クレオパトラ(1934)

解説

セシル・B・デミルが「新世紀」「恐怖の四人」に次いで監督製作した映画で、「喇叭は響く」「恐怖の四人」の脚色者バートレット・コーマックが史実に取材して組立てた物語で「路傍」「夜毎来る女」のヴィンセント・ローレンスと「坊やはお休み」「暴君ネロ(1932)」のウォルデマー・ヤングが共同脚色したもの。主役は「暴君ネロ(1932)」「或夜の出来事」のクローデット・コルベールが勤め、「一日だけの淑女」のウォーレン・ウィリアム、英国劇壇から招聘されたヘンリー・ウィルコクスンが共演するほか、「絢爛たる殺人」のガートルード・マイケル、「薫る河風」のジョセフ・シルドクラウト「クリスチナ女王」のアイアン・キース及びC・オーブリー・スミス、「妾は天使じゃない」のアーヴィング・ピチェル等が助演している。撮影は「生活の設計」「恋の凱歌」のヴィクター・ミルナーの担当である。

1934年製作/アメリカ
原題または英題:Cleopatra

ストーリー

西暦紀元前48年、時のローマ執政、ジュリアス・シーザーは世界制覇の大業を半ば成就し、印度遠征の途次、かねて眼をつけていたエジプトの地に大軍を率いて上陸した。此の時エジプトの女王クレオパトラは、兄トレミー王と勢力争いの最中だった。シーザー上陸の報に接するや、クレオパトラは彼を抱込んで兄を倒さんものと、秘術を胸にひそめて単身シーザーを訪れた。一代の妖姫と謳はれたクレオパトラだった。英雄シーザーも彼女の容色と勇気に心動かされ、クレオパトラを後援する事になった。斯くてエジプトはローマの勢力下に置かれ、シーザーはクレオパトラを携えて、ローマに凱旋した。この事により、ブルータス、キャシアス、キャスカ等は、シーザーが妻のキャルパーニャを離婚してクレオパトラを娶り、王位に即く意志ありと疑い、シーザー暗殺の密議を凝らした。シーザーの友、マーク・アントニイも、クレオパトラをエジプトに返すべく、シーザーの反省を求めたが、シーザーは彼の忠言を一蹴し去った。遂いに、シーザーは、元老院に於て、ブルータス一派のために暗殺された。クレオパトラは、ローマ人の復讐を恐れて、密かにエジプトへ逃げ帰った。シーザー亡き後のローマでは、アントニイとシーザーの甥オクテヴィアンが、元老院に推されて、ローマの執政となった。執政となるや、アントニイはエジプト遠征を提議した。シーザーの死は、エジプトの土と毒婦クレオパトラの為めであると叫び、アントニイ自ら大軍を率いて、エジプト征服の途に上った。そしてアントニイは或る決意を以て単身クレオパトラを訪れた。クレオパトラはアントニイを、豪華極りなき遊興船に招じ入れ、彼を遇するに美女を揃え、美酒を供し、自ら先に立って彼をもてなした。流石の英雄アントニイも、一世の美女クレオパトラの艶姿に眩惑され、故国ローマを忘れたまま、数ケ月の日をクレオパトラと共に過した。ローマでは、オクテヴィアンが勢力を得、アントニイを裏切者として攻撃し、すべからくエジプトと1戦を交え、エジプトを懲らさねばならぬと主張した。クレオパトラは、ユダヤの王ヘロドに唆かされ、ローマと友好関係を結ぶべく、アントニイを毒殺しようとした。この時、オクテヴィアン来襲の報に接し、アントニイはエジプトのため、クレオパトラの為、1戦をも辞さぬ覚悟を示した。それによって、クレオパトラの邪心は氷解し、心からアントニイを愛するようになった。やがて、ローマの軍勢は、オクテヴィアンに率いられて、雲霞の如くにエジプトへ押寄せた。アントニイの部下は故国ローマと戦う事を欲せず、アントニイに背いて、ローマ軍に投じた。アントニイは自らエジプト軍を指揮して勇敢に戦ったが、ついに敗れた。クレオパトラはアントニイを殺すに忍びず、単身オクテヴィアンを訪れ、エジプトを渡すからと言って、アントニイの助命を乞うたが、オクテヴィアンはこれを拒絶した。クレオパトラが城に帰ってみると、アントニイは既に自殺して横たわっていた。クレオパトラは従容として、毒蛇に胸を噛ませ、オクテヴィアンが入城して来た頃には、女王としての誇を保ちつつ、アントニイの後を追って逝いた後だった。(パラマウント支社輸入)

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第7回 アカデミー賞(1935年)

受賞

撮影賞 ビクター・ミルナー

ノミネート

作品賞  
編集賞 アン・ボーチェンズ
助監督賞 カレン・テート
音響録音賞  
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映画レビュー

4.0コケティッシュなクレオパトラ

2020年7月8日
Androidアプリから投稿

リーとテーラーのクレオパトラを見たのだが 美しいけど魅力は感じなかった

コルベールのこの映画は 二人のものより古い(1934)が 肌の露出度が高い贅沢な衣裳で
私は何故胸がはだけないのか考えながら、面白く見た
本物だと言われる宝石もデカイ
(衣裳 トラヴィス・バントン)

絶世の美女というより コケティッシュ、チャーミングなクレオパトラだった

アントニー(アントニウス)がメロメロになるのも、
彼等3人の関係が当時の世相から見て成立しないことも理解

ブルータスにはがっかりしたが デミル監督が観客を喜ばせるツボを心得ているのには感心する

コルベールは右側からの横顔撮影は許さない人だったんですね

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jarinkochie