恋におちたシェイクスピアのレビュー・感想・評価
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クラシカル・フェイスなグウィネス・パルトロウ‼️
アカデミー賞の時期になるとよく言われるのが、98年のオスカーで「プライベート・ライアン」ではなく、今作に作品賞を与えたのはアカデミー賞史上最大の誤ちみたいな言葉‼️冗談じゃない‼️「プライベート・ライアン」は確かに良作だが、映画としてはダンゼン「恋におちたシェイクスピア」の方が上だと思います‼️1593年のロンドン。若き日のシェイクスピアは、ある日夜会で、裕福な商家の娘ヴァイオラと出会い、一目で恋に落ちる。しかし、実はヴァイオラは芝居好きが高じて、男装してシェイクスピアのお芝居のオーディションに受かっていた女性だった・・・‼️「ロミオとジュリエット」誕生の影には、シェイクスピア自身の燃えるような恋物語があった、という大胆な仮説、その発想が素晴らしいですね‼️現実の恋物語と劇中劇の「ロミオとジュリエット」をテンポ良く巧みに交錯させていく構成の妙味、シェイクスピアと男装のヴァイオラの恋の展開がユーモラスで思わずクスクスしてしまう‼️土台となる当時の演劇界の事情が面白く生き生きと描かれているし、16世紀の美術や衣装の再現ぶりも素晴らしい‼️気品、快活さ、自己主張、行動力、そして慈愛に満ちたヒロイン、ヴァイオラを演じるグウィネス・パルトロウの魅力‼️シェイクスピアのライバル作家やジュディ・デンチのエリザベス女王の扱いもホントに上手い‼️クライマックスで上演される「ロミオとジュリエット」‼️ヴァイオラが男装ではなく、一人の女性として演じた「ロミオとジュリエット」の感動‼️そしてラストで、今作での騒動をシェイクスピアが「十二夜」の着想のきっかけにするオチにもニヤニヤさせられる、凄まじい映画的醍醐味‼️ウマいなぁ‼️
エリザベス1世の世界観に酔う。
ラストがいい。
砂浜を一人の女性がひたすら歩いていく姿を追う。
空と海と砂浜の解放感。目指す先に見えるオアシス?
肩の力の抜けた歩み。でも、止まらない。
時代考証をかなりされたのだろうか?
エリザベス1世にちなんで命名されたともいうバージニア州に行くとか。
衣装デザイン・美術でも賞を取っている。
『アリス・イン・ワンダーランド』の赤の女王のようなエリザベス一世のいで立ち。
この時代に特有な?カラー。パンプキンのようなパンツ。マントのかけ方…。
汚水が2階から突然降ってくるところまで、ちゃんと描写(下水道なかったし)。
ネズミをかわいがるのは、役の性格をよく表していると思うが、ペストは大丈夫なのか?
そういえば、映画の中でも、感染症(コレラ)のために、劇場封鎖というシーンもあったっけ。
その中での、史実を混ぜ込んだフィクション。
主人公二人の恋模様と、舞台が交じり合って、『ロミオとジュリエット』誕生に立ち会っているかのような興奮にウキウキする。演劇じみた言葉使いにも酔ってしまう。
そこに、劇場主の経済事情とか、同じ演劇仲間のライバル感・仲間感や、すでに経済力を無くした貴族と台頭してきた商人の事情を絡ませ、ロマンチックな要素に茶々をいれ、コメディ仕立てで見せてくれる。
劇に精通しているはずの劇場主が、聴衆に受けて借金返済ができるかにやきもきしているからか、この劇の魅力を掴みかね、反対にがめついはずの貸金業者がこの劇の魅力に陶酔しているのもおかしい。
女王がコメディ好きなのは史実に基づいているのかはわからないが、権力の重責を負っていたら、娯楽ぐらい馬鹿笑いしたいよねと、妙に納得。あの、馬鹿笑いが妙にツボった。そして、後に効いてくる。
見事なアンサンブル。
ヒロインを演じられたパルトロウさんへの評価が高い。
