「光と影」黒い罠 arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
光と影
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これを古典的ストーリーと感じるのは、これが正しく古典だから。
冒頭の長回しはついこの前再見した『ブギーナイツ』を思わせるが、PTAはオーソン・ウェルズに影響を受けていたと考えてもあながち間違いではないだろう。
オーソン・ウェルズの(モノクロ)作品と言えば、『第三の男』も『市民ケーン』もそうだったように、影の使い方がとても印象に残っているが、それは今作でも然り。
建物の壁に映る影だけでなく、ガラスに映る景色など、後の作品やクリエイターに大きな影響を与えていることがよく分かる。
ストーリーとしては、国境の町で起きた事件を巡り、メキシコとアメリカ双方の警察官が対立するというものだが、今では腐敗のイメージが強いメキシコ側の警察官が罠にはめられる側で、アメリカ側の警察官が証拠のでっちあげも厭わない、ついには殺人まで犯してしまうという設定は今では新鮮に感じられる。
アメリカ側の警察官ハンクは妻を殺されたという過去を持ち、正義を求めるが故に悪に手を染めてしまう。この複雑な役は監督のオーソン・ウェルズが演じているが、“TOUCH THE EVIL”という原題からも主役はハンクなのだと思う。
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