クリムゾン・タイドのレビュー・感想・評価
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面白いけど……
前提として
・トニー・スコット監督の他作品は未視聴。
・ヴァシーリイ・アルヒーポフ氏のことは未調査。
面白いけど、何かが足りない。
核ミサイルを搭載した潜水艦。このミサイルの発射はロシアとの核戦争開始を意味する。
その発射命令が出され、発射へのカウントダウンを迎えていた。しかし、そこに新たな、かつ不完全な命令文が届く。
このまま発射するべきか、その命令を待つべきか、艦長と副長の大ゲンカが始まる……!
といったストーリー。
艦長と副長のバチバチな意地のぶつけ合いや、若い船員たちの活躍、対比に次ぐ対比、アメリカ海軍への風刺、特撮シーンなどなど、見どころが沢山ある。
面会や緊迫感も良いし、好きなセリフもいくつかある。
……のだが、あと一歩何かが足りない。
"テーマ"と言える音楽が無いからなのか、描こうとするキャラクターが多すぎるのか、画になるシーンがあまり無いからなのかは、分からない。
二周三周すると新しい発見が出てくるが、あんまりワクワクはしない。
名作と呼ぶには何かが足りなかったと思う。
ちょっと変わった潜水艦サスペンスを観たい人にはオススメ。そんな作品。
もう通信機10台ぐらい積んどけよ!
核ミサイルてんやわんや映画として一番有名なのはやはり1964公開スタンリー・キューブリック監督の「博士の異常な愛情」でしょうか。
精神に異常をきたした空軍基地の司令官がB-52戦略爆撃機34機に対して、「R作戦」を実行するよう命令。「R作戦」とは敵の先制攻撃を受けて政府中枢機能が停止した場合に、下級指揮官の判断でソ連への報復核攻撃を行うことができるというもの。爆撃機は「特殊暗号無線装置」しか通信できず、その暗号は司令官しか知らない。なんとか暗号を入手し、爆撃機に攻撃中止命令を伝えるが、一機のみ「特殊暗号無線装置」が故障して中止命令が届かない…。
「博士の異常な愛情」はそんな設定の映画で、現場よりも大統領を含む司令部のてんやわんやがメインでした。
一方本作は現場がメインです。司令部の場面は一切出てきません。本作の現場は爆撃機ではなく弾道核ミサイルを積んだ潜水艦です。狭い艦内で火事は起こすわ、それで乗組員が死ぬわ、喧嘩はするわ、敵潜水艦に魚雷攻撃を受けるわ、沈没しそうになるわ、通信機は壊れるわ、艦長の犬は小便するわでもうてんやわんや。生真面目な副艦長ハンター少佐(デンゼル・ワシントン)はストレスmaxです。そんなところに司令部からロシアに対しての核攻撃命令が届きます。
命令に忠実にミサイルを撃とうとする艦長vs念には念を入れてもう一回確かめたい副艦長。二人の間には様々な対立要因が準備されています。
艦長vs副艦長
白人vs黒人
叩き上げvsエリート
じじいvs若手
実戦経験者vs未熟者
奥さんに逃げられ家族は犬だけvs妻子に囲まれるマイホームパパ
規律にこだわらないvs規律に厳しい
艦内はついに艦長派と副艦長派に分かれてお互いに武装し、内乱状態に。潜水艦という閉鎖空間で一触即発状態に陥った中で「ロシアの基地で核兵器に燃料を充填している」という情報が、さらに乗組員達の緊張を煽ります。で、すんでのところで通信機の修理が終わり「核攻撃中止命令」が届けられ予定調和的に一件落着。
「博士の異常な愛情」と本作の共通点は、「通信機」と「命令の授受」に人類存亡がかかっていること。「やっぱやめた」の命令がなかなか伝わらないこと。「通信ミスで人類が滅亡しちゃう!」というのをブラック・ユーモアで描いたのが前作、シリアスドラマで描いたのが本作です。製作費は前作180万ドルvs本作 5300万ドルと30倍ぐらいかかっていますが、面白さでは予定不調和の前作の勝ちでは?もう弾道核ミサイルを積んだ潜水艦には通信機を10台ぐらい積んでおいて欲しいものです。
本作のサブテーマである世代間の対立。単純な見方をすると艦長は「頭の固い老害」と悪者扱いされそうですが、ジーン・ハックマンの熱演のお陰で艦長は多面的で複雑な人格に描かれています。保守的な艦長もリベラルな副艦長もどちらも正しく、単純に正誤で線引きできないところが本作の怖いところでもあります。老いた艦長は若き副艦長に立場を譲り引退を決意するという健全なラストでした。
