コーカサスの虜のレビュー・感想・評価
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人間の行いとしての戦争批判
チェチェンとロシアの民族対立の不安定な政治状況の中で、本当は分かり合える人間同士の無意味な戦争を静かに批判した地味な作品。捕虜となったロシア兵二人の人物描写が優れている。チェチェンの山岳地帯の風景描写も美しく、争う人間の醜さがより強調されている。殺された上官が幽霊になって二度現れるブラックユーモアが、詩的表現を帯びている不思議な感覚もいい。原作がトルストイとは、時代が変わっても人間の行いには進歩がないことの諦観も作品の主張にあるだろう。
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