「華のある役者たちによる冒険活劇。」黒いチューリップ とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
華のある役者たちによる冒険活劇。
ん?
解説の「ストーリー」違っている…。
貴族の社交界に出入りしながら、”黒いチューリップ”として、貴族を襲っていたのが兄ギョーム。でも、”黒いチューリップ”として活動していた時に、顔に傷を負って。正体がばれないように、田舎に住んでいた弟ジュリアンを呼び寄せて、替え玉とした。
社交界の中でスマートにふるまっていた兄ギョームの身代わり。田舎に居て、社交界慣れしていないとっぽいジュリアン。そのちぐはぐさがおかしい。フランス革命前夜のパリ。貴族の所業。庶民の窮状。ぽけっとしていたジュリアンも、やがてパリの民衆との交流を通して、雰囲気に感化されて…。
という物語ではなかったっけ?
それに、ジュリアンは(ギョームも)自死 していない。兄か弟が捕まって処刑されるか?というくだりはあるけれど…。
鑑賞したのはかなり前。思い出しレビュー。
ラストは、納得できるような納得できないような…。
助けに行かないのか?助けてもらったのに。
ヒューマニズムなんだか、残酷物語なんだか…。
フランス革命前夜におけるあれこれ。
政略結婚のため、結婚してもアバンチュールを楽しむ貴族たち。その辺の駆け引きをうまくやれるのが一つの貴族としてのたしなみだそうな。
双子はあまり歓迎されず、産まれてすぐに片方がどこかに養子に出されることが多かったと聞く。後々の相続争い回避のため? そんなベースがあるからか、デュマ氏の物語の双子の片割れは”鉄仮面”までかぶらされて…。この映画のジュリアンは遠い地で人々に隠されて育てられたらしい。だからか、貴族なのに、貴族に対する思想=今の人々側の思想に感化されている。貴族でありながら、我々の味方、で、徐々に強くなる。う~ん、完璧なアイドル。
そして、庶民の、軍隊の様。
日本の時代劇にも似て、観客受けするように作り変えられたり、それなりに史実に合ったりして作られているんだろうな。
基本痛快冒険劇。
でも今の倫理観だと納得できない面もある。
とはいえ、アラン・ドロン氏の、女優の美しさに釘付け。美男美女のフェンシングも見応えあり。
アラン・ドロン氏二役。
目が逆三角に見えるギョームは、さながらドーベルマンの様。
目がまん丸に見えるジュリアンは、さながらマメシバ君。
演じ分けも見事。
それと、この制作年代に、どう撮ったの?と言いたくなるような二人の場面。
映像も素晴らしい。調度類・衣装、突き抜ける青空、初期のカラ―映画で、今の映画よりのびのびと広く見えるのは気のせいかしら?
納得いかないところもあるけど、最後のヒロイン&ヒーローのまばゆいばかりの笑顔に、ま、いっか。