地獄の血闘
劇場公開日:1951年1月20日
解説
製作は、「おぼろ駕篭」に次ぐ小倉浩一郎の担当、原案を「ごろつき船」の脚本を書いた菊島隆三が立て、脚本を、「悲恋草」の鈴木兵吾と津路嘉郎が協力して書き、監督には、「黒い花」の大曾根辰夫が当たっている。配役は、「東京の門」の水島道太郎、「黒い花」の鶴田浩二、「カルメン故郷に帰る」の井川邦子、「女左膳」の野上千鶴子、他に田端義夫、菅井一郎、佐伯秀男などが助演。「地獄の顔」「長崎物語」と三部作をなす長崎ものの一つ。
1951年製作/88分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1951年1月20日
ストーリー
港長崎に、キャバレー・パウリスタを経営する町の顔役野村は、妻の君江が胸を病んで入院中に、情婦朱実を店に入れたが、朱実には、野村一家で幅を利かしている次郎という情夫があって、野村の前もおかまいなしのふるまいであった。朱実は野村からパウリスタを奪い、次郎は恋人として引きつけておこうという、したたか者であった。しかし次郎には朱実のほかに千恵子という恋人があり、妊娠していた。千恵子はその相談にパウリスタを訪れて、次郎から冷ややかに追いかえされた。その帰路、千恵子は教会の前で倒れ、伝道師の宮下一郎に助けられた。一郎は千恵子の事情を聞いているうちに、その相手のやくざが自分の探していた弟次郎であることにおどろき、兄弟は再会することが出来た。その昔、兄一郎の不行跡をいさめて首に疵を負った次郎が、いまでは兄のいさめをきき入れようとはしなかった。千恵子は新婦浜崎からも暖かく慰められるが、ついに決心していかがわしい産院で、お腹の子供の仕末をつけようとしているところを一郎や、次郎の弟分で、善人の義公の手で救われる。次郎と朱実の態度に嫉妬の炎をもやした野村。どんなことをしても次郎を真人間に立ちかえらせたいと思う一郎、朱実のことを聞いて病院を脱け出して来た君江、愛憎の人々が期せずして一夜パウリスタに集まり、一郎と次郎、次郎と野村との間に、激しい血闘が展開された。一郎は野村の拳銃から次郎を救おうとして傷ついて倒れた。野村も次郎の襲撃に会って、動かなくなった。苦しい息の下から、次郎と千恵子とが結ばれるようにと願う兄の体を負うて、次郎は初めて悔いの涙を流しながら、教会堂へと運んで行くのであった。