『アイアンマン』シリーズでのお姿しかまだ観ていないからか、あまり好みの役者さんではない。けれど、この映画では、恋に恋する乙女、役者を夢見て突っ走るハイティーンぶりがとても良い。行動力はあるが、自分の力で生きていけないことは自覚している。
ラッシュ氏・ファース氏・アフレック氏・ウィルキンソン氏は安定。特に笑わそうという演技はしていないのだが、その間とか、そこでこのセリフ?と緩急をつけて下さる。特にファース氏は、そのプライドの高さに実力が伴っておらず空回りしているところがうまい。悪役を引き受けてくれるので、主人公二人を応援したくなる気持ちにもちょっとはなる。何気にカーター氏も要所要所で面白い動きをしていて笑える。
デンチさんへの評価も高いが、スタウントンさんも良い味を出している。
と、意匠・アイディア・役者は最高だと思うのだが、
主要な二人の恋が今一つ、私には合わなくて…。
言葉が悪くて申し訳ないのだが、盛りのついた犬のようで、今一つ乗れなかった。
この時代の淑女の貞操感てどうなっているのかと違和感がありまくり。イギリス舞台で、イギリスの俳優で固めているが、アメリカ制作の映画。恋模様がザ・アメリカのハイティーン。とはいえ、まだ、ヴァイオラの方は、恋に恋するお年頃。どうせ好きでもない人と結婚させられるのだからと言う思いもあり?そこに現れた有名人であり信奉していたシェイクスピアとの恋にのめりこむのは、百歩譲って、有りとしたとしても、
すでにハイティーンはかなり過ぎているシェイクスピアの分別の無さ。ロザラインとも関係しており、貞操感のない、プレイボーイにしか見えない。しかも、場所や周りの状況をわきまえず…。そういう場だから、かえって燃える性癖の持ち主なのだろうか?そのくせ、恋敵には偽名を使う姑息さもあり。
そんな二人が”真実の恋”と言われても…。状況に酔った、浮ついた二人の恋ごごろにしか見えなくて…。
それこそ、濡れ場がないと、映画の興行成績が落ちる?とかで、入れたシーンのようにも見えてしまう。ちょっと、過剰。
最後の逢瀬だからというのは百歩譲って仕方ないかと思うが、少なくともシェイクスピアがヴァイオラにのめりこむプロセスがもう少し納得できるように描かれていたらよかったのに。『ロミオとジュリエット』の台本に合わせたのか。芸術とはパッションだ!で済まそうとしているのだろうか?と言うより、この映画のノリに合わせた軽い行為に見えてしまって、ひいてしまう。
とはいえ、このシチュエーションに酔った、二人から出てくる言葉は、だからこそ、ロマンティックで、劇的で、『ロミオとジュリエット』の印象的な言葉となって、興奮する。
激甘の、すぐにくっつく、思春期妄想恋愛レベルのロマンチックがお好みなら。
シェイクスピア劇の世界観を描いた”かわいい”作品
真相はいかに
『ロミオとジュリエット』の原作本もシェイクスピアの半生(出来るなら自伝)も読んでみたくなる映画だった
音楽家でも劇作家でも画家でも、天才達のなんと貧乏なこと
売れるのは大抵人生の後半だったり、亡くなった後だったりするのは運命のいたずらか、神様の試練か
いずれにせよ、憧れの存在として後世の人達への励ましとなるのは間違いない
切ない恋や愛が後世に残る作品を作り上げる原動力になっているとは勝手に思ってはいるのたけど、真相はどうなんだろう
2人の言動、あれが愛なのか、愛欲(性欲)なのか、意見は分かれるところではあるけど
劇とリアルが絡み合って進んでいく構成は、混乱もするけれどとても興奮するし、面白い
さて主役の●●は、セクシーでイケメンでカッコいい!!
特に男優あるあるなんだけど、映画を離れてプロフィール画像とかを見ると大したことないんだよね
女優は映画の中でも外でも綺麗で美しい場合が多いのに、不思議
女性が舞台に立つと罪になる時代があったんですね
そして親のために愛のない結婚をする、それが子供の勤めだった時代も
それでいながら、こよなく演劇を愛し、劇場に足を運ぶ時代のなんと素敵なこと!
