コイサンマン、キョンシーアフリカへ行くのレビュー・感想・評価
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カンフー映画ファンも刮目せよ!このラストだけでおつりがくる!!
原題:非洲和尚(英題:Crazy Safari)
日本劇場公開時は『コイサンマン、キョンシーアフリカへ行く』
DVDは『ブッシュマン キョンシーアフリカへ行く』です。
もうブッシュマンなのかコイサンマンなのかハッキリして欲しいです。
ニカウさんの出演映画は5作あるそうですが、私が見つけられたのは本作を含めこれまでレビューした3作品までです。
本作は制作年でみると3作目です。そして今作は前2作と違い制作が香港になりました。
なのでニカウさんを見出しスターにしたジャミー・ユイス監督の手を離れてのお仕事というわけですが、ニカウさんもだいぶ役者業が板についてきていて、そのことに一抹の寂しさを覚えます…。
そんな訳でロンドンでオークションにかけられたご先祖様のキョンシーを落札して故郷に連れ帰りたい香港の青年が、キョンシーの専門家である道士を雇い同行してもらっているのですが、帰り際にチャーター機が霧にのまれ遭難します。そして命からがら辿り着いた先がニカウさんの住むアフリカの大地であり、そこで遂にニカウさんとキョンシーが禁断の出会いをしてしまいます!
80年代の映画界を彩った東西の2大スターが夢の競演を果し一体どんな化学反応を起こしてくれるのか!!と、映画の存在を知ったときはメチャクチャ興奮したわけですが……まぁ、うん。
映画は時折、前2作を思わせるようなシーンを交えはするものの単にドタバタコメディーの部分だけを抽出しており、前2作にあったような、異なる文化圏の人間が交流する面白さはありません。(映画の内容的には極端に異なる文化圏の人間が交流しまくっているわけですが…)
前2作の異文化交流が面白かったのは、同じ大地にいながら銃で互いを威嚇しあう文明人と、ロクに雨も降らない砂漠を楽園として暮らすニカウさんたちの対比が風刺的な味わいを持たせていた事。
そしてその風刺をコメディーのオブラートに包んで悲観的なもので終わらせず、ニカウさんたちの姿をとおして人間がユートピアへ至れるかもしれないという、ささやかな希望と多幸感を与えてくれているからだと思います。
今作での異文化交流にはそういった味わいがなく、終始ゆるいノリのドタバタコメディーが続き、まるでかつて日曜の朝に放送されていた東映不思議コメディーシリーズを見ているような感覚に陥ります。(とはいえ不思議コメディーシリーズにはたまにドキッとさせられる風刺的なエピソードもあります)
そもそも面白いかどうかではなく、ほぼ習慣化されて他の番組を見た流れで眺める日曜朝の30分のテレビ番組と、どんな作品かな?とワクワクで観る90分の映画とではコチラの期待している度合いが段違いなもので、そのせいでよりつらい出来の映画と感じてしまいました。(ニカウさんとキョンシーの競演が売りの映画で風刺がどうたら言ってるのがお門違いなのですが…)
ところが、ところがですよ!この映画のクライマックスでとんでもないことが起こります!
今さらですがこの映画に出てくるキョンシーの専門家である「道士」を演じているのはラム・チェンインです!そうです!何を隠そうキョンシーブームの火付け役となった映画『霊幻道士』でも「道士」を演じた本人なのです!!つまり本物の「道士」が本物のニカウさんと共演しているわけですよ!!!(…そのキャスティングの感動があってもなおつらい映画のなのですが)
そして本当はネタバレなしで見て欲しいのですが、そもそも見られる機会がほぼ無いし、よくよく見たら映画.comの作品情報ページにオチまでしっかり書いてあるので(いや書いてあるんかい!)言ってしまいますが、道士の術によりニカウさんにブルース・リーの魂が憑依します―!?!????!
正直「早く終わらないかな…」くらいに思っていたのに、怪鳥音を発し次々と敵に怒りの鉄拳を叩き込むニカウさん!ブルース・リーの映像まで差し込まれているが大丈夫か!?
この怒涛の2分にも満たないシーンに完膚なきまでにやられました。
まさかこっちが本命の2大スター競演だったとは!?とんだサプライズもあったもんです!!
今回ほどどんなに詰まらなくても映画は最後まで観るという質でよかったぁ~と思ったことはありません。
ブルース・リーもニカウさんもラム・チェンインも皆さん亡くられていますが、まさかこんな奇跡のEAST MEETS WESTを残してくれていたとは!
とにかくカンフー映画ファンにもお勧めの1本です!
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