一方邦画で世代間の対立を描いた「魚影の群れ」という映画。レビューにも書きましたが若者は死に老いたものは栄えるという胸糞展開です。この映画の不健全さは誰のせいなのでしょうか。日本の若者にも明るい未来があるといいのですが。
潜水艦映画と見せかけてアメリカの縮図を描いた作品
とにかく良くできています。トニースコットの早いカットの切り替えは抑え気味ですが、テンポよく話が進み、飽きる場面がありません。アメコミのシルバーサーファーの作者はどっちが良いかなどの細かいギャグの伏線などもあり、楽しんで見れました。
白人VS黒人というわかりやすい対立はありますが、それよりも、いわゆる民主党VS共和党を描いた作品です。
ジーンハックマン扮する鷹派の白人艦長。帽子はトランプ大統領のように赤い帽子で、かつ、ジーンハックマンが権威を振りかざす場面では必ず民主党イメージの赤いライトが当たります。
対するデンゼルワシントン演ずる副長は、共和党のイメージの青いライト。
対立する場面ではグリーン。
決断を迫られるヴィゴモーテンセン演ずるウェップスは、最後、赤と青のライトに挟まれて苦悩します。
ちょっとあからさまですが、こうやって脚本に上手いこと落とし込んで、一つの作品にするのがハリウッドの良いところですね。最後の馬の話なんてウィットで本当に良いです。
日本だと踊る大捜査線みたいに、無関心な上司、無能な女性上司をコミカルに描いて、セリフで苦悩を叫ばせるみたいな演技しちゃうんですが、そういう安っぽさを嫌うハリウッド作品ならではな出来でした。
好きな作品です。
核ミサイル搭載原潜アラバマの艦長VS副艦長
多分本当に起こってそうな話
ジーンハックマン、うまいね。
潜水艦モノの傑作でありフィルム映画の名作
名優ふたりの対置・対照も面白かった
<映画のことば>
我々は、自由は守るが、実践はしない。
きっと、そういうものなのでしょう。民主主義の世の中での武力(軍隊)の存在意義というものは。
そのように、自身は自由を行わず「上意下達」が至上命題である軍隊(潜水艦)のなかでも、司令官の決断についても、牽制の仕組み(構成員による議論の余地)が用意されているということは、やはり「自由を行わない」という軍隊も、自律的な部分社会としては、民主主義の要素が絶無ではないことを物語るものではないでしょうか。
名優ふたりの葛藤を通して、そんなことを垣間見せる一本だったと思います。評論子は。
題名は、直訳すれば、「深紅の潮流」とのことで、深紅は共産主義を象徴しているのではないかとの解釈もあるようですが、二人の男の「熱い血潮」のような意味に受け取っておきたいと思います。評論子としては。
(追記)
「潜水艦モノにはハズレなし」とは良く言ったもので、本作もご多分に洩れない一本だったと思います。評論子は。
同じく軍人であっても、あくまで冷徹に判断を下すハンター少尉(デンゼル・ワシントン)と、「頭脳ではなくハートで戦う」とでもいうべき熱血漢のラムジー大佐。
その男二人の対立軸も、素晴らしい一本だったと思います。評論子は。
閉鎖された空間での緊迫感がたまらない
初めての鑑賞
核ミサイルの発射命令を受け、準備を進める潜水艦「アラバマ」
そこに次の指令が届くが、電波状況が悪く全部を受信できない
発射命令を受けた(その後、中止命令は受けていない)のだからとミサイル発射を主張する艦長と
次に届いた指令は中止命令かもしれないのだから確認する必要があると主張する副長
我々、一般市民から見たら、受信できなかった指令が、中止命令の可能性があるし、副長が言う通り、バックアップの潜水艦もいるだろうから、副長の意見が正しいと思うが、軍人の考え方は必ずしもそうじゃないらしい
実際の戦争でも先制攻撃した国ってあるし・・・・
トラ〇プ大統領みたいな人なら何が何でも発射するんだろうな~
艦長のキャラ設定を、潜水艦に犬を連れ込んだり、消火活動中に抜き打ちで発射訓練を命令したり嫌な人にすることで、見る側を副長に感情移入しやすくしてる印象
Uボートを見た時もそうだけど、潜水艦という特殊な閉鎖空間での緊迫感は別物ですね
良い映画だと思ったが
冒頭がチェチェン紛争から始まってるのに、現実のチェチェン紛争と全く関係なくて少し誤解したのと、
艦長に副長を解任する権限はないと言いながら、副長が艦長を解任(?)して自分が指揮を執ったところが意味わからない
少し評価が下がった
程良い匙加減
危機管理!