この2つが同時に存在するなんて
今の時代に生まれてよかったと思う反面、逆もまたいいなあと思う不思議
今回が2度目の視聴だけど、また是非観たい映画でもある
【誰もが知っている「ロミオとジュリエット」誕生の様を、虚実織り交ぜて描き出した豪華絢爛たる歴史絵巻。当時の衣装、意匠やグウィネス・パルトロウの輝く様な美しさに魅了される作品である。】
ー 『ロミオとジュリエット』は誰もがその名を知っている名悲劇の舞台劇であるが、その誕生の過程を虚実織り交ぜて描いた豪華絢爛たる歴史恋愛映画である。-
■1953年、ロンドン。繁盛するカーテン座と傾きかけたローズ座というふたつの芝居小屋があった。
ローズ座では若きシェイクスピア(ジョセフ・ファインズ)が新作を執筆していたが、なかなか筆が進まない。
だが彼は、カーテン座で豪族令嬢・ヴァイオラ(グウィネス・パルトロー)と出逢い、一目で恋に落ちる。
◆感想<Caution!内容に余り触れていません!>
・物凄い豪華俳優陣勢揃い映画である。主役2人と共に、英国映画を牽引するコリン・ファースが、シェイクスピアの恋敵ウェセックス卿を、ローズ座座長をジェフリー・ラッシュ、エリザベス女王をジュディ・デンチ、クリストファー・マーロウをルパート・エヴェレットが演じているのである。
・アメリカからも、ベン・アフレック君が参戦しているが、ヤッパリアメリカ人って感じなんだよなあ、ごめんね。
■コリン・ファースとルパート・エヴェレットと言えば、名作「アナザー・カントリー」である。”一生、女は愛さない!”である。
だーが、今作ではコリンファース演じるウェセックス卿は、豪族令嬢・ヴァイオラをしつこく追うイヤーな男を演じているのである。全くもう!
■この作品は、当時の女性は舞台に上がれないと言う暗黙のルールを破って、ヴァイオラがトマス・ケントと名乗って、男装しロミオ役を演じた事から、シェイクスピアと恋に落ちるのであるが、そりゃあ、グウィネス・パルトローだったら、殆どの男性は恋に落ちるであろう、キッパリ!
・だが、陰気な少年ジョンの告げ口により、彼女は役を降りるのだが、ジュリエットを演じる筈の俳優がナント変声期を迎え、大ピンチの時に台詞を全て把握しているヴァイオラが、ウェセックス卿との結婚式を抜け出して、ジュリエットを演じ拍手喝采を受けるのである。
<そして、現れたエリザベス女王が、見事な大岡裁きを下すのである。あーすっきり。今作は中々見れないイヤーな男を演じるコリン・ファースと、ヤッパリ真珠の様な白い肌のグウィネス・パルトローに、魅入られる歴史絵巻なのである。>
若い…
同時上映だったので、折角だからと観ました。なので本当に予備知識も何もなかった。
コリン・ファース!ベン・アフレック!!若っ!!!!!!
コリン・ファースが紳士じゃない!!!!!!
びっくりした…最後までいけ好かない奴だった…
エリザベス女王がとても粋ですね。最後の馬車に乗る下り、好きです。なんて気が利かない男たちだこと。
女人禁制なのはなんでなのかな、女王の名でよく女性を否定しまくれるなと思いました。こういうのきっかけで歴史勉強したら良いんですね。
主演二人が美男美女過ぎて見惚れてました。どの角度から見ても美しい。
最後、これも一つのハッピーエンドなのか…?と思いました。ウルトラハピエン厨だから、駆け落ちでもしてくれ…と思った。
コリン・ファースが改心して素敵旦那になりますように。
名作鑑賞 映画館で観れて良かった🎬
虚実盛りすぎだと思う。けれど楽しめた。
戯曲「ロミオとジュリエット」が創作される物語に、シェイクスピアの実らぬ恋を絡まさせた空想映画。ちょっと虚実盛りすぎだろうと思えたが、これくらいやらないと娯楽映画として楽しめないだろう。
シェイクスピア初心者向けには、いいだろう。
脚本に売れっ子劇作家のストッパートの名があった。当時の衣装や時代背景を知ることができ、勉強になった。しかし、この作品でアカデミー賞7部門受賞とは、アカデミー賞のレベルも低下していると思わせた。
劇作家と貴族が対等に口をきくなんてあり得ないはずだ。二百年あとのモーツァルトの待遇をみればわかる。マリア・テレジア皇后とモーツァルトが会話できたのも、まだ子供だったからだ。
でも、楽しめた。午前10時の映画は名作揃いで、安心して観ることができる。
グウィネス・パルトローが美しかった
午前十時の映画祭12にて。
16世紀末、劇作家シェイクスピアの新作オーディションにトマスという若者がやって来た。実はトマスは商人の娘ヴァイオラが女人禁制の舞台に出るため男装していたのだった。去ったトマスを追ったシェイクスピアは、ヴィオラと出会い恋に落ちた。しかし彼女には政略上親が決めた婚約者がいた。新作、ロミオとジュリエット、を書き上げたシェイクスピアとヴィオラはどうなる、という話。
どこまで史実でどこから創作なのかわからなかったが、当時の豪華な衣装やエリザベス1世女王の権威の高さはすごいなぁ、って思った。
当時の舞台は女人禁制、って日本の歌舞伎みたいだったのかな?相撲の土俵もそうだけど。
ヴィオラ役のグウィネス・パルトローが美しく可愛くてエロかった。男装姿もカッコよかった。
なかなか面白かった。
実際の公演時の演出は良かった
リバイバル上映にて初鑑賞。
女の子が男装して、そのチームの中の一人だけは女の子と知りその一人と恋に落ちる。。っていう筋書きは、韓国のドラマ「美男子(イケメン)ですね」と同じですが(周りの男子達は分かってて黙ってるのか最後まで本当に気付かなかったのか?というとこまで同じなんですけど)
まぁこういうファンタジーがあってもいいかな?って思いました。彼女しか相手役のセリフを完璧に暗記してはいなかっただろうし。
本当に結ばれない2人がロミオとジュリエットを演じるのはなかなか良い演出でした!
