「黒澤明の代表作」生きる(1952) Toshiさんの映画レビュー(感想・評価)
黒澤明の代表作
黒澤明監督の代表作。近年は「七人の侍」がフィーチャーされ過ぎているが本作も必見の名作。1950年代前半の黒澤は神がかっていて「羅生門」「生きる」「七人の侍」を連続して産み出している。いずれも映画史上の古典的名作。
ガンで余命いくばくもないことを知ったある下級官吏が生きる意味を求めてさまよう様を描く。また家族の問題、官僚主義の問題も描かれる。
極めて根源的なテーマで重い作品だが実は映画的快楽に満ちている。観ていただければ分かるが、ストーリーテリングの巧みさ、素晴らしいモノクロの撮影、志村喬をはじめとする当時の日本映画演技陣のレベルの高さに感嘆する。また黒澤は職人的な監督だからエンターテイメントとしての映画を決して外さない。町のおかみさん達が市役所に陳情に来るシーンや主人公のお通夜のシーンはコミカルですらある。
技術的な欠点はほとんどない。セリフも怒鳴りあうシーンが少ないので聴き取れる。
昨今の御涙頂戴の感動ドラマとは全く違います。本当のドラマとはこれです。
コメントする