攻守が目まぐるし過ぎて、本論が…
小沢さとるの「サブマリン707」「青の6号」
の潜水艦マンガを見て少年時代を過ごし、
子供の頃に初めて観た洋画が潜水艦物だった
人間としてはたまらない舞台設定の作品だ。
シドニー・ルメットの「未知への飛行」や
キューブリックの「博士の異常な愛情…」
にも通じるテーマで、
潜水艦の中だけという限られた空間での
たたき上げの艦長とエリート副艦長の
核のボタンを巡る確執
の展開の緊迫感そのものは見事で、
本来は名作になって不思議のない題材だ。
しかし、何かしっくりこないのは
そのハイテンションが連続し過ぎて、
話の強弱が小さくなったためかも知れない。
艦長拘束
→艦長と支持派の反撃
→副艦長と支持派の拘束
→副艦長と支持派の反撃
→艦長派の再反撃
と、目まぐるしく立場の逆転が
繰り返されるため、
途中から非常時における核攻撃の判断への
二人の人間としての苦悩という本論が薄く
なってしまったイメージだ。
それも、何かと銃を持ち出す主導権争いも
安易な盛り上げ演出と感じる。
話の材料は良く、
海上での実際の原潜の航行や潜水シーンと
海中での特撮シーンも見事だっただけに、
監督の調理の力が少し足りなかったかな
とのイメージだった。
さて、エンディングで核ミサイルの
発射権限が艦長から大統領に変更になった
とのテロップが流れたが、
これはあくまでも米国の話だろうし、
核ミサイル搭載原潜保有の他国のことや
この映画のように核弾頭を積んだ軍事兵器が
国の拘束から外れたりしたことを考えると
何の安心感にも繋がらない。
ところが現実は更に上を行っており、
人間的苦悩が入る隙間もない
人工知能兵器の時代になっては、
この映画も過去の遺物に成りかけている
のかも知れない。
潜航〜EAM(緊急行動命令)
原子力潜水艦アラバマの艦長ラムジー大佐をジーン・ハックマンが、副長のハンター少佐をデンゼル・ワシントンが演じる。
ジーン・ハックマンは熱く人間臭い役が、若きデンゼル・ワシントンは聡明なエリート役が似合う。主演二人に加え、ヴィゴ・モーテンセンを始め、全てのキャストの緊迫感ある演技に引き込まれ見応えがありました。
ラムジー大佐と従順なジャック・ラッセル・テリア(狩猟犬で、頑固で負けず嫌いの性格らしい🐶)のベアとのシーンが微笑ましい。
核ミサイル発射に伴う甚大な影響力と、既に幾つもの核弾頭がこの地球上に存在している怖さを思った。
EAM(Emergency Action Message)
デコイ(囮魚雷)
NHK-BSを録画にて鑑賞(字幕)
たたき上げVSエリート!!
幕切れが残念
冒頭のチェチェン紛争、ああ四半世紀前にこんなこともあったな。結構緊迫した期間があった記憶。そんな世情をバックに原潜での葛藤。ドラマは内部対立を客観的に描写し、緊迫感あるできばえ。観客的にはデンゼル・ワシントンに感情移入しやすいか。
そんな優れた展開に対し、結末ががっかり。前回観た後の違和感を思い出した。白黒つけず幕引き、軍隊という組織がこうさせるのか? 反乱した将校たちも不問なんだろうな。
広島・長崎への原爆投下を当然と肯定するベテラン艦長、軍人だからと肯定も否定もせず容認するエリート副長。この象徴的なシーンの延長線上にこの結末があると感じた。結局、どれほどの良識をもってしても、表立っての否定はないということか?
映画史上最大の内輪揉め
25年の時間を感じさせない
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