彼女が遠くへ離れていっても
彼女が永遠にヒロイン、っていうのは良い言葉でした。自分のことはまぁ説明してなかったのは、独身でも結ばれることはないし、って分かってたからかなって少し切なかったけど、
彼女といる時に創作意欲が湧く
彼女の言葉や姿を思い出すとこれからも創作意欲が湧く
という部分だけは、女子としては嬉しいことでした。
名作だが、あからさまに自由恋愛を謳われると…
「英国王のスピーチ」と同日にTV放映され、
こちらの方はエリザベス女王の
お父さんの話なのですぐに納得したが、
この作品の方はエリザベス女王と
どんな関連で?と鑑賞した。
多分に、同じ「エリザベス」称号の女王が
登場する物語だったからだろうが、
改めて鑑賞すると、
この作品にも「英国王…」の
コリン・ファースとジェフリー・ラッシュが
出演していることに気が付き、
その関係からの同日放映なのかなぁと、
つまらない想像までしてしまった。
さて、同じシェークスピアの「十二夜」が
男装する女性の話なので、
この映画は
「十二夜」話で「ロミオとジュリエット」話を
包んだような構成になっているのではと
想像もしたが、
両作品共に読んだことの無い私には
この映画の上手さの半分も理解していない
のだろうとも思った。
それでも、
何故かばれないヒロインの男装や、
ヒロインがジュリエットを演じることになる
経緯のやや強引な展開等、
また、史実からは離れた展開が
あからさまに感じさせられる中でも、
素晴らしい脚本に導かれるように
充分に作品に没入させていただいた。
アカデミー作品賞とキネマ旬報第1位の
W称号は伊達ではなく、
映画芸術には絶対不可欠な
正にエンターテイメント性に溢れた
見事な作品に感じた。
因みに私の調べに間違いがなければ、
戦後の公開映画として
キネマ旬報第1位とアカデミー作品賞の
両方の栄冠に輝いた作品は、
「イヴの総て」
「アラビアのロレンス」
「ロッキー」
「クレーマー・クレーマー」
「アマデウス」
「ラストエンペラー」
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」
「羊たちの沈黙」
「許されざる者」
「ミリオンダラー・ベイビー」
「ノーカントリー」
「パラサイト 半地下の家族」
「ノマドランド」
とこの映画を含めた14作品だった。
それにしても、主人公2人は
お互いに妻や婚約者がありながら、
形と心の違いを割り切っての自由恋愛。
そしてそれを、この作品では
大上段に輝ける人生として描いた。
形は形、心は心、と割り切られては
世の中の秩序はどうなるのだろうか、
と考えさせられる一方、
形に捕らわれ過ぎては
折角の人生に未消化の幸福感を残したままに
終わらせることになってしまうのか、
人生の充実感がどこに有るのか、
改めて己の人生に難題を突き付けられる
ような作品鑑賞にもなってしまった。
ロミオとジュリエットの世界感
ロミオとジュリエットの製作過程と並行して、展開するシェイクスピアの...
ワクワク気持ち 復活!
見ました、見ました!内容忘れていたので初見同様です。舞台空間、舞台裏ー小道具、衣装、自分の役が一番大事ーそんな雰囲気にときめき、ロミジュリの3日間の恋とパラレルにスピーディに進む脚本の素晴らしさ、そして「機械仕掛けの神様」の役回りのエリザベス女王(ジュディ・デンチ!)の最後の台詞 " Too late, too late." 効いてました!午前十時の映画、ありがとう!(2022.12.04.)
