「今さら感ありすぎの『用心棒』との比較レビュー……」荒野の用心棒 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
今さら感ありすぎの『用心棒』との比較レビュー……
TOHOシネマズにて開催中の『午前十時の映画祭』にて鑑賞。
言わずと知れた西部劇の傑作ですが、初鑑賞。
ご存知の方も多いと思うがこの映画、
黒澤明監督の『用心棒』のリメイクなんですね。
オリジナルの『用心棒』がメチャクチャ好きな自分(と言っても20代後半)としては、
「オイオイどうせ刀を銃に変えただけの二番煎じじゃろ?」
なんて思ってた訳ですよ、今まで。
テレビ番組でもよく『棺桶4つ』のシーンがソックリだとか
半分馬鹿にしたような感じで比較してたりするしね。
ううむ、イカン。
やっぱりそういう先入観はダメだと改めて思い知らされましたわ。
ここまで面白いとは正直思ってもみなかった!
何はさておき、若きC・イーストウッドのカッコよさである。
ヤクザ連中を怒らせる序盤の台詞からして良いです。
「お前に撃たれた俺のロバが怒ってるぜ……
俺が口添えしてやるから、今の内にロバに謝っとけよ」
みたいな。
な、なんて憎たらしい……。
あのしかめっ面でニヤリと笑いながら、ニクい台詞のオンパレードである。
他にも、シーンをぐっと盛り上げるE・モリコーネのスコア、
赤と黒が強烈に映えるオープニング、
これぞ西部劇!と手を叩きたくなるダイナミックな画の数々、
どこを切り取ってもクール!
もうクールの中のクールである。
ところで『用心棒』で印象的だったのは、
刀vs銃という、どう見たって主人公側が圧倒的に不利な図式。
それが短銃vsライフルという図式に変わって果たして盛り上がるか?
という疑念が僕にはあった。
だがこれが盛り上がるんだ。巧いんだわ。
「どうした、よく狙えよ、心臓はここだぜ」
「弾を込め直して撃ってきな……銃がライフルに勝てないか確かめようじゃないか」
うっはー、カッケー!!!(爆)
オリジナルにあった“粋”なシーンが少なからず消えているのは残念無念。
しかし仇役がより非情で残忍に見えるシーンが多数追加されていたり、
抗争で引き裂かれた一家を序盤から登場させ、
話の流れを自然且つドラマチックにするなどの
秀逸な変更も為されている。
殺伐としつつも粋なユーモアのある『用心棒』、
ドラマチックで活劇性の強い『荒野の用心棒』、
ううむ、これは甲乙つけ難い。
だけどどちらもスーパークールな映画なのは間違い無いぞ!
……て、公開から50年近くも経った映画の比較レビューって一体……。
<2011/8/20鑑賞>