絞殺魔のレビュー・感想・評価
全2件を表示
真面目だ
中原昌也さんがいろいろなところでこの映画に言及されている。最初に聴いたのは新潟のImedia専門学校での講演で、講演の前にDVDを買って来場者にプレゼントしていた。それが2005年くらいだっただろうか、それからずっと見たかった。『偉大な作家生活には、入院生活が必要だ』という本を読んだら、そこでも言及していていよいよ見ないといけないと思ってビデオ1にはないと思うけど試しに店員に聞いてみたらあっさりあった。もっと早く聞けばよかった。
おどろおどろしい猟奇殺人ものだと思っていたら、そうでもない。殺されるのが最初はおばあさんばかりなのでエロくもない。
演技と演出がすごいし、画面分割などの構成もスタイリッシュだ。霊能者が割り出す男が重々しい演技で圧巻なのだけど、犯人じゃない。犯人も捕まえてみれば多重人格で苦しんでいる。事件は解決するのだけど、犯人には子どももいるし気の毒になって全然すっきりしない。
確かにいい映画だった。
2019年3月に亡くなったジョージ・ケネディ。『人間の証明』も懐かしい・・・合掌
なかなか犯人に辿り着けない捜査陣。ジョージ・ケネディの刑事はなかなか渋くていいのですが、そのイライラ度が全然伝わってこない。容疑者のことはかなり調べてあって警察の徹底した調査力に驚くのですが、全体的に淡々としすぎているのだ。だらだらとしているうちに11人目の犠牲者が出た。
シリアルキラーものなのに、トニー・カーチスという二枚目俳優が犯人だ。途中何度も出てくる疑わしい人物たちのほうがよっぽど犯人らしい。
この淡々とした描写はセミドキュメンタリーのような雰囲気を醸し出す効果もあったのでしょうけど、画面分割が多く、懲りすぎているような気もする。
容疑者アルバートが捕まってからは、ディテクティブストーリーから一転、サイコ系の映画となる。トニー・カーチス演ずる犯人役は二重人格者。物証もないので自白に頼るしかなかったのだ。彼はまるで記憶障害であるかのよう。自分で何をしたのかさっぱり覚えてない。時折フラッシュバックの回想シーンが織り交ぜられるところが当時としては斬新だったのかもしれないが、結末がない映画という珍しいエンディング。ずっと悩み続ける精神病患者となり、犯罪を未然に防ぐ法律が整備されてないと締めくくる・・・
しかし、自白に頼らざるをえない状況というのは危険だ。裏を返せば、彼は冤罪で拘留され続けている可能性だってある。何でもわかるヘンリー・フォンダの分析官もお手上げだ。
全2件を表示