劇場公開日 1985年12月14日

「就職氷河期の人々、そして転職を経験した人なら、本作を観れば身につまされるかも知れません その意味で普遍性のある物語です」コーラスライン あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0就職氷河期の人々、そして転職を経験した人なら、本作を観れば身につまされるかも知れません その意味で普遍性のある物語です

2021年9月19日
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鑑賞方法:DVD/BD

傑作中の傑作です!

是非とも、オールザットジャズ、フェームの2本と併せてご覧頂くと一層面白く感慨深いものとなると思います

オールザットジャズは、マイケル・ダグラスが演じた演出家ザックのような人間に焦点を当てた作品です

そしてフェームは、本作でオーディションに参加するダンサー達が舞台芸術学校で将来ショービジネスでの成功を夢見て青春をおくる作品です
ダンス科の卒業生達がきっとこのオーディションに参加しているのだと思うと胸が熱くなります
そして結局誰も最終的に残っていないのかも知れません
それでも毎年何百人もの若者たちが入校して、卒業して、フェームを掴むためにこうしてオーディションに参加しているのです

キャシーはザックの元カノ
かっては主役級の名ダンサー
ハリウッドで夢破れ
時は経ち年も取り、戻る場所もない
自分がやれることはダンスしかないし、何よりダンスで舞台に立ちたい
たとえコーラスラインでも
若者たちと少ないポストを争ってでもそこで働きたい

就職氷河期の人々、そして転職を経験した人なら、本作を観れば身につまされるかも知れません
その意味で普遍性のある物語です

訳の分からない謎めいた質問にも答えないとならないのです
どう答えるのが正解なのかさっぱり分からないけれど答えないわけにもいかない
何次にもわたる選考を突破しても、ここまでと言い渡されて将来をお祈りしていますと言われるだけかも知れないのです

かって一流企業で働いて、業界で顔も名前も売れていたとしても、転職では現在価値だけが求められるのです
一部上場企業で役職者をしていましたと履歴書に書いたところで、今のあなたは何ができますか?
それだけなのです
採用権者がかってのよしみの人物であってもそれだけのことで彼が採用なぞできるわけもないのです
何ができるのか、現在価値がどれだけあるのかを証明しなければ転職なぞできるわけはありません

ラストシーンは超有名な「ワン」の歌とダンスのシーンです

金色のタキシードとシルクハット
鏡を効果的に使うダンスフォーメーションには全く目が釘付けになります

映画としてのカーテンコールです
なので不採用だった人の顔も有ります

歌詞の内容はこれから登場するヒロインを全員で賞賛する内容です

しかし、このラストシーンでは、こうした厳しい世界の中でベストを尽くして毎日舞台に立ち、最高の芸を披露してくれているショービジネスの世界の人々への賛歌なのです
舞台の上でライトを浴びるダンサー達だけでなく
裏方で、舞台の袖で、下で、調整室で進行を支えている人々にも贈られている賛歌です

ショーってなんて素晴らしい!

あき240