劇場公開日 1999年7月3日

「緊張感のあるストーリー」交渉人 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5緊張感のあるストーリー

2024年1月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

主人公ダニーに対して十分に感情移入できるようになっているストーリー構成や、ダニーと警察との緊張感のある駆け引きが秀逸な映画。

冒頭から、ダニーが人質交渉人として一つの事件を解決する活躍を見せることで、彼の人となりや能力が分かるようになっている。そして警察基金横領の濡れ衣を着せられ、人々から非難されるに至るまでの過程も十分に時間を取って描写されており、彼の置かれた状況の辛さに同情してしまう。そのため、彼が立てこもり事件を起こすのに対して感情移入できるようになっており、彼を応援するような気持ちで観ることができる。

ストーリーのメインである警察との駆け引きも、緊張感あるシーンが続いてとても面白い。ダニー自身もまた人質交渉のエキスパートであるため、警察のやり口を良く理解している。警察を相手に、事件を自分のペースに持っていくことができていて、彼の交渉術に圧倒される。警察側の指揮系統の乱れによる現場の勝手な行動や、事件解決に向けた考え方についての対立等の人間ドラマも見どころ。

映画全体の演出も秀逸。
夜の時間帯において、ダニーが立てこもるビルに対して照射される光や、ヘリによって巻き起こる強い風が、映画全体を盛り上げる効果を出せている。

根岸 圭一