公開された時(1999年)に映画館で見た。知らない俳優だらけで目当てがいた訳でもなく単に舞台とか演劇が好きだから行った。そうしたら、とっても面白くてワクワクして楽しかったことは本当によく覚えている。主役のグウィネス・パルトロウが魅力的で、男装が素敵だったことは覚えている。でも、大枠のストーリーも細部も残念ながら、覚えていない。
映画は本と同じところもあるかもしれない。感動したことはよく覚えている。再読して、うんうんと確かめられることもある。でも、あれ!こんな内容だっけ!!とびっくりして新たに深く感動することもある。一方で、え~、こんな内容で文体だったっけ?面白くないな、若かったあの時はコレコレのことで悩んでいたから泣くほど感動したんだな、と判断することもある。
この映画、今、見たら私は何を思うだろう?楽しみです。
シェイクスピアのバックステージものの面白さが躍動する名脚本が生かされた傑作
久し振りの期待以上の面白さ、完成された娯楽大作のアメリカ映画としては、フォアマンの「アマデウス」以来の傑作と絶賛したい。まず何より、戯曲『ロミオとジュリエット』創作の舞台裏とウィリアム・シェイクスピアの私生活を題材にしたアイデアと、彼の恋愛経験が作品と重なり合い相互を高揚させ、恋と舞台の素晴らしさをストレートに表現した脚本が巧妙かつ優秀だ。演出のユーモアとスリリングなスピード感、畳み掛ける場面転換のリズミカルなタッチと、気持ち良く観られる。特に、公演場面のシェイクスピアとヴァイオラがキスをする舞台裏と上演場面のカット繋ぎが巧い。ジョゼフ・ファインズ演じるシェイクスピアが鳥の羽で戯曲を書き込むシーンのテンポとその動作。インクが付いて汚れた指、作品が書き込まれた原稿のその紙、と細かいところまで拘る丁寧さもいい。イギリス演劇の歴史ある様式が垣間見える興味深さ。そして、名脚本に溶け込む役者たちの演技の充実度。まず、男装してロミオ役を熱演するヴァイオラを演じたグウィネス・パルトローは、「セブン」以来だが気品に満ちた美しさは更に磨きがかかり堂々とした動作に女優としての自信が溢れている。グレース・ケリーとまでは行かないけれど、惜しむらくはヴァイオラの年齢としてはもう少し若い時に演じたらもっと良かったかも知れない。シェイクスピア役のファインズは、この若き天才劇作家のイメージにピッタリ当て嵌まる男優ではないが、躍動的な立ち振る舞いと台詞回しの鮮やかさには一寸驚いた。愛すべきシェイクスピア像を上手く演じている。役者役のベン・アフレックの特段優れた演技は披露していないものの役柄を充分理解した上で存在しているのもいい。これら全て演劇的素養のある英米俳優人の成果といっていい。その点で、ローズ座の座主ヘンズローのジェフリー・ラッシュは正しく演劇芝居の手本を示して文句の付けようがない。僅かな登場でもアカデミー賞の助演賞を受けたジュディ・デンチは、そのエリザベス女王の衣装とメイキャップだけで存在感がある。大変な儲け役だった。高利貸しフェニマンのトム・ウィルキンスン、シェイクスピアの恋敵の貴族ウェセックス卿のコリン・ファース、実在の劇作家マーローのルパート・エヴェレットと、助演の役者も含めて作品の品格を形成している。
16世紀のロンドンを舞台にしたコスチュームプレイにおける美術・装置・衣装の贅沢さ。その安定感に、喜劇仕立ての脚本・演出のお蔭で余計な重さもなく、映画の語りは現代的なスピード感で処理されている。その良い例として、モンタギュー・キャピュレット両家の喧嘩場面の稽古シーンが、敵対する一座の襲撃に合い虚実一体になるシークエンスのカットバック。そして、恋敵ウェセックス卿とアメリカ新大陸に向かうヴァイオラが、上演芝居見たさ一念で脱走する展開から、上演中にジュリエット役の男の子が変声期と風邪の為に使えなくなりヴァイオラがジュリエットに成り代わるクライマックスの盛り上げ方と、映画的な見応えがある。ラスト、新作『十二夜』に取り掛かるシェイクスピアの原稿と新大陸アメリカを歩くヴァイオラがオーバーラップする決着も粋である。この映画は、トム・ストッパードとマーク・ノーマンの優れた脚本が生かされた作品として評価に値すると強く思う。
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