。
役所では渡辺さんへの馬鹿にした噂や憶測。
しかし、
当人にとっては今までにないほど真剣であった。
女性部下も辛辣❗️
新しい職場に行き、
渡辺さんオドオドしながら誘うと、
「でも、今夜だけよ。」やっと付き合ってくれた。
喫茶店でたらふく食べ、
ご馳走に飽きたら、キツい言葉浴びせる女性。
渡辺さんのビックリまなこ。
職場にも家にも居場所は無い。
もがいても暴れても、
息子はどこか遠くにいる。
そんな気持ちになってしまった自分なんだ。
君(女性)はワシに親身になってくれるし、
活気がある。なぜ活気があるか知りたい。
それを知らなけれは、死ねない。
目に涙を溜めて訴える渡辺さん。
やる気になれる、ワシにも何かできるように
教えてほしい、と懇願。
ウサギ🐰のおもちゃ🐇可愛い💕
こんな物作っていても楽しいわよ。
目を潤ませ俯き考え込む渡辺さん、
(この時の音楽)
🎼ハッピー、バースデー♪
しばらくしてハッと目覚めたかのような表情。
遅くはない、遅くはない、
自分にもできる、自分にも何かできる
やる気になればできる。
渡辺さん久しぶりに出勤して、
諸々の事案について
市民課が主体にならんとと行動に移す。
実地調査し始めて5ヶ月、
渡辺さんは亡くなってしまった。
家での葬儀通夜の席、
助役に会いに押しかける記者たち。
助役と記者との攻防。
記者、
渡辺さんが真の功労者だ。
プロモーターだ。
地域の人皆言っていた。
渡辺さん、無視されていた。
公園で亡くなっていた。
あれは、市の上層部に対する無言の抗議❗️
ではないか、という噂が持ち上がっている。
助役、
凍死でもなく自死でもない。
渡辺さんには持病があり胃がんの内出血で。
引く記者たち。皆鎮痛な面持ちで帰った。
助役、やってられないよ、とグチャグチャ言う。 イヤな上司❗️
土木部長、助役にゴマスリ。
イヤなヤツ❗️
黒江町の婦人たちが焼香に来る。婦人たちは亡くなった渡辺さんが公園作りの功労者であることを知っている為、成し遂げてくれた功績を感謝しつつ今はいない現実にすすり泣く。
この婦人たちの様子に、
驚き顔を見合わせる光男と妻。
顔を上げられない助役たち。
伯母が促し伯父、伯母、光男、妻総出で、
婦人たちを送り出す。
居心地の悪そうな助役たちが帰り、
部下たちが車座に座り、
忌憚のない話が始まる。
役所には縄張りがあるんだ。
渡辺さん変わったな。5ヶ月前から変わった。
自分の死期を知っていたのだろうか。
雨が降り、水がはけない地面で衛生面から
付近の住民から苦情が出ていた土地。
その地に土を入れ児童公園にとの陳情。
市役所の数ある課を廻って廻って、
許可を得たり印を貰ったり連絡して貰ったり、
たくさんの過程を経る為に
誰にでも頭を下げて、下の者にまで頭を下げて来るから気の毒になってしまった。
渡辺さん必死❗️やっとの粘り勝ち❗️
究極は、アレだなぁ。
陳情団連れて来て助役室に入り楯突く
凛々しい姿。
しかし、渡辺さんが頼みに来ても、
「見送れ。」と言い捨て雑談に戻る助役。
渡辺さんの苦しそうな表情。
世の中闇で、渡辺さんは
仕事だけで身体を支えているみたいだった。
歩くのがやっとの渡辺さん。
現場で渡辺さんが倒れると婦人たちが、
助けに走り甲斐甲斐しく世話をする。
水を飲んだ時の表情、
工事を見る顔、
子か孫を見る眼差しだった。
当たり前。あの公園を作ったのは渡辺さん。
またこんなことも、
歓楽街を作りたい反対派に脅されるも、
怯まずに意思を通した。
反対派、おとなしく帰ったなぁ。
胃がんを知っていたと思えるフシがある。
あまりの各課の仕打ちに憤慨する係長に、
「人を憎んでなんかいられない、そんな暇はない。」
また違う人は、
「夕焼け美しい。ワシには(ゆっくりと眺める)そんな暇は無い。」
と言ってたな。
皆で役所の愚痴のオンパレード。
役所とは何もしてはいけないところだなぁ。
何も報われないなぁ。
渡辺さんの手柄を横取りした、‥‥
助役とはっきり言え❗️
お巡りさんが焼香に来た、
渡辺さんの帽子も届けて。
今までの職員たちの会話を聞いていた
光男の後悔の顔。
警察官は言う。雪の中だったが。
「あんまり楽しそうだったし、
しみじみと歌を歌ってられたから
邪魔しては悪いと思って。
帰るよう言わなかったんだ。💦」
気にするな、と帰ってもらう。
渡辺さん、
雪☃️降る中
ブランコに乗って、
♪命短し〜って
❤️心の中は満足、多分顔ニコニコ❣️
だったと想像する。
光男、帽子持って父が遺してくれた通帳書類も
持って何を思うのだろう。
しかし、市役所はいつもの日常。
愕然とする新人職員。
そして公園を見る、
上に上がろうとすれば何もしてはいけないのだ
。生きているのか死んでいるのかわからなくてもただただ日々を過ごすのだ。
それが市役所の仕事だ。
トボトボ帰る新入職員。
虫ですか?
やはり早いですね。こちらは三寒四温で徐々に春になります。
桜はゴールデンウィーク頃で、その頃に一斉に梅とか木蓮とか
チューリップなど狂い咲きしますよ。
「エゴイスト」は録画して必ず観て下さいね。
問題作だし、切ないですよ。
共感とコメントありがとうございます。
そちらの気温を検索したら18度まであがったのですか?
こちらも10℃位まで上がりました。
ストーブを消してました。
明日は雨で気温が高い予報です。
鈴木亮平の「変態仮面」は1も2も観ましたよ。
すごく肉体改造して美しかったですよね。
レビューはしてませんが、楽しかった記憶にあります。
今、観たんですか?
鈴木亮平は好きで「俺物語」も観ました。
でもなんといってもドラマの「エルピス」が良くて、
エゴイストとはまた別のノーマルな男性の格好良さでした。
それではね。
大作ですね。詳細な描写・・・このレビュー、
スマホで投稿されたのですか?凄いですね。
「生きる」ただただ死ぬまで、生きるしかないです、と
思います。
それからアドバイスして頂いたので「タクシー運転手」を観ました。
いい映画でした。ありがとうございました。