クリクリのいた夏のレビュー・感想・評価
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過ぎて思う価値
さりげなくいい作品でしたね。テイストとしては、ラッセ・ハルストレム監督の「やかまし村の春・夏・秋・冬」(87)みたいな感じでしょうか。タイトルになっているクリクリは全然主役ではなく、少女から見た大人の世界や世の中の有り様を、老年になったクリクリの回想という形で描かれています。誰もがその人の人生における主役ということや、ありふれた日常がかけがえのないものであったと後になって知るというお話でした。誰の人生にもありそうなエピソードでありながら、決して陳腐にもならず、そして、ラストにはしっかりサプライズがあって、とても気持ちのよい余韻が残りました。
おっさん達の友情にほっこり
第一次世界大戦後フランスの、とあるのどかな田舎町の、さらに郊外の自然豊かな土地で出会った男達の友情模様が、5歳のクリクリという可愛い女の子の回想として描かれる作品。
美しい自然の中で、年齢も階級も超えてみんなでわちゃわちゃする感じに、ほんわか癒された。
子供の様な大人の映画
タイトルから可愛い女の子が主役の子供の映画と思ったが、なんと子供の様に純真な大人たちの映画だった、癒し効果という点では偽りない。
大戦の狭間の束の間の平和な時代、フランスの片田舎、ローヌ地方、映画では沼と称しているが陰湿なイメージがするので大きな池としておきたい、その畔の小屋の住人達と街の友人たちとの交流を描いたハートフルなヒューマンドラマでした。
主人公ギャリスは孤独な復員兵、旅の途中で小屋の老人を看取ったことで住み着いた誠実で働き者の青年、隣の小屋のリトンはダメ親父の典型、その娘がクリクリちゃんだが出番は少ない。
資産家で自由人のアメデ、昔を懐かしむ実業家の老人ぺぺ、気前のいい資産家の未亡人など個性豊かな登場人物たちが織り成す思いやりと友情には共感せずにはいられない。スズランを摘んだり、森でエスカルゴを採って売ったり、蛙を釣ったりと自然の恵みに助けられ、貧しいけれど卑しくは無い暮らしぶりに圧倒される。ただ、タイトルが、「クリクリのいた夏」と過去形だったのでクリクリが病気になったりすると死んじゃうんじゃないかと気が揉めた、筋骨隆々の大人でも溺れそうな沼だったと聞かされると子供たちには危ないでしょうと腹も立ちました。
善い人達ばかりでは退屈で嘘っぽくなるとの思惑で天才トラブルメーカーのジャック・ヴィルレを仕込んだのでしょうが「奇人たちの晩餐会」のピニョンと違って責任ある親の役ではダメすぎて呑気に笑っていられませんでした。
大好きな作品に出会えました
なかなか観ることが叶わなくて2年以上の月日を経てようやく鑑賞できた作品。
期待通り、観終わってすぐにまたこの世界に戻りたくなった。
クリクリの4歳からの回想ストーリー。自給自足的な自然と共存するような沼地の住民。慎ましくも生活を楽しみ人生を前向きに生きる人達だ。ワインを愛し、雨が降れば翌日はエスカルゴ取りに出かける。一つ一つのエピソードがやさしく楽しい。
かつて沼地で暮らしていた老人が富を得て街で何一つ不自由なく暮らしているのに孫を連れて沼地に遊びに来たがる理由も一目瞭然。
「奇人達の晩餐会」のジャック・ヴィユレがクリクリの父親。こちらでも彼の持ち味を存分に出している。相棒のガリスとの凸凹コンビから目が離せなかった(笑)
小さいながらもクリクリは街から来た男の子に恋心を抱く。
彼女がガリスに「恋って嬉しくて悲しいものなんでしょう」と可愛い声で問いかけるところがベストシーン! 何とも幸せに包まれました(*^_^*)
誰にでも必ずある、かけがえのない日常を綴った素敵な作品です。
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